自宅で死ぬための大会議 ③ 看取りが人生に与えてくれるもの-1
ここでは、石川さん、三砂さんが、自分の経験から、人を看取ることの価値について述べています。
石川:私も昨年、離婚した夫を看取ったんです。・・・「俺は妻子がどうのと浪花節みたいな生き方はまっぴらごめんだ」と言っていた人だったのに、最後は別れた妻や十数年会っていない息子たちに頼ってきたのが衝撃的でした。専門職の方が懸命にやってくださっても、埋められない何かがあらわになるのが最期なのかな、と思いました。
看取る人は「選ばれる」
三砂:介護している時は大変だから感謝する気になれないかもしれませんが、亡くなってみると、人が死ぬ、という経験に立ち会わせてもらった感謝の気持ちが残る。
石川:父や元夫を看取ったことは、私の人生の宝物です。
三砂:私も、産まれるところと死ぬところには女性の力が必要だと思っています。・・・人類の長い歴史で見るとどちらも女性の仕事でしたからね。・・・
「育児はいいよね、介護は最後死んじゃうから」とよく言われます。育児は確かに大きな喜びですが、・・・終わりがないですね。逆に介護は死と言う終わりがある分、残った者にとって救われることもあるのです。
山中:私もこの八年ほどで約1000人のお看取りをしましたが、殆どは笑顔で終ります。期間限定だからこそ頑張って、成し遂げたという充実感から生き生きされる方が多い。
三砂:死はゆっくり付き合うと豊かな思いを残してくれるプロセスです。ですからずっと看取りに付き合っていた人はそれほど泣かない。・・・ずっとお見舞いにも来なかったような人が突然来て、わんわんなく(笑)。
山中:ちなみに重症度が高い患者さんの訪問診療代は全て保険適用となります。一割負担か二割負担の方なら、一か月一万八千円を超えることはありません。
悪質な施設に気をつけろ
三砂:義母は2014年に亡くなるまで特養に入っていましたが・・・2009年の介護報酬改定から介護施設等における「ターミナルケア」の「加算」が創設されたので、・・・介護施設での看取りも可能になっていた・・・実際に義母は施設で主人と私が見守る中で息を引き取りました。
山中:制度としては施設で看取りはできる・・・ただ酸素吸入など何らかの医療行為が必要になった時点で、施設判断で病院に搬送されることも多いんです。・・・余談ですが、いずれ摘発されるだろうと思う老人ホームが複数あります。がん末期や難病など、重症度の高い人しか入れず、一日三回、必要がなくても併設の訪問看護ステーションから訪問看護を入れます。そうすると医療保険で1人当たり月数十万円程度入って儲かるからです。また、特養や老健にも悪質なところは多く・・・医療常駐を謳いながら実は嘱託医で、・・・ほぼ診療せず、困ったら「病院へ行ってください」という対応を取っています。
私の母は幸運にも、施設(有料老人ホーム)で家族に囲まれて看取られた。亡くなる数日前に、私も付き添って病院に運ばれ、診察した医師が手の施しようがないからこのまま入院ですと言うので、いや施設に連れ帰ると言い張り、病院と施設でやり取りした結果、連れて帰る事が出来ました。数日後に亡くなりましたが、その間、ずっと家族、特に父と共に過ごし、これでよかったと思ったものです。
