女性と犬
昨日の散歩で、四匹のわんこと思いがけず親しくなった。
午後二時、定例のリハビリ散歩に出発した。ウォーカーを押し、左から監視人殿(俗称:妻)が軽く腕を支える、いつものスタイルだ。空は雲に覆われているが明るく、雨の心配はなさそうだ。風がやや強いが、気にするほどでもない。大回りしてグラウンド側から浜町公園に入り、我が定点観測ベンチに腰を下ろす。
平日の午後だが、相変わらず内外の老若男女やわんこ連れが目の前を行き交う。その向こうでは、新緑が淡い濃淡を描き、まさに早春の趣だ。
すると、一人の女性が四匹のチワワを連れて目の前に来て、しゃがみこんだ。先ほど公園に入る際、道を譲り合った仲で、すでに顔なじみのつもりらしい。もちろん異論はない。四匹ともチワワで、三匹は白と茶系の三歳、体つきも顔つきもよく似ている。残る一匹は黒で、まだ五カ月の小さな子だ。


名前を訊くと、女性は嬉しそうに四匹の名を教えてくれる。そして小さな黒チワワを抱き上げ、監視人殿の膝にそっと乗せた。監視人殿は大喜びである。頭や首を撫でると、黒チワワ君も目を細め、うっとりとしている。しばらくすると、「次はあなたの番ですよ」と言わんばかりに私に手渡される。首を撫でると、気持ちよさそうにじっとしている。実におとなしい。


女性は話し好きで、よく喋る。久松小学校の近くで、一人と四匹で暮らしていること、近くに住む甥や姪がわんこと遊んでくれることなど、暮らしぶりがよく分かる話を次々と聞かせてくれる。
私からも話を向ける。「久松小学校の横を歩いていた時に、柴犬の『こまちゃん』に会ったことがある。体を摺り寄せてきて、頭や顎を撫でてやると大喜びでね」と言うと、女性は「こまちゃんならよく知っています」と応じ、自分の携帯に入っている写真を見せてくれた。「飼い主の方もとてもいい人で、来週もお会いする予定なんです」とのことだ。
女性はチワワたちに、「セラピー犬になれるかな」と優しく話しかける。四匹とも甘えん坊で、我慢が必要なセラピー犬には向いていないだろうが、それは本人も承知の上なのだろう。おそらく、四匹が私たちを癒している様子を見て、ふと口にした言葉に違いない。
やがて一人と四匹が立ち去ったので、我々も公園を後にした。新大橋通りから新緑の緑道を抜け、出口に差しかかると、例の「老人と老犬」とすれ違う。わんこも飼い主も千差万別だと、あらためて思う。

帰宅してスマホを見ると、三千百歩でノルマ達成。わんこは飼えないが、可愛がることはできる。いまとなっては、それで十分なのである。
