ひとつだけ確かなことがあるとすれば
春休みだからと油断した。
子の学校がないので、家を出る時間がすこし遅くなったのだ。当然、オフィスに向かう電車も2.3本ほど後のものになる。
わたすは、完全に世の中を舐めていた。
わたすが世の中を舐めているというのは、昔からいろんな人に言われてきた。不思議である。わたすは決して世の中を舐めているつもりはない(なぜなら世の中から舐められているからだ…494949)。
これは遡ること20年以上も昔のこと( こ わ い )。大学の部室にあった無記名の交換ノート(正しい名称はなんていうんだっけ? ほら、すこし前までは居酒屋のトイレとかにも置いてあった、みんなが好き勝手にそのときの想いを綴るやつ)に筆圧のうっすいやる気ない文字で、わりとまっとうなことを書いていた。と思うのに、ひとは見た目が9割とはよく言われるもので、文字からやる気がなさすぎて、世の中を舐めくさっているこの文章を書いたのは、どうせnimaちゃんでしょうと、カッコイイのに天然なところのある先輩(つまり無敵)に冷笑されたのである。なぜ。先輩、天然なはずなのに。わたすはぴかぴかの新入生早々に、イケメンから「世の中を舐めくさっているひと」というレッテルを貼られた女。なぜあの先輩はわたすが書いたと気づいたのだろうか。わたすのことをすきだったにちがいないと、いまになって思えば思うほど思えてきた(ただそこにいたからダヨ!)。
いや、ちがう。いまはそのはなしではないの。
そう。わたすは春休みだからと油断して、月曜の朝、いつもの電車から2.3本遅れた。学童までテクテク歩いていく我が子のかわいい背中を見送って(小学校低学年の男児は、なんであんなにまっすぐ歩けないんだろう。あっちこっち興味を惹かれるものに吸い寄せられ、一本の歩道のなかを曲がりくねりながら歩けるのは、ある意味すごいと思うの。その分、わたすたち大人は多くのものを見失っているというか、気づかなくなっているということでもあるのだけど。え。なんかかなしくなってしまった)、駅に着いて電車に揺られれば、洗礼を受けるのである。
混んでいる。なぜ。遅い電車なのに。いつも乗っている電車だって決して朝早くないのに。おそらくコロナ禍を経てひとびとの通勤時間はわりと早めないしは遅め、がスタンダードとなったのだ。わたすの乗っていた時間帯の電車は、どうやらそのどちらでもない、中途半端な時間の奇跡的な電車だったのかもしれない。
☀︎ ☀︎ ☀︎
気がついた。
わたすが下書きばかり溜め込んで、放置する理由が。
電車のなかで書ける限界が1タームなのである。
基本的に、わたすのnoteに内容などない。
乗り遅れて混雑していた電車のなかでなにがあったのか、その本題まで進まぬうちに、わたすは脇道に逸れて、その逸れた脇道でさらに道草食ってタイムオーバーを迎えているのだ。そもそも電車のなかで起きた出来事など、もはや大したことではないので、飽きたのである。書こうと思ったことを書こうとする前に、もうすでに飽きたのである。そう、わたすってそういうところがある。よくいえば、チャーミング☆彡
それはつまり、道草ばかり食っているため、もはや目的地に着くことすら、わすれてしまうようなものである。あれ、なんの用事で家を出てきたのだっけ。思い出せない。まぁよい、どうせくだらないことだ、と諦めてしまうみたいな。
スラムダンクがすきなくせに、わたすはすぐに試合終了を迎えている。なんなら試合会場にも着けていない。ン? なんか仙道味が出てきてない? 「わりぃ」「寝坊です」…と書きながらも、いやいや、仙道氏は寝坊して遅刻したにせよ、試合時間中に試合会場に着いているからとツッコミを入れる。わたすはひとりでどこまでもいそがしいオンナ☆彡
そう。通勤電車はまっすぐ線路を進んでいくのに、わたすのnoteはあっちこっちに飛躍しすぎなのだ。まるでこれでは小学生低学年男児のくねくね歩く様そのもの…! そうか。同じだったんだ。息子よ、奇遇ダネ☆彡
そしてふと、いま目の前に立つひとのスマホ画面に目を遣れば、30代前半くらいの男性が「マチアプ 値段」と検索していた。その横のわたすより歳上と思しきマダムはAIに収納ケースを相談していた。ズボラに向いているのは…と長ったらしく説明されていた。
そしてここまでたどり着いたわたすの疑問点はただひとつ。
混みあった電車で起こった出来事はなんだったの…。
わたすは世の中を舐めたせいで、なにが起きたの。
まったく、思い出せないのである。
ここでひとつだけ確かなことがあるとすれば、
それはきっと、な に も 起 こ ら な か っ た の で あ る 。
な ん の は な し で す か 。
