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【片想い文芸部 | 落とし物】

落とし物集めて文化祭の模擬店にしたい。と彼女が言い出した。

僕は心からの「は? 」をお見舞いしたが、一切気にすることなく摩訶不思議な模擬店の話を続けようとする。

「だからね! 父兄も来るしいつもより絶対に落とし物増えると思うの! それを我が地学部が一手に引き受け、迅速丁寧その日のうちに持ち主見つけて届けちゃう『落とし物管理センター』をしようと思うの! 」

いや、それ普通に生徒会とかの仕事じゃないの? 昨日発掘したばかりの鉱石を顕微鏡で観察しながら伝えてみると「そこ! そこ重要! 当日多忙極まりし生徒会にすこしでも恩売って部費の増額を通しやすくするという悪どい作戦なの」

普通にもっと実績挙げたほうがいいと思うんだけど……とは言ってみたものの、悪代官みたいな笑い声にかき消されてなんかもう決定事項らしい。
こういう時、部員二人の弱小部は辛い。部長の発言力が大きすぎる。いつものことではあるんだけど。

当日までに生徒会と交渉して落とし物の管理を一任され「見た目も大事! 」という謎のポリシーで二人分の駅員風衣装と駅のお忘れ物センター的看板とカウンターを彼女はひとりで作り上げ、僕は僕で敷地内の勾配こうばい とそれぞれの模擬店や出し物の内容を細かく調査してくるよう命じられていた。
なんでも「地学部のスキルを使えば落とし物がどこに集中するかわかるから、わたしたちから落とし物迎えにいけばいい! がはははは」らしい。
そんなうまくいくわけないんだけど……

いや、うまくいったわ! それも恐ろしいくらい。
まさかのわずかな勾配 こうばいの差で入場者たちが疲れて足を止める場所を把握でき、事前の観察で生徒たちの気が緩む場所を重点的に回ればすぐさま両手いっぱいに落とし物を拾えた。

主に僕が歩き回り、彼女はカウンターで落とし物を受け渡す係だったから多少の不公平感は感じたけどこれも仕方ない。世の中適材適所だ。

それに小さい女の子へぬいぐるみを受け渡す時の満面の笑顔を偶然目撃できて、全部報われた気分になってしまい、やっぱり彼女のことが好きだと実感が湧いてくる。
そのバカみたいな行動力も、なんだかんだ全部彼女の思い通りになってしまう洞察力に、全部許してしまいたくなる笑顔と、彼女のすべてに惹かれている。

僕の姿に気付いた彼女が「また落とし物あった? 」と元気よく声をかけてくる。
「うん、ひとつだけあった」
僕はポケットから昨日の夜書いた、封筒に彼女の名前が書かれたラブレターをそっと手渡した。



【片想い文芸部】参加作品です🙇‍♀️

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