雀魂・玉の間の住人は、いま結局どれくらい強いのか
― AI検討が当たり前になった時代(2025–2026)のプレイヤー傾向を調べてみた
玉の間で打っていると、ふと不思議に思うことがあります。
ラスを引いて「なんでこんなところで止まるんだ」と頭を抱える一方、同卓には明らかに格上の打ち回しをする人がいる。養分と呼ばれる層と、化け物じみた打ち手が、同じ卓に当たり前のように同居している。
この「実力差の幅広さ」こそ玉の間の正体です。今回は、直近のデータと解説者の言説をもとに、2025〜2026年の玉の間プレイヤー傾向を整理してみました。
玉の間という卓の正体
まず前提から。雀魂の卓は段位で振り分けられていて、玉の間に入れるのは雀豪☆1〜雀聖☆3。その上の王座の間は雀聖以上です。
ここで効いてくるのが、雀豪1と雀聖3が同じ卓に座り得るという事実。同段位帯で固まる他の卓と違い、玉の間は実力レンジが極端に広い。「エンジョイ勢とガチ勢が交わる卓で、ここで心が折れる人も多い」とよく言われるのは、この構造ゆえです。
そして玉の間を語るうえで外せないのが、昔から言われ続けている雀豪1と雀豪2の壁。これは体感だけの話ではありません。雀魂のAI評価値で見ても、NAGAの集計で見ても、段位帯ごとの数値の開きが最も大きい箇所が雀豪1→雀豪2に出る、という報告が複数あります。「雀豪1は玉の間の養分」という身も蓋もない言い回しは、残念ながら今も現役です。
【本題】直近データで見る実力分布
ここからが本題。2026年3月に公開された、玉の間の同卓者を雀魂公式AI「MAKA」で評価した集計が、現時点でいちばん新しい具体データです(集計期間は2025年8月〜2026年3月、四人打ち東南戦、370半荘、同卓者1,110名分)。
全体の傾向はこうなっています。
S-〜Aに約6割(59.7%)が収まる
S以上の高評価が12.6%
B-以下は約3.5%以下と極めて少数
つまり玉の間では、致命的な悪手を連発する層はもう少なく、ベースラインそのものは思ったより安定している、という読みです。「養分」と言っても、銀の間・金の間のそれとは質が違うわけですね。
段位別に見ると、勾配がきれいに出ます。
段位 Sランク帯(S+/S/S-)合計 B+以下 雀豪1 約23.4% 約21%(5回に1回) 雀聖3 約77.8% 0%
雀豪1は5局に1回くらいは明確な穴が出る。一方、雀聖3はSランク帯だけで約8割、低評価はほぼ出ない。同じ「玉の間プレイヤー」でも、この両極が混ざっているのが実態です。
ちなみにこのMAKA評価、有料AIのNAGAの一致率・類似度ときれいに相関することも同じ集計で確認されています。MAKAの評価が下がるほどNAGAの数値も段階的に下がる。「無料でついてくるおまけ」と侮れない精度、ということです。
平均スタッツの目安
「で、玉の間の平均的な打ち手ってどんな数字なの?」という人向けに、よく引用される目安も置いておきます。ただしこの数値は2022年時点のもので、AI検討が普及した現環境では多少動いている可能性が高い点は割り引いて見てください(あくまで構造把握用)。

注目したいのは放銃率。全体平均の約14%に対し、雀聖3では約11.5%まで下がる。リーチ率はむしろ上位ほど少し低いのに、リーチアガリ率は高い。手数を増やすより、精度で勝つのが上位帯の色です。流局率が上ほど高い(=最後まで丁寧に守れる)のも同じ話ですね。
2025年の地殻変動 ― AI検討の民主化
直近1年で玉の間に起きた一番大きな変化は、打ち方そのものより学習環境にあると思っています。
2025年2月26日、雀魂本体にAI牌譜分析ツール「MAKA」のベータ版が実装されました。全プレイヤーが毎日10回まで(開運御守があれば30回まで)、対局後の牌譜をその場でAI検討できる。2025年8月には三人麻雀にも対応し、その後のサイレントアップデートで精度も上がってきています。
これがどう効くか。これまで本格的な牌譜検討にはNAGA(有料)やMortalを引っ張ってくる必要がありました。それが無料で標準搭載された。「強くなるための入り口」の敷居が劇的に下がったわけです。
理屈の上では、玉の間全体の底上げ・牌効率と押し引き標準の浸透がじわじわ進むはず。一方で、ここは冷静に見ておきたいところで――ツールが手元にあることと、それを使いこなして昇段に繋げることは、まったく別の問題です。実際、MAKAが実装されても雀豪1の壁は消えていない。道具が配られても、それを血肉にできるかは結局プレイヤー次第、という構図は変わっていません。
勝ち組と養分を分けているもの
最後に、ではその「壁」を抜ける人は何が違うのか。解説者の言説を横断すると、答えはだいたい一致しています。牌効率ではなく、押し引きと放銃管理です。
雀豪1から先に進めない人の共通点は「和了が少ないこと」。守備を意識しすぎて、和了れる手まで逃している型。
放銃のなかでも立直に対する放銃(リーチ宣言牌での放銃、追っかけリーチの精度)が穴になりやすい。一発で振り込む人は、平均リーチ巡目がかなり遅い傾向がある。
王座の間で勝ち越す魂天位の「玉の間時代」を遡ると、放銃率1ケタ台が当たり前。そのうえで和了率もしっかり確保している。
牌効率は、正直この段位帯ならみんなそこそこできる。MAKA集計で「致命的な悪手は少ない」という結果が出ているのもそれを裏付けています。差がつくのは、その先――押すか引くかの判断と、振り込まない技術。ここがシンプルに効く。
【実例】自分(雀聖3)の玉の間スタッツを晒す
抽象論だけだと説得力に欠けるので、ここからは自分の東南戦の成績を全部出します。雀聖☆3、通算1,792局時点。

この数字、自分でも「教科書どおりだな」と思うくらい、記事の主張をそのまま体現しています。順番に見ていくと――
まず、放銃率9.76%。一桁です。 玉の間全体平均の約14%はもちろん、雀聖3平均の約11.5%すら下回っている。前章で書いた「魂天の玉の間時代は放銃率1ケタ台が当たり前」のラインに、ぎりぎり片足を突っ込んでいる。自分の最大の武器は、間違いなくここです。
一方で、和了率は21.36%と平均並み、平均和了点は5,917と平均より低い。 派手な手で大きく勝っているわけではまったくない。むしろ安め。
そして副露率38.26%、立直率15.91%。 これは典型的な鳴き主体・リーチ控えめ型の数字です。玉の間平均より副露は6ポイント高く、リーチは2〜3ポイント低い。
ここで面白いのが、副露率が高い=攻撃的、とは限らないという点。自分の場合、鳴いて手数は増やしているのに、和了率も打点も平均並み以下。つまり鳴きが打点や和了の最大化に直結しているわけではない。鳴きながらも、危ない局面ではしっかり押し引きして降りる――手広く構えて押し引きの幅を持たせるための鳴き、という性格が強いんだと思います。その結果が放銃率9.76%。
まとめると、自分のスタイルはこうです。打点でも和了率でもなく、放銃を一桁に抑えてラスを踏まないこと(ラス率16.85%、平均順位2.33)で雀聖3を維持している。 「打点や和了率より放銃管理と着順回避」という記事の主張の、わりとそのままの実例になっているわけです。
ついでに言うと、これは「リーチ主体じゃなくても上には行ける」という証明でもあります。デジタル麻雀の文脈ではリーチ valueがよく強調されますが、立直率15.91%でも雀聖3には到達できる。もちろんトレードオフはあって、打点が伸びない(平均5,917点)ぶん、本来取れるはずのトップを2着で妥協している局面はそれなりにあるはず。1着率26.73%に対して2着率30.58%という分布は、その「安全に2着で受ける」傾向の表れかもしれません。ここは自分の伸びしろだと思っています。
まとめ
玉の間は雀豪1〜雀聖3が同居する、実力レンジの極端に広い卓。
直近のMAKA集計では玉の間プレイヤーの約6割がS-〜A。致命的な悪手を打つ層は少ないが、段位別の勾配は明確で、雀豪1は5局に1回穴が出る一方、雀聖3はほぼ完璧。
2025年のMAKA実装でAI検討が民主化。底上げは進むはずだが、雀豪1の壁は依然残る。
抜ける鍵は牌効率ではなく、押し引きと放銃管理。とくに対リーチの精度。
実例として自分(雀聖3)の数字は、放銃率9.76%・平均順位2.33。鳴き主体・リーチ控えめでも、放銃を一桁に抑えてラスを踏まなければ雀聖3は維持できる。スタイルは一つではない。
実戦的には、相手の段位アイコンで「養分(雀豪1)か上位か」を即座に見切って、押し引きの基準を変える運用が玉の間ではいちばん割に合う気がしています。同卓に雀聖3が見えたら、無理な追っかけは一段慎重に。雀豪1が多い卓なら、自分が振り込まないだけで勝手に浮く。
データはどれもサンプル数がそこまで大きくない参考値ですし、AI評価が麻雀のすべてでもありません。それでも、自分の打ち方を客観視する材料としては十分すぎるほど揃ってきた。良い時代になったなと思います。次は打点設計(安め2着で受けすぎ問題)に手を入れて、平均順位2.33をどこまで詰められるか試してみるつもりです。
参考にした記事・サイト
兎使い「雀魂 玉の間における麻雀AI『MAKA』の評価出現率と分布に関する分析」(note, 2026年3月)
かわうそ「雀魂牌譜屋さんの統計データを活用して雀力アップ!を目指す」(note)
Bad Assort「雀魂牌譜屋の統計データをどう解釈するか – 悪いデータの処方箋」
湊 銀貨「新るなすぺ楽屋裏・その3『雀魂玉の間攻略・甘口』」(note)
メンピンブログ「【雀魂】ランク一覧と各ランクについて解説」
メンピンブログ「【雀魂】AI機能『MAKA』について!使い方や評価・ランクを解説」
※数値は各記事公開時点のもの。MAKAはベータ版であり、アップデートで挙動が変わる場合があります。
