[ 落下さんといとおかし ]:毎週ショートショートnote(こざかしい落下・いとおかし作家)
↑コチラのお題「こざかしい落下」「いとおかし作家」に参加しました。
文字数オーバーのショートショートです。
ふたつのお題をガッチャンコしたので、文字数は大目に見ていただけるといとおかしです😊♪

[ 落下さんといとおかし ]
原稿を取りに来ただけなのに、気づけば上空3000mにいた。
「どうだい、この景色!」
そう叫んだのは、ボクをここまで連れて来た、担当作家だ。
原稿を渡す代わりに、一緒に飛べと言ってきた。
眼下に広がる一面の田園風景を眺めながら、作家は笑顔でこう続ける。
「『いとおかし』だろ〜、最高だね」
趣なんてあるか! 恐怖しかないわ!
今どき、締切原稿を取りに来させるこの変わり者の作家。
頻繁に担当が変わる中で、5年も続いたボクは「スゴイ」と会社で評判だ。
「一緒に飛ばないと、原稿渡してやるもんか!」
と言われたら、もう飛ぶしかない。
上空3000mの扉の開いた飛行機の中で、インストラクターさんに抱えられてスタンバイ中。
「じゃあ、お先に飛んでくるよ〜」
と、軽口を叩いて、作家先生のカウントダウンが始まる。
サン、ニー、イーチ、
「いとおかし〜!」
そう言い残して、先生は落下して行った。
「着地したときに、次回作のアイデアが湧くのよね〜」
と、飛行機に乗る前に、こざかしいことを言っていた。
ちなみに、先生の次回作はタイトルだけ決まってて「落下さんといとおかし」だそうだ。
なんのこっちゃ。
小さくなっていく先生を見つめていたが、すぐにボクの番になった。
サン、ニー、
えーい! ボクは目をつむり大声で叫んだ。
「いみじー!!!」
えげつない風圧が体全体にかかり、
(うわぁ、ほっぺたって、こんなにも風にはたむくんだ)
怖いはずなのに、なんか笑える。
なんて思いながら視線をずらすと、いつの間にか先に落下した先生が近くにいた。
ボクに親指を立てた右手を向けたので、同じポーズを返した。
先生、めっちゃ笑っとる。
この癖のある先生には、いろんな経験をさせられた。
その経験のおかげで、5年も続けられたのだと思う。
作家先生は、右手を振った。
それをきっかけに、頭を下げて急降下していく。
ボクも負けじと追いかける。
降り立ったら、先生にこう言おう。
「飛ぶって、いとおかしですね、先生」
おしまい。
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