【第661回】総裁選の核心に迫る!未来を決める政策は?徹底分析! (2025/10/01) #山田太郎のさんちゃんねる 【文字起こし】
今回のテーマ
「山田太郎のさんちゃんねる」です。今回は、前回に引き続き「自民党総裁選2025 直前スペシャル」をお届けします。

多くのマスメディアが政局絡みの話題を取り上げるのに対し、この番組では真面目に政策を深掘りします。 具体的には、「誰が総裁になれば私たちの生活は楽になるのか」「減税はどうなるのか」といった、それぞれのテーマに応じた政策を掘り下げていきたいと考えています。
今回の総裁選候補者の中には、新しい制度について詳しく説明を聞かなければ政策がよく分からない、という方もいらっしゃるでしょう。 カタカナの政策名も多く出てきているため、本日はこれらを一つひとつ丁寧に解説しながら、5人の候補者を比較していきます。
最終的には、私たち自身が一体誰に投票すれば良いのかを、視聴者の皆さんと一緒に考えていきたいです。 また、皆さんからも「この候補者はこういう点で優れている」といったご意見をいただければ、週末に控えた総裁選に向けて、私自身の投票の参考にさせていただきたいと思っておりますので、ぜひチャット欄に活発に書き込んでください。

いよいよ総裁選が盛り上がってきました。 私も昨日、久しぶりに自民党本部へ足を運びましたが、「#変われ自民党」ということで、党内全体が総裁選で活気づいているのを感じました。 自民党本部には、各候補者の直筆メッセージが掲示されています。

また、昨日たまたま私が主催する、大学生などを対象としたセミナー「山田塾」で党内見学を行いました。 その際、総裁室にも入ることができ、「数日後には、一体この椅子に誰が座るのだろうか」と、次期総裁の顔を思い浮かべながら感慨深く眺めてきました。

ただ、私個人としては、総裁室よりもその隣にある、比較的小さくて質素な部屋の方に深い感慨を覚えます。 この部屋は、自民党、ひいては日本の政治を変える歴史的な場所だと感じています。
ここでは与党と政府の連絡会議などが行われ、毎週火曜日には、総理大臣でもある自民党総裁をはじめ、幹事長、政調会長、総務会長といった党の役員全員が一堂に会し、最終的な政策決定を下します。
まさに歴史が作られてきたこの部屋に、私は総裁室以上の重みを感じるのです。 現職の総裁は総理大臣として官邸で過ごす時間が多いため、なおさらそう思うのかもしれません。
総裁選の主な争点と候補者

総裁選のスケジュールは目前に迫っています。投開票は10月4日の土曜日、党本部8階ホールで行われます。

今回の候補者は、小林さん、茂木さん、林さん、高市さん、そして小泉さんの5名です。 各候補者の政策の概略は前回の動画で解説しましたので、今回は経済や皆さんの生活に直結する分野に絞って議論を進めていきたいと思います。

メディアは候補者の思想について「保守色が強いかどうか」「右か左か、保守かリベラルか」といったイデオロギー的な側面を報じがちです。 しかし、特に若い世代にとっては、そうした対立軸よりも「上か下か」――つまり、既存の勢力なのか、変革を目指す新しい勢力なのか、あるいは現在の利権構造を守ろうとしているのか、といった点が今回の大きなテーマではないでしょうか。
総裁選が進むにつれて見えてきたのは、改革のリーダーシップは必ずしも年齢によって決まるものではない、ということです。 各候補者の政策を注意深く見ていると、若さだけが改革派の条件ではないことが分かってきます。 本日はそうした点も踏まえ、フェアな視点で各候補者を比較していきたいと思います。
最新情勢分析:各候補者の支持動向
小寺:
ここからは、本日までの情勢についてご説明します。

まず、9月18日時点の世論調査では、自民党支持層と一般有権者の双方で小泉さんが圧倒的にリードし、高市さんがそれを追う展開でした。 この時点では、自民党支持層において茂木さんも善戦しているとの報道がありました。

その後、国会議員票と党員票の動向に差が見られるようになります。9月29日時点の議員票の動向では、林さんが急速に支持を拡大し、依然としてトップを走る小泉さんを追い上げています。 一方で、高市さんは苦戦しているのではないかとの報道も出ていました。

しかし、同日時点の党員票を含めた情勢調査では、依然として小泉さんが大きくリードし、高市さんと林さんが追う構図は変わっていませんでした。 ただし、この段階では「未回答」の層もかなり厚く、山田さんを含め、多くの方の態度がまだ定まっていなかったため、先行きは全く不透明な状況でした。

そして本日(10月1日)16時に出された速報によると、高市さんが驚異的な追い上げを見せており、小泉さんを抜く勢いだと報じられています。 高市さんは前回の総裁選でも党員・党友票に強さを見せましたが、今回もその支持基盤を確実に固め、小泉さんを上回るのではないかとの予測が出ています。 党員票の締め切りが明日3日に迫っており、票の動向がある程度見えてきた中での報道です。
山田:
現在の状況を整理すると、事実上、総裁は高市さん、小泉さん、林さんの中から選ばれる可能性が高いと見ていいでしょう。メディアの調査に基づけば、現時点では高市さんと小泉さんが有力ですが、林さんが追い上げて2位に食い込む可能性も十分に考えられます。
この状況で非常に重要なのが、態度を明らかにしていない70名の国会議員の存在です。 私もこの70名のうちの一人であり、その判断は重いものです。 私と赤松さんが持つ2票も、この接戦の中では選挙の行方を左右する可能性を秘めた、極めて大きな一票だと考えています。
ぜひ視聴者の皆さんも、この番組を見ながら「誰が総裁にふさわしいか」、そして「なぜその人なのか」という理由も含めて、ご意見をチャットに書き込んでください。皆さんのご意見をしっかりと拝見し、参考にさせていただきます。
家計支援策で見る各候補者の政策スタンス
各候補者の政策を見ていきたいと思います。今回は特に、家計支援に関する政策の違いに焦点を当てます。皆さんの家計や生活にどう直結する政策を打ち出しているのか、というお金の面から各候補者を比較することで、その違いが分かりやすくなるはずです。
まず、私が作成した比較表を基に全体像を掴み、その後に各候補者の具体的な政策を詳しく見ていきましょう。

今回の総裁選で候補者の意見が分かれていない点について触れておきます。
一律給付金
かつて石破政権下の参院選で掲げられた「一律2万円給付」という政策がありましたが、今回は完全に影を潜めています。総裁候補者はいずれも、一律給付金に対しては否定的な立場です。ガソリン減税
一方で、ガソリン減税に関しては、全候補者が賛成しています。これは、少数与党である自民党が、今後の政権運営において国民民主党との連携を視野に入れていることの表れかもしれません。ガソリン減税は、以前から国民民主党が強く主張してきた政策であり、この点での合意は関係を維持するための一手とも考えられます。
ここからが各候補者の違いが出てくる部分です。まず、「給付」と「減税」を政策の軸に据えているのが高市さんと小林さんです。
高市早苗氏:給付付き税額控除(定額減税に近い)
高市さんは「給付付き税額控除」を主張しています。「給付付き」というのは、税金をあまり納めていない方々への配慮です。例えば5万円の減税が決まっても、所得税を3万円しか納めていない場合、通常は3万円しか減税されません。しかし、給付付き税額控除では、差額の2万円が給付されることで、誰もが等しく5万円の恩恵を受けられるように設計されています。小林鷹之氏:定率減税(時限措置)
小林さんは、時限措置として「定率減税」を掲げています。これは所得税の税率(パーセンテージ)を引き下げるというアプローチです。
両者とも減税を基本としていますが、一定額を還元する高市さんの案と、所得に応じた割合で減税する小林さんの案という違いがあります。
高市さんや小林さんの案を、より複雑かつ丁寧に設計したのが林さんの政策です。
林芳正氏:ユニバーサル・クレジット
林さんは「ユニバーサル・クレジット」という制度を提唱しています。これは給付付き税額控除に似ていますが、より緻密に作られた制度です。具体的にどのようなものかは、後ほど林さんの政策を解説する際に詳しく説明します。
次に、家計支援の最も重要な手段として「賃上げ」を重視しているのが、林さん、茂木さん、小泉さんです。
林芳正氏
「実質賃金1%向上」を目標に掲げています。名目賃金(額面)が増えるだけでなく、物価上昇(インフレ)を上回る形で、実質的な手取りが増える状態を目指すということです。茂木敏充氏・小泉進次郎氏
両者とも平均賃金の引き上げを主張しています。特に小泉さんは「平均賃金100万円アップ」という具体的な数値を掲げているのが特徴です。
その他、各候補者が独自色を出している政策もあります。
小泉進次郎氏:「年収の壁」対策
小泉さんは、国民民主党がかねてより問題提起してきた「年収の壁」(103万円の壁など)への対策を訴えています。具体的には、所得税の基礎控除に調整を加えるとしています。茂木敏充氏:地方分権による家計支援
茂木さんは少しユニークなアプローチを取っています。東京と地方では抱える課題が異なるため、地方分権を推し進め、一括で交付するお金を増やし、その使い道を各地域に委ねることで家計支援につなげるべきだと主張しています。
具体的な使い道は明示されていませんが、おそらく地域の実情に応じて、現金やクーポンの給付、公共料金の補助、中小企業や子育て世帯への支援金などに充てられることになるでしょう。
「消費税減税」に踏み込めない候補者たち
今回の総裁選で、ガソリン減税には全員が賛成する一方で、「消費税減税」を掲げる候補者が一人もいないことは、非常に特徴的です。
自民党が本当に変われるかどうかの試金石は、この「消費税減税」に踏み込めるかどうかだと私は考えています。たとえ財務省と戦うことになっても、あるいは一時的に支持を失うリスクを冒してでも、国民を味方につけて消費税減税を訴えられるかどうかが問われています。
私はかねてより、現在のインフレ(物価高)を鎮静化させる最も直接的な手段として、消費税を一律5%に引き下げ、複雑な複数税率やインボイス制度も廃止すべきだと主張しています。
しかし、消費税減税はタブー視され、誰も踏み込めない状況です。高市さんにはもう少し踏み込んでほしかったところです。テレビ番組などでの発言を見ると「諦めているわけではない」とのことですが、前回の総裁選と比べると、このテーマを封印してしまっている印象は否めません。
もちろん税金は、状況に応じて高くも安くもなるべきものです。その時々の経済状況に合わせて柔軟に変えられるかどうかが重要だと考えています。
小寺:
消費税の問題については、私も今回どなたかお一人でも言及してくだされば、自民党内からそうした声が上がったというだけでも、党のイメージは違ったのではないかと感じます。前回の総裁選と比較すると、攻めの姿勢を見せる方が少なく、党員としても秘書としても、少しもどかしい部分がありますね。
山田:
時には、戦って散る覚悟で自らの主張を強く訴えかける姿勢も必要ではないでしょうか。
話を戻しますと、各候補者の家計支援策は以下のように整理できます。
給付・減税型(定額/定率):高市氏、小林氏
バランス型:林氏
賃上げ重視型:林氏、茂木氏、小泉氏
年収の壁対策:小泉氏
地方分権型:茂木氏
これらの政策の違いを踏まえて、皆さんはどの候補者を支持しますか?
候補者別政策レビュー:小林鷹之氏
それでは、各候補者の具体的な政策内容と、それぞれの「推しポイント」と思われる部分を、より詳しく見ていきましょう。まずは小林鷹之さんからです。

小林さんの経済政策の柱は「定率減税」です。これは、所得税を「10%」のように率で決めて減税するというものです。

この方式には、所得が多い人ほど減税額が大きくなるという特徴があります。例えば、年収5,000万円の人の減税額は500万円になる一方、年収500万円の人では50万円となります。これでは「金持ち優遇」だという批判が予想されるため、小林さんは減税額に「上限」を設けるとしています。
また、この定率減税は恒久的なものではなく、あくまで「時限的」な措置と位置づけています。将来的には所得税の抜本的な見直しを行うとしていますが、その具体的な内容についてはまだ述べられていません。
「一生懸命頑張った人が最も恩恵を得られる」というメッセージは非常に明快で、分かりやすいと言えます。しかし、高額所得者優遇という懸念が残る点は否めません。
もう一つの課題は、その効果が現れるまでの時間です。所得税を対象とするため、減税分が還付されるのは確定申告の後などになり、即効性には欠ける可能性があります。
小寺:
小林さんの主張の根幹には、「中間層の手取りをとにかく増やし、負担を減らしたい」「頑張ったら報われる社会を実現したい」という強い思いがあります。その中で「できることからとにかく早くやる」というメッセージとしてこの政策を打ち出している点には、私も非常に賛同できます。
山田:
これは小林さんの動画から拝借したものですが、彼自身が各減税策を分かりやすく比較しています。

小林さんは、定率減税、定額減税、消費税減税、給付付き税額控除にはそれぞれ異なるメリット・デメリットがあるとした上で、「上限付きの定率減税」が最も優れていると主張しています。
その最大の理由は「成長インセンティブ」です。頑張って所得を増やそうとする人、特に中間層にとって最も効果が高いと訴えています。他の手法については、以下のように評価しています。
定額減税: 一回限りの「ワンショット」で終わりがち。
消費税減税: 値札の張り替えなど、小売店の現場での実務的な負担が大きい。
給付付き税額控除: 制度の設計や執行に相当な時間がかかる。
特に「給付付き税額控除」の執行が難しい理由は、所得が低く納税額が少ない、あるいは納税していない人の所得を、税務当局が正確に把握するのが困難だからです。納税者の情報は把握できますが、非納税者の情報をどう集めるかという問題があり、制度設計が非常に複雑になると言われています。
こうした比較から、小林さんは自身の掲げる「上限付き定率減税」が最適だと結論づけているわけです。
家計支援策に加えて、小林さんが掲げるもう一つのユニークな政策が「外国人干渉防止法(仮称)」の制定です。

これは、外国勢力による選挙や政府への情報干渉、影響工作を防ぐことを目的としています。背景には、2016年と2020年のアメリカ大統領選挙におけるロシアによる大規模な工作疑惑や、フランスでのハッキング事例など、国際的な脅威への懸念があります。具体的には、ロシアや中国といった国々からの干渉を想定しているようです。

この法案に対して、インターネット上では「SNS規制につながり、表現の自由への挑戦ではないか」という声も上がりました。しかし小林さん側は、「あくまでも外国勢力への対処が目的であり、国内の言論は関係ない」と対象を限定する姿勢を明確にしています。
私見ですが、対象を限定するとは言え、SNSを含めたネット上の言論空間がある程度規制の対象となることは避けられないでしょう。この外国人干渉防止法は、小林さんの非常に特徴的な政策の一つだと思います。
候補者別政策レビュー:茂木敏充氏

次に、茂木敏充さんについて見ていきたいと思います。茂木さんは昨日、私の事務所へ来られ、その際に初めて名刺交換をさせていただきました。彼の頭の良さなどについては前回お話ししましたので、今回は具体的な経済政策を含めて、より深く掘り下げていきます。

茂木さんの政策の一つに、「生活支援特別地方交付金」の創設があります。これは、国が一律の支援策を講じるのではなく、地域ごとに異なる課題に対応するため、現場である市区町村レベルに裁量権を与えるべきだという考え方です。比較的自由に使える交付金を配ることで、各地域がそれぞれの実情に合った対策を主体的に行えるようにする、という狙いでしょう。
もう一つのユニークな政策が「ハローワーク改革」です。現在、日本経済は人手不足で求人が多いにもかかわらず、一部で失業率が改善しないという「スキルギャップ」や雇用の「アンマッチ」が生じています。この問題を専門的に解決するのがハローワークの役割であるべきだ、と茂木さんは考えています。
この提案に対し、インターネット上では「Indeedのような民間サービスと何が違うのか」「公的機関が担うことが最適なのか」といった議論もあります。しかし、現場の労働環境をどう改善していくかという視点からのこの提案は、非常に茂木さんらしいユニークな政策だと言えます。
茂木さんはロボット政策にも非常に強い思い入れを持っています。彼は経済産業大臣時代に「ロボット新戦略2015」などを推進した経験があり、ご自身を「ロボット政策の元祖」と自負しているようです。

この点は、私の考え方と非常に近いものがあります。私もかねてより、工場や家庭内支援、農業、接客、医療、介護、輸送、ピッキングといったあらゆる分野での人手不足を解決する答えは、ヒューマノイドをはじめとするロボット技術しかないと主張してきました。茂木さんの考え方には、大いに共感できる部分です。
茂木さんは、自身のYouTubeチャンネル「茂木チャンネル」で、非常に熱心かつ詳細に政策を伝えようとされています。その意欲の強さは特筆すべき点です。

今回の総裁候補は全員が自身の番組を持っていますが、その多くは食事や訪問先の様子といった日々のイメージアップにつながる内容が中心です。ここまで政策について細かくメッセージを発信している候補は少ないでしょう。私自身も政策を中心に語る立場なので、茂木さんのこの姿勢には非常に好感が持てます。
小寺:
茂木さんも山田さんと同じように、一人で20分、30分と政策について語り続ける番組を数多く配信されています。動画を拝見すると、本当に「政策通」なのだということが伝わってきます。
ハローワーク改革は、茂木さんが議員になられた当初から問題意識を持ち、温めてこられた政策だと伺っています。

人手不足がこれほど深刻であるにもかかわらず、ハローワークが集計する有効求人倍率が最近低下しているという現状があります。ここに、職を探している人と人材を求める企業側との間にミスマッチがあるのではないか、というのが茂木さんの指摘です。
全国に約500カ所、3万人もの職員を抱えるハローワークの潜在能力を最大限に活用し、抜本的な改革を目指しています。
具体的には、単に職業を案内するだけの旧来の「職安」機能から脱却し、民間の転職サービス(例えばビズリーチ)のように、ハローワーク側から積極的にスキルアップや給与向上のためのキャリアプランを提案する機関へと変えていこうというものです。一人ひとりが着実にキャリアアップできるような支援の提供を目指しています。
山田:
その点について、私にはいくつか疑問があります。Indeedやビズリーチは、スキルアップやキャリアアップを目的とした積極的な「転職」が中心ですが、ハローワークは失業後の、ある意味で消極的な求職活動の場という側面が強いです。両者には役割に大きな違いがあるのではないでしょうか。
この改革が、本当に有効求人倍率の向上につながるのかどうか。また、改革には「リスキリング(学び直し)」が不可欠ですが、例えばパソコンの電源の入れ方も分からない人が、いきなりIT分野に挑戦するのは非常に厳しいでしょう。
もちろん、労働環境の改善は極めて重要なテーマであり、茂木さんの提案は一つの可能性として注目すべきものだと考えています。
候補者別政策レビュー:林芳正氏
次は林芳正さんです。茂木さんが「頭脳派」であるとすれば、林さんは「多才な芸術派」という印象を私は持っています。ピアノでビートルズを弾きこなし、自身もベーシストとして「ギインズ」という議員バンドに所属するなど、非常に多才です。

また、英語も堪能で、自民党の公開討論会でも英語で対応できるほどです。以前、林さんと一緒に仕事をした際、隣で流暢な英語を話されているのを聞いて、さすがだと感心したのを覚えています。

林さんの経済政策で特にユニークなのが、「日本版ユニバーサル・クレジット」の導入です。これは、個々の事情に応じたきめ細やかな家計支援を目指す制度です。

茂木さんと同様、林さんも自身の番組で政策を詳細に語る「政策通」ですが、真面目であるがゆえに少し地味な印象を持たれるかもしれません。
ユニバーサル・クレジットの仕組みと課題
この制度を理解するために、まず日本の現状を見てみましょう。

現状分析(OECD平均との比較)
子供がいる世帯: 日本は、年収が平均以下の層(中央値で約590万円前後)において、税金や社会保障費の負担割合が他の先進国(OECD平均)よりも重くなっています。
これは、欧州などで一般的な「給付付き税額控除」のような、低所得者層への手厚いサポートが不足しているためです。特に、子供の数に応じた支援総額は、日本が圧倒的に少ないのが現状です。子供がいない世帯: 一方で、子供がいない世帯では、年収が上がるにつれて日本の負担率は先進国平均より低くなる傾向があります。
ユニバーサル・クレジットは、こうした所得や家族構成による負担の歪みを、滑らかな曲線を描くように是正し、特に平均以下の所得層をきめ細かくサポートすることを目指しています。一定額を給付する直線的な「給付付き税額控除」とは設計思想が異なります。

コンセプトは非常にきめ細かく、さすが頭が良いなと感じますが、これを設計するのは極めて大変です。特に、納税額が少ない方々の所得を正確に把握し、どの程度の給付が公正なのかを算出する方法を見つけるのは非常に難しい。頭の中では設計できても、現実的にどう運用していくのかが大きな課題でしょう。
一方で、5万円や10万円といった定額給付や、一律10%の定率減税では、子供の数など個々の事情を汲み取れず、支援からこぼれ落ちてしまう人が出てくるのも事実です。フランスのように緻密な制度でさえ不満が出るのですから、このきめ細やかさをどこまで実現できるかが問われます。
小寺:
私もお話を聞いた際、一人ひとりの家族構成や所得に応じて負担を最適化する、非常に良い制度だと感じました。林さんはこれを恒久的な制度にしたいと語っており、長期的に実現できれば素晴らしいと思います。
もちろん「大改革だ」という批判は出てくるでしょうが、林さんは実務家らしく、具体的な実行プランをすでに描いています。イギリスが15年かけて導入したモデルを参考にしつつ、「1年目に現状を総ざらいし、2年目に制度の範囲を決め、3年目に実行に移す」という3年間のタイムスパンを国民に提示している点は、他の候補者にはない信頼感につながっています。
「コンテンツ庁」設置の真意と表現の自由

山田:
林さんは、「総理大臣になったらやってみたいこと」として、コンテンツ産業を日本の新たな基幹産業に育成することを強く掲げています。自動車産業(現在約20兆円)に次ぐ、あるいはそれを超える産業に育て、国民の将来不安を解消したいという考えです。
具体的な政策として、クリエイター支援、海賊版対策、知的財産(IP)を担保とした税制優遇、そして「コンテンツ庁」の設置などを挙げています。
私自身も自民党の知財調査会長を務めていた林さんと共に活動し、多くの議連でご一緒してきました。官房長官という要職にありながら、一議員と同じように議連で積極的に意見を述べる姿は印象的でした。
彼の掲げる政策は、私がかつて事務局長としてまとめた提言とほぼ同じ内容であり、考え方が非常に近いと感じています。
この「コンテンツ庁」設置について、最近ネット上で「政府がコンテンツを規制・コントロールするのではないか」という誤解や懸念の声が上がっていました。
これについて先日、林さん本人から直接電話で説明がありました。彼は、「コンテンツ庁はあくまでクリエイターをサポートするための機関であり、規制は絶対にしない」と明言しました。
自身も芸術に携わる人間として、「日本のコンテンツが成長できるのは表現の自由があるからこそであり、それを規制しては元も子もない」と強く語っていました。その点は、よく理解されていると感じます。

現在、日本のコンテンツ産業の市場規模は5.8兆円に達し、すでに鉄鋼や半導体の輸出額を上回っています。林さんは、現在の約6%の成長率を10%まで引き上げ、2033年までに20兆円規模にすることを目指しています。これほどの成長を続けている産業は、今の日本には数少ないのです。
候補者別政策レビュー:高市早苗氏

次に、高市早苗さんです。高市さんもドラマーであったり、若い頃はバイクに乗っていたりと、非常に感性豊かな方だと思います。

高市さんの政策の柱は、逆進性の高い社会保険料の負担を減らし、特に中低所得者層を手厚く支援するための「給付付き税額控除」の導入です。
また、国土強靭化や、外国人による不法滞在・土地取得といった問題に厳しく対応する姿勢も示しています。そして今回、意外とも言えるのが、家事サービスやベビーシッターに関する政策です。

小寺:
高市さんについては、その「継続力」を本当に尊敬しています。議員に当選されてからブログをほぼ毎日更新されていますし、YouTubeでの発信も、総裁選のためだけではなく、日頃からご自身の考えを自身の言葉で分かりやすく解説されており、素晴らしいと感じます。
山田:
高市さんの掲げる「給付付き税額控除」は、分かりやすい仕組みです。

仕組みの例
例えば、控除額を5万円と設定します。
所得税を十分に納めている人は、そのまま5万円が減税されます。
所得税の納税額が2万円の人は、2万円の減税に加え、差額の3万円が給付されます。
所得がなく納税していない人は、5万円が全額給付されます。
このように、所得の状況にかかわらず、全ての人が等しく5万円の恩恵を受けられるように設計されています。
小寺:
この方式であれば、比較的スピーディーに実現できる可能性があります。
山田:
ただし、税金と連動させるため、実際に給付や還付が行われるのは税額が確定してからになります。また、これまでも指摘してきた通り、非課税世帯や納税額が少ない方の所得を正確に把握することが難しいという、制度上の課題も指摘されています。
小寺:
高市さんが今回、特に強い思い入れを持って掲げているのが、女性の就労支援です。育児や介護、子どもの不登校や病気といった事情が足枷となり、「働きたいのに働けない」女性がいる状況を何とかしたい、という問題意識が根底にあります。その具体的な解決策が、ベビーシッター代金の税額控除です。

具体的な政策
ベビーシッター・家政婦の利用支援: 「国家資格」を持つベビーシッターや家政婦を利用した場合、その費用を税額控除の対象とし、家計の負担を減らします。
企業内学童保育の推進: 普及が進んできた企業内保育所に加え、放課後の子どもの居場所として「企業内学童保育」の設置を推進します。
企業内病児保育の創設: 現在はほとんど存在しない「企業内病児保育」を設置した企業には、法人税を減税する措置を講じます。
山田:
ベビーシッターの「国家資格化」については、その真意を直接伺っていないので分かりませんが、サービスの質を担保したり、付加価値を高めたりする狙いがあるのかもしれません。
それよりも私が「これは現実的な子育て政策としてアリだ」と感心したのは、「病児保育」に切り込んだ点です。子どもが少し風邪をひいただけでも、保育園から「迎えに来てください」と連絡が来るのが現実です。
「本当にサポートが必要な時に限って預かってもらえない」という、子育て中の親が直面する大きな課題に応える政策です。さらに、それを「企業内に設ける」という発想は、かなり大胆で素晴らしいと思います。
もちろん、口で言うほど簡単なことではありません。企業側の負担を法人税減税だけでどこまでカバーできるのか、また、専門的なノウハウを持つ人材や施設をどう確保するのかなど、実現には相当な困難が伴うでしょう。
病児保育施設の多くは、人件費の負担や利用者の変動により赤字経営に陥りやすいという構造的な課題を抱えています。しかし、もし総理大臣になれば、公約として実行に向けて動くことになるでしょう。実現できれば、本当にすごいことです。
まさか高市さんが、このベビーシッターや病児保育の問題にここまで具体的に切り込んでくるとは、正直思っていませんでした。
候補者別政策レビュー:小泉進次郎氏
最後に、小泉進次郎さんです。スポーツマンというイメージが強い彼ですが、今回の総裁選では、大きな減税策といった政策はあまり打ち出していません。その代わり、政策の中心に据えているのが「賃金向上」です。

小泉さんは、2030年までに平均賃金を100万円増やすと公約しています。しかし、これにはいくつか疑問点があります。

まず、どの「平均賃金」を指しているのかが明確ではありません。また、現在(2025年)から5年後の目標として掲げられていますが、インフレの進行を考慮すると、この「100万円」という絶対額が多いのか少ないのか、判断が難しい側面があります。
何より、国民が苦しんでいるのは「将来」ではなく「今」のインフレです。私たちの事務所でも、最近コカ・コーラが200円になったことに「高い!」と驚いています。
個人的にどうしても解せないのは、自民党本部の食堂のカレーが一杯902円もすることです。素朴で甘口なボンカレーのような味で、量は少なく、率直に言って何の変哲もないビーフカレーです。これにはインフレの凄まじさを改めて感じました。
このような状況で、5年後の100万円増という目標が、今の生活に苦しむ国民にどこまで響くのかは、正直なところ疑問です。将来の目標よりも、毎年どう賃金を上げていくのか、より具体的な施策を示すべきだったのではないでしょうか。
小泉さんは国内投資の促進を掲げ、その一環として「設備投資の即時償却」を提唱しています。これは、企業が設備投資を行った際、その費用全額を投資したその年の経費として計上(償却)できる制度で、茂木さんも同様の主張をしています。
企業の設備投資に関する償却方法の見直しには、私も大賛成です。しかし、「即時償却」が最適解かとは思えません。
例えば、売上100億円の会社が生産性向上のために30億円の設備を導入したとして、その価値がまだ残っているにもかかわらず、いきなり30億円全額を経費として計上するのは、少しやり過ぎではないかと感じます。
私がかねてより主張しているのは、「自由償却税制」です。これは、企業が設備の実際の使用年数に合わせて、償却期間を自由に設定できるようにする制度です。「2年しか使わない機械なら2年で」「10年使うなら10年で」といった具合です。
現在の「法定償却」では、法律で「パソコンは4年」というように耐用年数が一律に定められており、2年ほどで買い替えるような実態と乖離しています。このズレが、企業に古い設備を使い続けさせる一因にもなっています。
経済を早く回すという観点から即時償却の意図は理解できますが、上場企業の社長まで務めた経験から言えば、「自由償却税制」の方がより実態に即していると考えます。このバランスシート改革については、小泉さんや茂木さんと方向性は同じです。
小泉さんの今回の戦略は、あえてエッジの立った具体的な政策を打ち出さず、できるだけ多くの人が支持しやすいように、政策全体をソフトにまとめることにあるようです。特定の政策を強く主張すると、支持できる人とできない人が明確に分かれてしまうのを避けているのでしょう。

小寺:
ただ、子ども政策については、パンフレットの中でヤングケアラーや障害福祉分野について明確に言及されており、その点は山田さんと考えが近い部分かと思います。
山田:
「防災庁」の設置も掲げていますね。しかし、他の候補者と比較すると、私たちが有権者に伝えるべき「パンチのある政策」が少なかったという印象は否めません。政策をリサーチする中でも、具体的な情報が他の候補者より少なかったと感じました。
各候補者の家計支援策を再確認
さて、本日の解説のまとめです。各候補者の政策の違いをご理解いただけたでしょうか。自民党の総裁を選ぶ選挙ではありますが、与党のトップ、すなわち総理大臣を選ぶことでもあり、国民生活全体に大きく関わってきます。
その政策の差を、皆さんはどうご覧になったでしょうか。ぜひ、チャット欄にいただいた皆さんのご意見をすべて拝読し、私自身の一票の参考にさせていただきます。
改めて、今回の家計支援策のポイントを復習しましょう。

一律給付金: どの候補者も掲げておらず、選択肢から消えました。
ガソリン減税: 全候補者が実施を明言しています。
給付・減税:
高市氏は「定額」の給付付き税額控除を主張し、低所得者層もサポートする形です。
小林氏は「定率」での減税を掲げています。
林氏の「ユニバーサル・クレジット」は、給付付き税額控除に似ていますが、よりきめ細かく設計された制度です。
賃上げ:
林氏は「実質賃金1%向上」を目標としていますが、具体的な手法はまだ示されていません。
小泉氏は「平均賃金100万円アップ」を掲げています。
茂木氏も賃上げの必要性を訴えています。
その他:
小泉氏は、国民民主党との約束の延長線上にある「年収の壁」対策の実施を明言しています。
茂木氏は、地域ごとの課題解決を目指す「地方分権」というユニークなアプローチを採っています。
なぜ誰も「消費税減税」を語らないのか
そして、私が個人的に最も残念に思っている点です。これだけの候補者がいながら、誰一人として「消費税減税」を打ち出せない。しつこいようですが、自民党が本当に変われるかどうかは、この消費税の問題に切り込めるかどうかにかかっていると私は考えています。
党内ではこれまでも、1年限定での減税や、食料品だけをゼロにする案、あるいは私が主張する一律5%への引き下げなど、様々な議論がありました。
手法は色々あるにせよ、国民の不満に正面から向き合い、支持を得ようとする姿勢が問われているのではないでしょうか。しかし、今回の総裁選では、消費税減税は事実上「封印」されてしまったようです。
小寺:
この1週間、私も各候補者の動画や政策を調べてきましたが、候補者が5人もいると、討論会などでの持ち時間は一人1分程度しかなく、正直なところ、パンフレットをなぞるような表面的な答弁が続いてしまうのが実情です。
政策を深く知るには、やはり候補者自身がYouTubeやブログで発信している情報を集めるしかありませんでした。その点で、今回のように各候補の情報を並べ、山田さんが軸を定めて解説する形は、非常に分かりやすかったのではないでしょうか。
山田:
メディアの報道でも、家計支援策を軸に「定率か、定額か」「給付付きか、賃上げか」といった具体的な比較は、ほとんど見かけませんね。
小寺:
そうですね。どうしても外交問題や保守・リベラルといったイデオロギーの対立軸での議論が多く、具体的な生活に密着した政策の比較はなかなかありませんでした。
山田:
しかし、世論調査を見れば、国民の関心事の上位は、物価高対策、将来不安、年金問題といった、お金にまつわる話ばかりです。であれば、まずはそこを真正面から比較検討しなければ、国民の期待には応えられないのではないでしょうか。
信頼回復の道は内向きの改革にあらず
小寺:
小泉さんは党改革を前面に打ち出していましたが、今の自民党への不信を具体的にどう解消していくのかという点までは、私も理解しきれませんでした。
山田:
私は、自民党の問題を党の内側で解決しようとする「内向きの改革」では、信頼は回復できないと考えています。裏金問題などで失った信頼は、反省するのは当然として、反省の弁を述べるだけでは取り戻せません。
ルールを厳しくするなど内輪の改革をしたところで、国民から見れば「自民党のエゴでしょ」「俺たちの生活には関係ない」ということになってしまいます。
信頼を取り戻す唯一の道は、党がどうこうではなく、日本を良くするために前向きな政策を打ち出し、国民の足元の生活を豊かにし、そして「結果を出す」ことです。その覚悟を行動で示せるかどうかにかかっていると、私は思います。
今日の解説をご覧になって、いかがだったでしょうか。ぜひ皆さんからのご意見や、「ここの解説は間違っている」といったご指摘もお待ちしています。私も自民党所属の国会議員として、責任ある一票を投じなければなりませんので、皆さんの声を参考にさせていただきます。
小寺:
では、山田さんご自身の態度は、まだ決まっていないのですね。
山田:
まだです。皆さんのご意見に耳を傾けながら、私自身の政策と最も合致し、そして何より、その政策を「実現できる」のはどの候補者なのか、という観点で見極めたいと思います。
来週の「さんちゃんねる」では、新しい総裁が決まっているはずです。その時には、またご報告ができるかと思います。本日はどうもありがとうございました。
