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孫正義さんは何を見て投資しているのか。ソフトバンク株から考える投資家の判断軸

孫正義さんは、日本を代表する投資家の一人です。
アリババへの投資。
Armの買収。
ビジョン・ファンド。
OpenAIへの大型投資。
AIインフラへの集中。

成功も大きい。
失敗も大きい。
普通の個人投資家とは、見ている時間軸も、動かす資金の大きさも違います。

今回の入口は、ソフトバンク株です。

ただし、ここで少しややこしいのが「ソフトバンク」という名前です。

ソフトバンクグループ(9984)。
これは孫正義さんが率いる投資会社です。

ソフトバンク(9434)。
これは携帯や通信を中心にした会社です。

個人投資家が高配当株として扱うことが多いのは、ソフトバンク(9434)の株です。

ソフトバンクグループ(9984)は、2020年に最大4.5兆円規模の資産売却・資金化プログラムを発表しました。
その中で、通信会社であるソフトバンク(9434)株の一部譲渡も行っています。

ここだけ切り取ると、

「孫さんが売ったなら、ソフトバンク(9434)はダメなのか」

と思うかもしれません。

でも、そこだけで判断すると読み違えます。

この記事で扱うのは、ソフトバンク(9434)の良し悪しだけではありません。
孫正義さんが、投資家として何を読んで、どこに資金を置いているのか。

そこを、アリババ、Arm、OpenAI、WeWork、そしてソフトバンク(9434)から整理します。


結論。孫さんは、会社単体ではなく「次の時代の土台」に張る

結論から言うと、孫さんは、今の利益や安定配当だけで投資する人ではありません。

その会社や技術が、次の時代の土台になるのか。
商流を変えるのか。
インフラになるのか。
プラットフォームを取れるのか。

ここに資金を置く投資家です。

だから、ソフトバンク(9434)のような安定した通信会社を一部資金化して、AI、Arm、OpenAIのような領域へ資金を向けることも、孫さんの判断軸からはつながります。

通信会社が悪いという話ではありません。

ソフトバンク(9434)は、安定した通信資産です。
高配当株として見る余地もあります。

ただ、孫さんが大きく張りたいのは、安定配当ではなく、次の時代の中心を取る可能性です。

ここを分けると、ソフトバンク(9434)の売却も、単なる「見切り」ではなく、資金配分として読めます。

アリババで読んだのは、中国の商売がネットに移る未来

孫さんの代表的な成功例が、アリババへの投資です。

ただ、アリババを「中国の通販会社に早く投資した」とだけ見ると、少し浅くなります。

アリババが変えたのは、商品を売る場所だけではありません。

中国の中小企業が、ネットで取引先を探す。
消費者が、ネットで商品を買う。
店舗が、ネット上で集客する。
決済が、オンラインに移る。
物流が、ネット通販に合わせて整っていく。
クラウドが、ネット上の商売を支える。

つまり、中国の商売の流れそのものを変えました。

アリババは1999年、ジャック・マー氏らによって設立されました。
当時のアリババは、今のような巨大企業ではありません。

それでも孫さんは、早い段階で資金を入れています。

ここで読んでいたのは、当時の売上や利益ではなかったはずです。

中国の企業が、ネットで世界とつながる。
中国の消費者が、ネットで買い物をする。
その上に、決済、物流、広告、クラウドが重なっていく。

この未来です。

アリババは、その後、Taobao、Tmall、Alipay、Alibaba Cloudなどへ広がっていきました。

単なる通販会社ではなく、中国で商売をするための土台に近づいていったわけです。

孫さんの投資が大きかったのは、会社単体に張ったというより、中国の商流そのものがネットに移る未来に張ったことです。

今の利益が大きいから買うのではない。
これから商売の流れが変わる場所に、先に資金を置く。

アリババ投資は、その代表例です。

Armで押さえたのは、半導体そのものではなく設計の土台

Armへの投資も、孫さんの見方が出ています。

Armは、半導体を大量に作って売る会社ではありません。
半導体設計の基盤を持つ会社です。

スマホ。
IoT。
車。
サーバー。
AI端末。
データセンター。

これらの中には、半導体が入っています。

AI時代になると、計算する場所はさらに増えます。

クラウド側で大きな計算をする。
端末側でもAIを動かす。
車やロボットにもAIが入る。
家電やセンサーにも処理能力が必要になる。

そうなると、省電力で広く使われてきたArmの設計資産には、AI時代でも意味があります。

孫さんが押さえたのは、目の前のスマホ需要だけではありません。
半導体そのものを作る会社ではなく、半導体設計の土台です。

ここも、アリババと似ています。

アリババでは、中国の商流がネットに移る未来に張った。
Armでは、あらゆる機器に計算能力が入る未来に張った。

どちらも、商品単体ではなく、次の時代の裏側にある土台を取りにいっています。

この見方をすると、ArmとOpenAIがつながります。

OpenAIがAIモデルの中心にいる。
そのAIを動かすには、半導体がいる。
半導体の設計基盤としてArmがある。
さらに、それを動かすデータセンターや電力も必要になる。

孫さんが狙っているのは、AIアプリだけではなく、AI時代を支える構造全体です。

OpenAIで張っているのは、AIが社会のインフラになる未来

OpenAIへの投資も、単に「ChatGPTが流行っているから買った」という話ではないと思います。

ChatGPTは、多くの人にAIを触らせました。

文章を書く。
調べる。
コードを書く。
資料を作る。
相談する。
アイデアを出す。
仕事の下書きを作る。

AIが、一部の技術者だけのものではなく、普通の人や企業が使う道具になりました。

ここで重要なのは、ChatGPTが便利なチャットアプリで終わらない可能性です。

生成AIが、企業の業務に入る。
営業資料を作る。
コールセンターを支援する。
社内の情報を探す。
プログラミングを補助する。
会議の議事録をまとめる。
経営判断の材料を整理する。

このように、AIは会社の中のいろいろな作業に入り込んでいきます。

そうなると、AIモデルを持つ会社は、単なるアプリ会社ではありません。
次の業務インフラになる可能性があります。

孫さんがOpenAIに張っているのは、この未来だと思います。

AIモデル。
企業向けAI。
半導体。
データセンター。
電力。
クラウド。
Arm。
AIインフラ。

これらがつながると、OpenAIへの投資は、単なる話題株への投資ではなくなります。

AI時代の中心を取りにいく投資になります。

ここまで考えると、ソフトバンク(9434)のような安定資産を一部資金化して、AI側へ資金を移す理由も見えやすくなります。

通信会社は安定している。
でも、AIは次の社会インフラになるかもしれない。

孫さんの投資判断では、安定よりも、次の時代の土台を取れる可能性が優先される。

OpenAIへの投資は、その象徴です。

WeWorkは、未来を大きく読みすぎた失敗例

ただし、孫さんの投資は成功だけではありません。

WeWorkは、その代表例です。

働き方が変わる。
オフィスの使い方が変わる。
企業は固定のオフィスを持たず、柔軟に場所を使うようになる。

このテーマ自体は、わかります。

実際、リモートワーク、シェアオフィス、柔軟な働き方は広がりました。

ただ、WeWorkは不動産ビジネスです。

物件を借りる。
内装に投資する。
人を入れる。
空室リスクを負う。
景気が悪くなれば利用が落ちる。
固定費が重い。

ここを、テック企業のような高成長ビジネスとして評価しすぎたところに無理がありました。

未来を読むこと自体は悪くありません。
でも、テーマが大きくても、事業構造が弱ければ投資は失敗します。

WeWorkから学べるのは、ここです。

孫さんは、未来を大きく読む力があります。
アリババでは、それが大成功しました。
Armも、AI時代の土台として価値が高まっています。
OpenAIも、AI時代の中心を取る可能性があります。

一方で、WeWorkでは、働き方の変化というテーマを大きく読みすぎた。
固定費の重い不動産ビジネスを、テック企業のように評価しすぎた。

ここに失敗があります。

だから、孫さんの投資を「すごいから全部正しい」と見るのは違います。

成功も大きい。
失敗も大きい。

大きな未来に張る投資は、当たれば大きい分、外れたときの傷も大きくなります。

個人投資家がそのまま真似する投資ではありません。

ソフトバンク(9434)は、悪い会社だから売られたわけではない

ここで、ソフトバンク(9434)の話に戻ります。

ソフトバンク(9434)は、悪い会社ではありません。

通信インフラを持っています。
スマホ、光回線、法人向けサービスがあります。
PayPayや金融、AI、データ活用にも広げています。
配当もあります。

高配当株として見る人が多いのもわかります。

景気が悪くなっても、通信をすぐにやめる人は少ないです。
毎月の通信料があり、収益は比較的読みやすい部類です。

ただ、ソフトバンクグループ(9984)の目線では、ソフトバンク(9434)は未来の大化け銘柄というより、安定した通信資産です。

安定している。
キャッシュを生む。
市場で資金化しやすい。
成熟事業として価値がある。

だから、次の投資に向けた資金源になります。

これは、ソフトバンク(9434)がダメだから売るという話ではありません。

良い資産だからこそ、資金化できる。
安定資産だからこそ、次の成長投資に使える。

投資会社としては、その判断もあります。

個人投資家は、良い会社ならずっと持ちたいと考えがちです。
でも、投資会社は違います。

良い会社でも、次の投資テーマに合わなければ資金化する。
資金を寝かせず、より大きな成長領域へ動かす。

孫さんにとって、ソフトバンク(9434)は安定した資産です。

でも、アリババ、Arm、OpenAIのように、次の時代の土台を取りにいく投資とは役割が違います。

ここを分ける必要があります。

個人投資家は、孫さんの売買をそのまま真似しない

有名投資家の売買を見ると、どうしても気になります。

孫さんが売った。
だから危ないのではないか。
自分も売ったほうがいいのではないか。

そう考えたくなります。

でも、売ったという事実だけでは判断できません。

なぜ売ったのか。
売った資金をどこに向けたのか。
その投資家の目的は何か。

ここを分けます。

ソフトバンクグループ(9984)がソフトバンク(9434)株を一部資金化するのは、通信事業を否定するためではありません。

成熟した通信資産を資金化し、AIやArm、OpenAIのような成長領域へ向かう。

そう読めば、売却の意味は変わります。

一方で、個人投資家がソフトバンク(9434)を見るなら、判断軸は別です。

配当をもらうためなのか。
通信インフラの安定収益を買うのか。
ポートフォリオの守りとして持つのか。
それとも成長株として期待しているのか。

この整理が必要です。

ソフトバンク(9434)は、高配当株としては見る余地があります。

ただし、大きく成長する株として買う銘柄ではありません。

通信事業は成熟しています。
競争もあります。
設備投資も必要です。
配当性向も高めです。

高配当株としてはあり。
でも、未来の大化け銘柄として買う株ではない。

このくらいの距離感が合います。

孫さんの投資目的には合わない。
でも、高配当投資家の目的には合う場合がある。

同じ銘柄でも、投資家によって答えは変わります。

まとめ。孫さんから学ぶのは、銘柄ではなく判断軸

孫正義さんは、今の安定だけで投資する人ではありません。

アリババでは、中国の商売がネットに移る未来に張りました。
Armでは、半導体設計の土台を押さえました。
OpenAIでは、AIが社会のインフラになる未来に張っています。

一方で、WeWorkのように、未来を大きく読みすぎた失敗もあります。

ここが、孫さんの投資の面白さであり、怖さでもあります。

未来を読む力は強い。
でも、事業構造を読み違えると、大きく外す。

だから、個人投資家が孫さんの銘柄をそのまま真似する必要はありません。

学ぶなら、銘柄ではなく判断軸です。

何を残すのか。
何を売るのか。
どこに資金を置くのか。
その資産は、自分の投資目的に合っているのか。

この考え方です。

ソフトバンクグループ(9984)がソフトバンク(9434)株を一部資金化したことも、通信事業を否定したというより、成熟した通信資産をAIやArm、OpenAIのような成長領域へ振り向ける資金配分として読めます。

ソフトバンク(9434)は、悪い会社ではありません。

通信インフラを持っています。
毎月の通信料があります。
法人向けサービスもあります。
PayPayや金融、AI、データ活用にも広げています。
配当もあります。

個人投資家にとっては、高配当株として見る余地があります。

ただし、孫さんが大きく張る未来の中心とは役割が違います。

孫さんにとっては、AI投資へ向かうための成熟資産。
個人投資家にとっては、安定配当を期待する高配当株。

同じ銘柄でも、投資家によって役割は変わります。

大事なのは、有名投資家が売ったかどうかだけで判断しないことです。

売った資金はどこに向かったのか。
その投資家は、何を次の時代の中心と読んでいるのか。
自分の投資目的とは合っているのか。

ここを分けて判断します。

個人投資家でも、保有株を見直すときに使えます。

この銘柄は、配当をもらうために持っているのか。
成長を狙うために持っているのか。
値上がりを期待して持っているのか。
安心感でなんとなく持っているだけなのか。

役割がはっきりしない銘柄は、見直し対象になります。

良い会社でも、自分の投資目的に合っていなければ、持ち続ける理由は弱くなります。

逆に、他人が売った銘柄でも、自分の目的に合っていれば持つ理由はあります。

孫さんの投資から学ぶなら、銘柄の真似ではありません。

未来の市場を読む。
事業構造も押さえる。
売却を見切りだけで判断しない。
自分の投資目的に合うかで判断する。

何を残し、何を売り、どこに資金を置くのか。

その判断軸です。

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