見出し画像

中古マンション購入で後悔しない。大規模修繕で損しやすい管理組合の5つの兆候

マンションの大規模修繕を巡り、業者の関係者が住民になりすまして修繕の話し合いに加わり、工事価格を高く誘導していた問題が報じられました。

住民が毎月積み立ててきたお金を、住民のふりをした業者が狙う。かなり悪質な話ですが、これを特殊な事件で片づけるべきではありません。

大規模修繕には、住民が工事の内容や価格を判断しにくいという弱点があります。国土交通省も、コンサルタントが施工会社から報酬を受け取り、割高な工事や必要以上の工事へ誘導する利益相反を以前から注意喚起しています。

中古マンションを買うとき、室内のきれいさや駅からの距離だけを見てはいけません。

マンションは、部屋と一緒に管理組合も買うものです。


結論:資料を出さないマンションは買わない

私なら、長期修繕計画や総会の議事録を十分に見せてもらえない中古マンションは買いません。

壁紙や水回りは、購入後に自分のお金で直せます。しかし、管理組合のお金の使い方や意思決定は、自分一人では変えられません。

購入後に修繕積立金の大幅な値上げや、まとまった一時金の徴収が決まっても、簡単には逃げられません。だからこそ、契約前に管理の中身を見る必要があります。

そもそも、管理組合と修繕積立金とは

管理組合は、マンションの所有者全員でつくる組織です。外壁、屋上、廊下、エレベーターなど、住民みんなで使う部分の管理や修繕を決めます。

将来の大きな工事に備えて、住民が毎月払うのが修繕積立金です。その金額は、本来、いつ、どんな工事に、いくらかかるかをまとめた長期修繕計画をもとに決めます。

積立金が少なければ、あとから値上げや一時金が必要になります。十分に貯まっていても、業者の選び方が不透明なら、割高な工事で失う可能性があります。

兆候1:長期修繕計画がない、または古い

長期修繕計画には、今後予定する工事の時期と、おおよその費用が書かれています。修繕積立金が足りるかを判断する土台です。

計画があっても、何年も見直されていなければ安心できません。資材費や人件費が上がれば、昔の予算では工事ができないからです。

国土交通省は、長期修繕計画を定期的に見直すよう勧めています。仲介会社には、計画の有無だけでなく、最後に更新した時期まで聞くべきです。

長期修繕計画は、最後にいつ見直しましたか。

この質問に答えられない物件は、慎重に見ます。

兆候2:修繕積立金が安すぎる

毎月の修繕積立金が安いと、家計にはやさしく見えます。しかし、将来の工事費まで安くなるわけではありません。

新築時や築浅の時期だけ負担を低くし、あとから段階的に値上げするマンションもあります。国土交通省も、段階的な値上げは築年数が進むほど合意が難しくなるとして、安定して積み立てる方式を推奨しています。

見るべきなのは、現在の月額ではありません。

次の大規模修繕にいくら必要か。今の積み立て方で間に合うか。今後、いくらまで値上げする予定か。

安い理由を説明できない修繕積立金は、お得ではなく負担の先送りです。

兆候3:残高や滞納額が分からない

修繕積立金は、設定しただけでは貯まりません。住民が実際に払っているか、日常の管理費と分けて管理されているかも確認が必要です。

国の管理計画認定制度でも、管理費と修繕積立金を分けて経理することや、滞納へ適切に対応することが基準に含まれています。

仲介会社へ聞くのは、次の3つです。

・現在の修繕積立金残高
・管理費と修繕積立金の滞納額
・修繕積立金を別の支払いへ流用していないか

「管理会社に任せているので大丈夫です」は答えになりません。必要なのは、残高と滞納額という数字です。

兆候4:総会の議事録が薄い、または見せてもらえない

総会の議事録には、積立金の値上げ、修繕の予定、住民から出た意見などが記録されています。

「工事を承認した」とだけ書かれているのか。候補の会社、見積額、選んだ理由まで残っているのか。

ここには、管理組合の透明性が出ます。

国土交通省の購入者向けチェックでも、長期修繕計画や管理状況を購入前に確認するよう案内しています。

私なら、直近1年分だけでなく、大規模修繕や積立金の値上げを話し合った回の議事録も求めます。それを出せない、または選定理由が全く残っていないマンションは避けます。

兆候5:工事会社を選んだ経緯が分からない

大規模修繕は専門的なので、管理会社やコンサルタントへ相談すること自体は普通です。問題は、住民が任せきりになり、誰が候補を集め、どう比較したのか分からない状態です。

複数社から見積もりを取っていても、その候補を一人のコンサルタントが選んでいれば、本当に競争しているとは限りません。

購入前に、過去の大規模修繕について聞きます。

・何社から見積もりを取ったか
・候補会社を誰が選んだか
・金額以外に何を比べたか
・最終的な会社を選んだ理由は何か

国土交通省が問題視しているのも、専門家が施工会社と裏でつながり、管理組合に不利な発注へ誘導する構造です。

選定の経緯を誰も説明できないなら、その工事費が適正だったかも説明できません。

購入前に、この5つを仲介会社へ頼む

中古マンションを本格的に検討するなら、内覧だけで決めず、次の資料を依頼します。

・長期修繕計画
・管理組合の最新の決算書
・修繕積立金の残高と滞納額
・直近の総会議事録
・過去の大規模修繕の記録

すべてを専門家のように読み解く必要はありません。

最低限、次の3つに答えが出れば、判断材料になります。

次の大規模修繕はいつか。今の積立金で足りるか。工事会社をどうやって選ぶのか。

仲介担当者が分からなければ、売主や管理会社へ確認してもらえばよい話です。数千万円の買い物をするのに、遠慮する必要はありません。

まとめ:内装より、共同財布の中を見る

マンションの大規模修繕で不正が起きやすいのは、住民と業者の間に知識の差があるからです。

住民だけでは価格が分からないため、専門家へ任せる。その専門家と施工会社がつながっていれば、住民のお金を守る人がいなくなります。

私なら、資料を出してもらえないマンション、数字を聞いても曖昧な返事しかないマンション、業者選びの経緯が残っていないマンションは見送ります。

部屋の設備は替えられます。

不透明な管理組合は、一人では替えられません。

中古マンションで後悔しないために見るべきなのは、内装のきれいさだけではありません。住民が集めたお金を、誰が、どんな手順で使うのかまで確認してから買うべきです。

いいなと思ったら応援しよう!