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年収600万円は上位25%。ボーナスなしの中小零細で働く私には、給与の天井がよく見える

「年収600万円を超える人は、給与所得者全体の上位24.9%」

この数字だけを見ると、600万円は一部の人しか届かない高年収に見えます。日本の平均給与は478万円、男性に限れば587万円、女性は333万円です。

では、頑張って働き続ければ、いつか600万円に届くのか。中小零細企業で働き、ボーナスもない私の答えは、かなり厳しめです。今の会社の給与水準に600万円という枠がなければ、普通に頑張っているだけでは届きません。本人の努力より先に、会社と業界の構造でほぼ決まっている部分があるからです。


結論:年収は、会社が払える金額の中でしか決まらない

年収600万円を目指すなら、自分の能力だけを疑う前に、今いる会社がそもそも600万円を払える会社なのかを押さえたほうがいいです。

業界、会社の規模、利益率、給与制度、役職、会社が社員へ還元する考え方。この組み合わせで、だいたいの上限が決まります。特に中小零細企業では、給与テーブルが細かく整備されていない会社もあります。頑張ったから大幅に昇給するのではなく、前年と同じように働き、前年と同じような昇給で終わる。役職が上がっても、責任ほど手当は増えない。会社の業績が良くてもボーナスは出ないのに、業績が悪ければ昇給は止まる。

こうなると、社員側だけが努力を増やしても、年収は大きく動きません。制度のない会社に、評価の奇跡は起きないのです。

平均給与478万円は、ボーナスなしの私には別世界の数字

国税庁の調査による平均給与478万円は、月給だけでなく残業代や各種手当、ボーナスも含めた年間給与です。集計された給与所得者の平均年齢は47.2歳、平均勤続年数は12.6年。つまり若手社員だけの給与ではなく、長く働いてきた40代、50代も含めた平均が478万円ということです。

私にはボーナスがありません。そのためこの数字を聞いても、ボーナスが支給される会社員とは年収の作り方がまったく違います。ボーナスなしで年収600万円に届くには、単純計算で月50万円が必要です。仮に年間4か月分のボーナスがある会社なら、月給37万5,000円でも同じ600万円に届きます。同じ年収600万円でも、そこに到達するために必要な月給は、ボーナスの有無で大きく変わってくるのです。

中小零細企業で月給50万円を払える会社は、もちろんあります。ただ、誰でも勤続年数を重ねれば届く水準ではありません。その会社に月50万円を払う役職や職種が存在しなければ、どれだけ長く働いても届かないままです。

「中小企業だから低い」のではなく、払える構造があるかどうか

「中小企業だから給料が低い」と一括りにするわけではありません。独自技術がある、価格競争に巻き込まれない、少人数で大きな利益を出せる。そうした会社なら、規模が小さくても高い給与を払えます。

ただ、一般論としては会社規模による給与差がはっきり出ています。国税庁の調査では、資本金2,000万円未満の株式会社の平均給与は403万円、資本金10億円以上の株式会社では673万円です。企業規模別の平均には、270万円もの差があります。

業界による差はさらに大きく、最も平均給与が高い電気・ガス・熱供給・水道業は832万円、金融・保険業は702万円である一方、宿泊・飲食サービス業は279万円です。最も高い業界と低い業界では、平均給与が約3倍違います。同じように1日8時間働いても、どれだけ利益を作りやすい業界か、顧客へ価格を転嫁できるか、一人当たりの売上と利益がどれだけ大きいかによって、給与は大きく左右されます。努力が報われるかどうかにも、業界差があるというのは、少し残酷ですが現実です。

「自分の努力が足りないから年収が低い」と考える前に、そもそも会社側に払える余力があるのか、業界の構造そのものがどうなのかを、先に疑ったほうがいいと思います。

中小零細では、給与の天井が早く見える

小さな会社で働いていると、給与の上限が割と早く見えてきます。10歳上の社員がいくらもらっているのか。課長や部長になったらどれくらい増えるのか。社内の人数が少ないぶん、将来の自分を具体的に想像しやすいからです。

10年先を走っている人の給与が自分の目標より低い。管理職になっても手当が月に数万円増えるだけで、残業代がなくなり実質的には収入が減る。会社に明確な昇給基準がなく、社長の判断で決まる。ここまでそろえば、限界はだいたい分かります。会社の給与制度を自分一人の実力で変えるのは、簡単ではありません。

私自身、ボーナスがないぶんこれを強く感じています。毎月の給与がそのまま年間給与になるので、月給も平均的、昇給も小さい、ボーナスもないという3つが重なると、年収はなかなか増えていきません。月5,000円の昇給でも年間ではたった6万円で、年収を100万円上げるには同じペースで16年以上かかる計算です。その間に昇給が止まる年もあれば、社会保険料や物価も上がっていきます。会社側からすれば基本給の引き上げは毎年続く固定費なので、体力のない会社ほど大幅な昇給には慎重になる。この構造は、気合いや面談だけでは変わりません。

それでも、中小零細で働く意味はある

ここまで書くと、中小零細企業で働く意味がないように読めるかもしれません。私は、そうは思っていません。

小さな会社では、仕事の範囲が自然と広くなります。営業だけでなく設計、資材、製造、サービスまで関わる。大企業なら部署ごとに分かれる仕事を、一人で経験できます。経営者との距離が近く、自分の提案がそのまま会社の仕組みになることもあり、実績を作る機会は多いです。

問題は、その経験が今の会社の中だけで終わってしまうことです。幅広い仕事を任されているのに、何年経っても給与へ反映されない。担当業務と責任だけが増え、評価制度は変わらない。「小さい会社だから仕方がない」で片づけ続けると、会社にとって便利な人になるだけで終わってしまいます。

中小零細で幅広い経験を積み、成果を数字や実績として残し、社外でも通用する形にしておく。そのうえで、今の会社が払える報酬の限界を超えたら、環境を変える。私は、この使い方が一番現実的だと思っています。

給与が上がらないからといって、仕事を適当にするつもりはありません。腐って働くのは、自分の時間がもったいないからです。ただし、努力を続ければ会社がいつか必ず報いてくれる、とも考えていません。社員の努力と会社の給与制度は、別の問題だからです。実績を作ったあとその価値に見合う報酬が支払われないなら、別の会社で評価してもらうという選択肢もあります。今の場所でできることをやりながら、限界も見切っておく。私はこちらのほうが前向きだと思っています。

年収600万円を目指す前に、調べておきたいこと

年収600万円を目指すなら、全国平均と自分を比べるより、社内の実例を調べたほうが役に立ちます。

自分より10歳上の社員はいくらもらっているのか。管理職になったとき年収はいくら増えるのか。過去5年間で基本給はどれくらい上がったのか。会社の売上と利益は伸びているのか、利益が出たとき社員へ賞与や昇給で還元されるのか。そして、今の役職や職種で年収600万円を受け取っている人が実際にいるのか。

一人もいないなら、自分だけが届く根拠は薄いです。「頑張れば評価する」という言葉ではなく、実際に誰がどこまで上がっているかで判断する。給与制度は会社からのメッセージであり、社員にどこまで払うつもりがあるのかは、過去の実績にすでに表れています。

まとめ

年収600万円を超える人は、給与所得者全体の上位24.9%です。確かに、誰でも簡単に届く金額ではありません。ただし、届くかどうかは本人の努力だけで決まるわけではなく、会社規模で平均給与は大きく変わり、業界が違えば平均給与は約3倍変わり、ボーナスの有無でも到達までの難易度は変わってきます。

私は中小零細企業で働き、ボーナスもありません。だからこそ、給与の限界は割と見えています。今の会社で努力する意味はありますし、幅広い仕事を経験し、実績を作り、自分の価値を高めることはできます。ただ、会社の給与上限まで、努力だけで突破できるとは思っていません。

年収600万円を目指すなら、自分を責める前に、今の会社に600万円を払う仕組みがあるかを調べる。なければ、今の場所で実績を作り、それを持って環境を変える。頑張ることはやめない。でも、給与の天井が見えている会社で、何年も奇跡を待つこともしない。ボーナスなしの中小零細で働く私が、年収600万円という数字から出した結論です。


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