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時代に合わせて稼ぎ方を変えられる企業の見つけ方。富士フイルムに学ぶ、本業転換の強さ

昔のイメージと、今の稼ぎ方が大きく違う会社があります。

富士フイルムも、その代表例です。

富士フイルムと聞くと、写真フィルムやカメラの会社という印象があります。
でも、今の富士フイルムグループは、ヘルスケア、エレクトロニクス、ビジネスイノベーション、イメージングの4領域で事業を展開する会社です。

つまり、写真フィルムだけの会社ではありません。

この記事は「昔と違う会社になった」という話ではありません。

大事なのは、富士フイルムが時代に合わせて稼ぐ場所を変えたことです。
そして、会社の核まで捨てたわけではないことです。

写真フィルムで培った技術を、別の市場で使い直した。

ここに、本業転換を見るヒントがあります。

この記事では、富士フイルムを例にして、時代に合わせて稼ぎ方を変えられる企業の見つけ方を考えます。


結論

結論、時代に合わせて稼ぎ方を変えられる企業は、長期投資で見る価値があります。

ただし、本業が変わった会社なら何でも良いわけではありません。

判断する軸は3つです。

何が変わったのか。
何が残っているのか。
新しい事業が数字につながっているのか。

富士フイルムの場合、変わったのは写真フィルム中心の稼ぎ方です。
残ったのは、材料技術、化学技術、画像技術、精密塗布、製膜、研究開発力です。

写真フィルムの会社から、まったく別の会社にズレたわけではありません。

写真フィルムで鍛えた技術を、ヘルスケアやエレクトロニクスなどに使い直した会社です。

この違いを分けると、本業転換をした企業を判断しやすくなります。

富士フイルムは、なぜ変わる必要があったのか

富士フイルムの転換は、余裕のある多角化ではありません。

大きな環境変化への対応です。

デジタル化の進展で、主力だった写真フィルム需要は2000年をピークに下がりました。
2010年には、ピーク時の10分の1以下まで落ち込んでいます。
富士フイルム自身も、この時期を本業喪失の危機として、2004年の中期経営計画「VISION75」で、写真感光材料で培った技術を棚卸しし、新しい成長分野を探ったと説明しています。

これは、会社の中心にあった市場そのものが縮んでいく局面です。

昔の本業にこだわり続けていたら、厳しかったはずです。

そこで富士フイルムは、写真フィルムそのものではなく、写真フィルムを作るために持っていた技術に目を向けました。

何を売ってきた会社なのかではなく、何ができる会社なのか。

この発想が、本業転換の出発点です。

変えたのは商品。残したのは技術

本業が変わった会社を見るときは、売る商品だけで判断しない方がいいです。

商品が変わっても、会社の核が残っている場合があります。

富士フイルムの場合、写真フィルムには高度な技術が詰まっています。

富士フイルムは、マイクロメートル単位で薄く均一なフィルムベースを作る技術、機能性物質をナノレベルで設計する技術、何層もの材料を高速かつ均一に塗布する技術を持っています。

これらは、写真フィルムだけにしか使えない技術ではありません。

同社のコア技術には、粒子形成、機能性分子、機能性ポリマー、酸化還元制御、ナノ分散、精密塗布、製膜、精密成形などがあります。

たとえば高機能材料では、ディスプレイ材料、タッチパネル材料、半導体材料、イメージセンサー材料などを提供しています。
半導体製造プロセス向けの材料や、イメージセンサー向けのカラーレジストも扱っています。

つまり、富士フイルムが変えたのは商品です。

残したのは技術です。

本業転換がうまい会社は、過去を捨てるのではなく、過去に積み上げた強みの使い道を変えます。

本業転換には、良い転換と悪い転換がある

本業が変わること自体は、良いことでも悪いことでもありません。

良い転換は、自社の強みを別の市場に使うことです。

悪い転換は、強みと関係ない事業に広がることです。

たとえば、成長市場に入っただけでは強い会社とは言えません。

AIが伸びているからAI事業を始める。
ヘルスケアが伸びているから医療関連に入る。
半導体が強いから半導体関連を買収する。

これだけでは、まだ判断できません。

その会社が元々持っている技術、顧客基盤、ブランド、製造力、研究開発力とつながっているか。

ここを分けます。

富士フイルムの場合は、写真フィルムで培った技術と、ヘルスケアやエレクトロニクスの間につながりがあります。

だから、単なる多角化ではなく、強みの転用として判断できます。

時代に合わせて稼ぎ方を変えられる企業の見つけ方

時代に合わせて稼ぎ方を変えられる企業を探すなら、昔のイメージだけで判断しないことです。

順番はシンプルです。

まず、昔の主力事業が今も伸びているのか。

市場そのものが縮小しているなら、会社は変わる必要があります。

次に、新しい事業が元々の強みとつながっているのか。

技術。
ブランド。
顧客基盤。
製造力。
研究開発力。

この中で、何が残っているのかを追います。

そして、新しい事業が利益につながっているのか。

売上だけでは足りません。
営業利益、利益率、営業キャッシュフローまで比べます。

最後に、選択と集中ができているのか。

古い事業も新しい事業も全部抱えるだけでは、会社は重くなります。
稼ぐ場所を変えるには、伸ばす事業と整理する事業を分ける必要があります。

本業転換で追うのは、派手なストーリーではありません。

昔と違う会社になった理由。
変わったあとに残っている強み。
その強みが、今の利益につながっているか。

この3つです。

投資家が数字で追うところ

ストーリーだけでは買えません。

本業転換がうまくいっているように見えても、数字が伴っていなければ投資判断には使いにくいです。

注目する数字は、このあたりです。

売上構成。
営業利益。
利益率。
営業キャッシュフロー。
研究開発費。
設備投資。
セグメントごとの成長性。
買収の成果。
株主還元の持続性。

特に大事なのは、新しい事業が利益を生んでいるかです。

「これから伸びる事業があります」だけでは弱いです。

売上は伸びているのか。
利益率は上がっているのか。
投資負担は重すぎないか。
営業キャッシュフローは出ているのか。

ここまで数字で追って、初めて本業転換を評価できます。

まとめ

時代に合わせて稼ぎ方を変えられる企業は、長期投資で追う価値があります。

ただし、本業が変わっただけでは買えません。

大事なのは、変わった部分と残った部分を分けることです。

富士フイルムは、写真フィルム市場の縮小に直面しました。
そこで写真フィルムにこだわり続けるのではなく、写真フィルムで培った技術を別の市場に移しました。

変わったのは、売る商品と稼ぐ市場。
残ったのは、技術の核。

本業が変わった会社を見つけたら、最初に確認するのはこの3つです。

何が変わったのか。
何が残っているのか。
数字につながっているのか。

この3つがそろう会社は、時代が変わっても稼ぐ場所を移せる可能性があります。

富士フイルムを見ると、本業転換で大事なのは「何を捨てたか」ではなく、「何を残して稼ぐ場所を変えたか」だと分かります。

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