助けたい気持ちを、詐欺師に渡さない。災害直後の寄付と「復興投資」で確認すること
大きな災害の映像を見ると、「自分にも何かできないか」と思います。
現地へ行けなくても、寄付ならできる。そう考えて、すぐにスマホで寄付先を探す人も多いはずです。
その善意を狙う人がいます。
助けたい人と、助けを待つ人の間に入り、お金をだまし取る。本当に許せない話です。
だからこそ、災害直後は急いで振り込まず、数分だけ立ち止まってください。
災害のあとには、本当に詐欺が出てくる
災害に便乗した詐欺は、想像上の話ではありません。
消費者庁には、過去に次のような事例が寄せられています。
・市役所を名乗り、「義援金を集めている。あとで職員が訪問する」と電話する
・災害の支援団体を名乗り、メールで義援金を求める
・災害救済への協力として、名産品を代金引換で送りつけようとする
・募金をすれば投資ツールを提供すると持ちかける
公的な機関や支援団体の名前を使い、「人を助けたい」という気持ちを利用する手口です。
「自分はだまされない」と思うかもしれません。
しかし、災害直後は情報が混乱しています。被害の映像を見た直後なら、普段よりも早く行動したくなります。
詐欺をする側は、その焦りを狙っています。
市役所や有名な団体を名乗っても、すぐに信用しない
「市役所です。被災地への寄付をお願いします」
「日本赤十字社に代わって集めています」
「このあと職員が受け取りに行きます」
このような電話や訪問があっても、その場でお金を渡さないでください。
消費者庁は、公的な機関が各家庭へ電話をかけ、義援金を求めることは考えにくいと注意を呼びかけています。
確認するときは、相手から教えられた電話番号を使ってはいけません。
自分で市役所や団体の公式サイトを開き、そこに書かれている番号へ連絡します。
名前が本物でも、電話をかけている人まで本物とは限りません。
SNSのリンクやQRコードから、そのまま寄付しない
災害が起きると、SNSには寄付を呼びかける投稿が一気に増えます。
本当に支援活動をしている人もいます。しかし、団体名、写真、ロゴ、被災者の言葉は簡単にコピーできます。
投稿にあるリンクやQRコードを、そのまま使わないでください。
寄付をしたい団体の名前を自分で検索し、公式サイトから振込先を確認します。
口座番号だけでなく、振込先の名義も見てください。
有名な団体への寄付なのに、振込先が知らない個人の名前なら、そこで止めます。
善意があっても、間違った口座へ送れば被災地には届きません。
「被災地を応援できて、お金も増える」は特に疑う
注意したいのは、寄付だけではありません。
災害のあとには、次のような投資話が出てくることがあります。
「復興で必ず上がる会社がある」
「国が支援するから損はしない」
「被災地を応援しながら資産も増やせる」
「今日中なら特別に参加できる」
災害復旧によって仕事が増える会社は実際にあります。
しかし、復興に関わる会社だからといって、株価や投資の利益が必ず上がるわけではありません。
消費者庁には、災害への募金をすると投資ツールを提供すると勧誘され、利益が出なかったという相談も寄せられています。
「支援にもなる」と言われると、普通の投資話より警戒心が下がります。
そこが狙いです。
寄付は寄付、投資は投資です。
二つを一緒にして、善意と利益の両方を強く訴える話には近づかないでください。
SNSで紹介された投資先へ、お金を振り込まない
金融庁には、SNSから閉じたチャットへ誘導し、有名な証券会社や著名人を装って入金させる手口が報告されています。
偽の投資アプリに利益が出ているように表示し、さらに大きな金額を振り込ませる例もあります。
正規の証券会社が、入金先として個人名義の銀行口座を指定することはありません。
災害や復興という言葉が付いていても、投資詐欺の仕組みは変わりません。
知らない人から届いた投資話には参加しない。
SNSで紹介された口座へ振り込まない。
「必ずもうかる」「絶対に安全」という言葉を信じない。
これだけでも、多くの被害を避けられます。
お金を送る前に、3つだけ確認する
1.自分で公式サイトを開いたか
送られてきたリンクではなく、自分で自治体や団体の名前を検索します。
公式サイトに同じ寄付案内がなければ、送金しません。
2.振込先の名前は合っているか
口座番号と名義を、公式サイトの案内と照らし合わせます。
団体への寄付なのに個人名義なら、振り込みを止めます。
3.判断を急がされていないか
「今すぐ」
「今日まで」
「残りわずか」
「あなただけ」
こうした言葉が出たら、一度スマホを閉じてください。
急がせる相手ではなく、確認する時間をくれる窓口から支援します。
振り込んでしまったら、恥ずかしがらずに相談する
送金したあとで「おかしい」と思ったら、すぐに振込先の銀行へ連絡してください。
消費者ホットラインは「188」、警察相談専用電話は「#9110」です。
だまされたことを恥ずかしがる必要はありません。
悪いのは、助けたい気持ちにつけ込んだ側です。
時間がたつほど、お金を取り戻すのは難しくなります。できるだけ早く相談してください。
善意は、早さよりも「届くこと」が大切
災害が起きれば、少しでも早く助けたいと思います。
その気持ちは、止める必要はありません。
ただ、寄付は早く送ればよいわけではありません。本当に困っている人へ届いて、初めて支援になります。
数分立ち止まって、公式サイトと振込先を確認する。
それは冷たい行動でも、支援をためらう行動でもありません。
助けたい気持ちを詐欺師に渡さず、本当に必要としている人へ届けるための確認です。
