内発的動機への探究と無報酬で動くコミュニティマネジメント論
学生時代に学んだこと、特に「内発的な動機付け」をテーマに、私の経験を踏まえてお話しします。
私が学生時代に5年間取り組んだのは、様々な学生コミュニティの立ち上げと運営でした。活動を続けたり終わらせたり、しっかり運営したりと、様々な経験を重ねました。学生のコミュニティでは、社会人サークルのように多額の会費を取ることが難しく、「稼ぐ」という言葉で人を動かすのも困難でした。金銭ではなく、コミュニティそのものに力を注いだ5年間だったと思います。
その中で私が学んだことの一つが、お金を一切払わずに、どうやって人に生産的な活動をしてもらうかという点です。つまり、金銭的報酬のない状態で人を動かす、非常に挑戦的な状況でした。
当初、私はメンバーの内発的動機に期待していました。学生は時間に融通が利くため、指示すれば動いてくれると考えていたのです。しかし、実際に山形で100人規模のオフラインイベントを運営した際には、現実の厳しさを思い知りました。私は常にメンバーの活動を促す必要があり、「あれやった?」「どうなった?」「どうする?」といった進捗確認に追われ、全体を見て考える時間がまったく取れませんでした。結果として、イベント当日のタイムラインや役割分担、緊急対応まで十分に設計できず、集客だけに時間を浪費してしまいました。この経験から、全体を見て動かないとダメだと痛感しました。
そこで私は、人々の内なる動機を可視化し、言語化を支援することに注力しました。なぜこの活動をやりたいのかを一緒に掘り下げることで、本人が「この目的のために、今これをやる必要がある」と自覚し、自ら動けるようになると考えたのです。具体的には、その人自身の目的を一緒に探る対話を毎月行うことを心がけるようになりました。こうした働きかけによって、メンバーは「自分がやりたいから参加している」と思えるようになり、最終的にはそれを信じるようになります。報酬と比較されるとやる気が削がれるため、自分の意思で参加しているという実感を持てるように導くことが必要だと気づきました。
ただし、内発的動機付けだけでは不十分であるとも感じました。人は集団の中で生きるものであり、自分がコミュニティの中でどういった役割を担い、どう貢献すれば自分の満足につながるかを考えることが非常に重要です。これは、私が山形でローカル情報発信webメディアの創設メンバーとして30人ほどの後輩を束ねて活動したときに特に感じたことです。
多くの人は、自分の目的や日々のタスクに対する動機を深く掘り下げられません。だからこそ、コミュニティの中で自分に期待されている役割を明確に伝え続けることや、活動していないメンバーに対してなぜ所属しているのかを問いかけることも時には必要になると学びました。そして何よりも、コミュニティに「居続けたい」と思わせることが重要です。金銭ではなく、所属したいという感情を満たすことで、人は貢献するようになるのです。
このようにして、報酬のない環境で人を動かすために、私が学生時代に学んだことは以下の3つに集約されます。
個人の内発的動機を深く掘り下げること。自発的にやっていると自覚できるよう支援し、目的を見つける対話を定期的に行うことが大切です。
コミュニティの価値をしっかり伝えること。その場に魅力を感じ、自分が必要とされていると実感し、何かをやってみたいと思えるように導くこと。運営者自身が、メンバーの幸せを心から願い、全力で方向性を示す必要があります。
誰かを全員の前で褒めること。成果を認め、皆の前で称えることで、承認されていると感じさせ、モチベーションや仲間意識を生むことにつながります。
こうした要素は、無償で活動する学生団体には不可欠です。そしてそれらを引き出すためには、リーダーが熱意を持って活動していることが何より重要です。「私たちはこのためにやっているんだ」と心から言えるような情熱がなければ、人はついてこないと学びました。活動の価値や理想を共に語れる場があり、一人ひとりの人生を本気で応援する姿勢があってこそ、信頼は生まれるのだと感じています。
学生時代の経験を通じて、内発的動機付けは活動の出発点にはなりますが、それだけで継続的な参加を促すのは難しいと学びました。個人の目的を掘り下げると同時に、集団の中での自分の位置づけや貢献の意義を明確にし、そしてそれを導くリーダーの姿勢が大きな影響を与えるのです。
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