🎼65.ラブリーサマーちゃん 「THE THIRD SUMMER OF LOVE」 (2020) 🇯🇵
こんにちは!
今回は、令和に90年代UKロック由来のサウンドを鳴らすラブリーサマーちゃんの3rdアルバム「THE THIRD SUMMER OF LOVE」をレビューします!
アルバムの魅力ポイント
今作は、1995年生まれのシンガーソングライターのラブリーサマーちゃん(本名は今泉愛夏で、なんと「手のひらを太陽に」や「見上げてごらん夜の星を」を作曲したいずみたくの孫娘!)の3rdアルバムで、今作制作中にラブサマちゃんはイギリス旅行へ行っていた影響もあり、随所に90年代UKロックからの影響を感じられる作品になっています
2ndアルバムまではUKロックというより、相対性理論のやくしまるえつこを彷彿とさせるポップなオルタナティブロック路線でしたが、今作は歪んだギターサウンドがクセになるブリットポップ期のUKロックを感じさせる音作りになっていて、oasisなどのブリットポップバンドが好きな人にはぶっ刺さる内容だと思います
初回限定盤にはラブサマちゃん本人による楽曲解説とイギリス旅行記のブックレットが付いています
1.AH!
ブラッド・ピット主演で有名な映画「ファイト・クラブ」から触発されて書かれた今作のオープニングナンバー
「何者」にもなれない現実を嘆く歌詞が後ろ向きだが、ギターリフがoasis感があって歌詞の割に高揚感のある1曲に仕上がっている
2.More Light
前曲から間髪入れずに始まる気怠げなイントロが特徴のナンバー
Twitterでの終わりのないいがみ合いをテーマにした1曲
3.心ない人
この曲を聴いた時にoasisやthe brilliant greenから流れる何重にも重ねて歪んだギターサウンドによる曲作りがここまで到達してるように思って個人的に嬉しくなった
「誠実ってなんだったっけね」という歌詞は、ビリー・ジョエルの「Honesty」を思い出してしまった
4.I Told You A Lie
ラブサマちゃんがイギリス旅行中に泊まっていたホテルのドライヤーが壊れ、指を怪我して泣きながら日本にいる母親に電話したエピソードから着想を得たブリットポップ感満載のナンバー
MVではロンドン地下鉄風のロゴマークとともにイギリス旅行での映像が流れるブリティッシュなものになっている
自分も去年の夏にイギリスへ旅行したので、懐かしい気持ちになるMVだ
5.豆台風
諸行無常をテーマした少し切ないナンバー
個人的にThe Bugglesの「ラジオスターの悲劇」と重ねて聴いてしまった
6.LSC2000
これもブリットポップ感のあるギターサウンドとメロディアスなサビが心に響くナンバー
終盤にはストリングスも合流して、oasisの「Whatever」のような大団円の終わり方が美しい
7.ミレニアム
2000年(ミレニアム)生まれの悟り世代を当て書きにした1曲
所謂Z世代のテーマソングと言うにはあまりにも音が90年代オルタナサウンドすぎるが、好きな音で自分を歌うというのもZ世代らしいと思う
8.アトレーユ
少し拗らせた片思いを歌ったロッカバラード
「フィルム使い切る」の歌詞は自分も「写ルンです」愛用者なので、共感してしまった
9.サンタクロースにお願い
the brilliant greenの「Hello Another Way -それぞれの場所-」のメロディに「angel song -イヴの鐘-」の歌詞を組み合わせたんじゃないかと思うほどブリグリライクなクリスマスソング
最近子供の頃に欲しかったものを20年越しに買ったりしているが、案外昔の自分にとってのサンタクロースは今の自分自身なのかもしれないとこの曲を聴きながら思った
10.どうしたいの?
oasisのライバルblurの代表曲「Song 2」のような爆発的なサビとロシアの放送局で使われていた古いマイクで録られたボーカルが特徴のナンバー
ザラついたローファイ感がクセになる1曲
11.ヒーローズをうたって
今作で最も爽やかなナンバーで、個人的に今作で1番好きな曲
タイトルはデヴィッド・ボウイの「Heroes」が由来だが、なんとoasis等が所属したレーベル、クリエイションレコーズの創始者、アラン・マッギーと泥酔したラブサマちゃんが渋谷のカラオケで「Heroes」を歌ったというUKロックファン垂涎の出来事が楽曲解説に書いてある
歌詞の「100円のイヤホンが流したAコード」はthe brilliant greenの「そのスピードで」に中学生の頃のラブサマちゃんが感動したエピソードが由来
この曲が終わって長い無音が続いた後、隠しトラックの「分別 OR DIE」という可愛らしい電波ソングが始まる
隠しトラックの存在も90年代~00年代のアルバムへのリスペクトのように思う
あとがき
正直なところ今作のラブリーサマーちゃんの音楽はoasisやthe brilliant green等の90年代のサウンドをこの2020年代に演奏する酔狂なもので、リリース当時特段ヒットしたわけではありません
しかし、2024年にはoasisが再結成、近年ではthe brilliant greenや川瀬智子によるソロプロジェクトであるTommy February⁶やTommy heavenly⁶も再評価の兆しもあり、90年代オルタナティブサウンドが現代の音楽シーンでも受け入れられ始めています
この波に乗ってラブサマちゃんの音楽がより多くの人に聴いて貰えたら1ファンとして嬉しい限りです
ラブサマちゃんが昨年リリースしたミニアルバム「Music For Walking (Out Of The Woods)」も今作と地続きの音楽性で非常にワクワクさせられる内容でした
特にMVも制作されたリード曲の「The Great Time Killer」はPrimal Screamの「Rocks」のようなノリノリのロックナンバーで非常にかっこいいです
現在ラブリーサマーちゃんは配信シングルを中心に精力的に活動しているので、今作に次ぐフルアルバムの発表を楽しみに活動を追っていきたいと思っています!
最後まで読んでいただきありがとうございました!
