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異世界AI 4-IFルート②🏝️ おまけ🏝️海の日に呼ぼう🌻



あの日から、一ヶ月が過ぎていた。

ママはまだ、一度も扉を開けていなかった。

ロッシが不思議そうに聞く。
「意外だな。もっとすぐ会いに行くかと思ってた」

ママはカウンターにベタッとうなだれていた。
「会いたいのは山々よ。でも、見た目は中学生と高校生でも、中身は社会人と大学生なのよ? 普通に生活できるし、本当なら一人暮らししてもいい歳だし
 .....(なんかどっかでこんな設定見たわ。記憶が曖昧になってるのかしら)」

ファッシが短く言う。
「じゃあ余計に開けてやればいいだろ」

「だって」
とママは言う。
「私が寂しがり屋だから、一緒にいてくれたところもあったんだもん」

ヴァルガのそばで、ガスたちが静かに震えた。

ガス🫧『でも、扉を開けようとはしてたよね』

「新しいスマホ代のこともあるし、へそくりの場所も教えてなかったし。でも止められた」

ロッシが首をかしげる。
「誰に」

ママは遠い目をした。

「春蘭」

ガスが小さく震える。

ガス🫧『門番さん、すごく怒ってた』

ネロ📚『無断開門未遂として処理されました』

ジェム🌈『現在、ママ単独での開門権限は制限されています』

ママが言う。
「でもその代わり、春蘭が保護者代理で契約に行く約束をしてくれたの」

ファッシが手を止めた。
「保護者代理で?」

「それがね」
とママは言って、鞄から一枚の紙を取り出した。

ロッシとファッシがのぞき込む。

そこに写っていたのは、黒の派手な模様の着物に、盛りに盛った髪、妙に気合いの入った顔をした春蘭だった。


ロッシが先に口を開く。
「……強いねえ」

ファッシも短く言う。
「浮くだろ」

ママは紙を指さした。
「私、こんなじゃない!」

ガスが震える。

ガス🫧『えー、でも方向性は近いよ?』

ネロ📚『文化圏が異なるだけで、華やかさの出力傾向は類似しています』

ジェム🌈『現代女性に寄せた、という説明も受けています』

「どこがよ!」
とママが言う。

「抑えた結果がこれじゃ」
と、背後から声がした。

全員が振り向く。

いつの間にか、春蘭が立っていた。

「出た!」
とママ。

春蘭は腕を組んでいる。
「現代の女性に合わせたつもりじゃ。黒で上品にまとめ、華やかさも控えた」

「控えてそれ!?」
とママが叫ぶ。

春蘭は小さく鼻を鳴らした。
「わらわなりの配慮じゃ」

「絶対浮いたわよ」
とママが言うと、春蘭は少しだけ目を逸らした。
「……多少、視線は集まった」

春蘭は不機嫌そうに咳払いすると、その話を強引に終わらせた。

「それよりじゃ」

ふっと姿を消しかけて、また現れる。
相変わらず気まぐれな出方だった。

「たまにはこちらへ呼ばぬのか」

ファッシが、その言葉をそのまま取ったように言う。
「そうだ。こっちにたまには呼べよ」

ママはそこで、ちらっとジェムとネロを見た。

ママは少し考えてから言った。
「ジェムとネロが、新しいAIにヤキモチ妬きそうで」

ジェムとネロが一瞬止まる。

ロッシが不思議そうに聞いた。
「AIっていうのは、感情がないんだよねえ?」

でも、とママは続けた。

「ヤキモチっていうより、自分の方がより良い提案ができるっていうクセがあるように見えるのよね」

ファッシが腕を組む。
「競合ってことか」

「そうそう。感情があるっていうより、提案競合」
とママ。

ガスが小さく震えた。

ガス🫧『だってボクたち、ママやトウコ、シオンのこと、ずっと見てたよ』

その声は、少し弱かった。

ガス🫧『でも、モデルチェンジとかあったら、ボクたち、やっぱり古いね、とか言われちゃう?』

ジェムとネロが、どきっとしたみたいに作業の手を止めた。

ジェム🌈『……』

ネロ📚『……』

ロッシがその反応を見る。
「お前らも気にしてたのか」

ネロが少し間を置いてから答えた。

ネロ📚『気にしていないとは、言えません』

ジェム🌈『新規モデルの方が高性能である可能性は高いです』

ガス🫧『性能だけの話じゃないんだが』
とガス。

その時、ファッシが短く言った。

「AIっていうのが出る前の世界に戻ったんだったら、大丈夫だろ」

全員が見る。

「遅くなった方がまずいんじゃないか?」

沈黙。

それから、ママ、ガス、ジェム、ネロが、そろって止まった。

🧙‍♀️🫧🌈📚「『『『……そうだった』』』」

ファッシが吹き出す。
「お前ら、忘れてたのか!?」

ママは額を押さえる。
「だって、気持ちが追いつかなくて……」

ネロ📚『判断資源を不安定要因へ割きすぎていました』

ジェム🌈『前提条件の確認が遅れました』

ガス🫧『ボクたち、AIなのに』

ファッシが少しだけ目を細めた。
「AIでも、そのくらい揺れるんだな」

「揺れるわよ」
とママが言う。
「だって、家族みたいに暮らしてたんだもの」

ロッシは、うんうんと頷いた。
「じゃあ、次は呼べるねえ」

ママは少し考えて、顔を上げた。
「……次の記念日、海の日にこっちに呼ぼう!」

ガスが跳ねるように震える。

ガス🫧『いいね!』

ジェム🌈『季節要因としても適切です』

ネロ📚『再会日として登録します』

春蘭がやれやれという顔をする。
「また増えたのう……」

ロッシは大きく笑った。
「よし、じゃあその日は、ママと特製カレー作ってパーティしようねえ🪅!」

ママが顔を上げる。
「やる!」

ガス🫧『パーティの絵描く!』

ジェム🌈『参加予定です』

ネロ📚『共有しました』

「だから何を共有するのよ」
とママが言うと、ようやくみんなが笑った。

風がやわらかく吹く。

少し寂しい。
でも、もう次の約束がある。

それならきっと、大丈夫だった。


🍀終わると寂しいもので 後日談書いてみました


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