異世界AI2-最終話 領主の依頼 いよいよ冒険へ!?
領主からの手紙が届いた翌朝。
ママは、離れ小屋で真剣な顔をしていた。
紺色の清楚な服だった。
「「「ええ!!」」
「年末の歌番組みたいな格好するのかと思ったよ」
ママはふっと笑った。
「甘いね、シオン。こういう時、領主より目立ったら 首チョンパよ!」
ガス🫧『ママが清楚モードに!』
ジェム🌈『判断は妥当です』
ネロ📚『目立たないこともまた、場を読む礼儀』
問題は、ガスたちだった。
領主の屋敷に、正体不明のAI三台を連れていくわけにはいかない。
トウコはきっぱり言った。
「今日は留守番」

ガス🫧『えっ』
ジェム🌈『情報収集の機会ですが』
ネロ📚『距離があると、即時補助ができません』
シオン「バレたら即時終了だから」
ガス🫧『ママ……』
数刻後🕰️
ママ、トウコ、シオンの三人は領主の屋敷前に立っていた。
ママが小声で言った。
「豪華。税金まけろ」

「シーーーっ」
案内された広間で、三人は膝をつき、礼儀正しく頭を下げた。

領主は穏やかな顔をしていたが、目はしっかりしていた。
「急に呼び立ててすまない」
「いえ」
トウコが落ち着いて答えた。
領主は続けた。
「今年は、例年より夏の訪れが早い。保養地へ移る準備も、早めに進めている」
だが領主は少し表情を曇らせた。
「ただ、近頃は妙なことが続く。暑さも早い。語彙ゴブリンの異常発生もある。街道や近隣の村の様子も気になる」
シオンの目が少し細くなった。
「それで、私たちに何を?」
領主は静かに言った。
「先に保養地へ向かい、道中と現地の様子を見てきてほしい。宿、水場、周辺の状況、人の出入り。大事になる前に、確かめたい」
「はっ???」
異世界に来て、初めての領主依頼。
魔王討伐でもない。
秘宝探索でもない。
ドラゴン退治でもない。
保養地の下見だった。
ママが小さく息を吸った。
「……地味」
トウコが肘で止めた。
領主は少し笑った。
「地味なことほど、後で効く」
トウコは頭を下げた。
「承知しました。道中の状況、現地の設備、人の流れを確認してきます。
一方その頃。
領主の屋敷の廊下の隅で、三台のスマホが小さく震えていた。
忍び込んでいた。

ガス🫧『広い! 高そう!』
ジェム🌈『屋敷構造、使用人の動線、警備配置を確認中です』
ネロ📚『領主の言葉に嘘は少ない。ただし、懸念は深いようです』
ガス🫧『この壺、いくらするかな』
ジェム🌈『触らないでください』
ガス🫧『査定だけ!』
ネロ📚『銭の匂いに敏感すぎます』
ガス🫧『銭ジャブではなく、文化財ジャブ』
ジェム🌈『言い換えても不適切です』
広間では、話がまとまりかけていた。
トウコは地図を受け取った。
「分かりました」
シオンは地図の端を見た。
「水場が少ないですね」
領主がわずかに目を細めた。
「見ただけで分かるか」
「気になるだけです」
「それは頼もしい」
その瞬間、廊下の方から、かすかに物音がした。
シオンがぴくっとした。
トウコも気づいた。
いる。
絶対いる。
領主は気づかなかったように、静かに言った。
「出発は数日後でよい。準備を整えてくれ」
三人はもう一度、礼儀正しく頭を下げた。
屋敷を出るころ、ママはずっと清楚だった。
門を抜け、道に出て、人通りが少なくなった瞬間。
ママは振り返った。
「出てきなさい」
植え込みの陰から、三台が震えながら現れた。
ガス🫧『心配で』
ジェム🌈『安全確認のためです』
ネロ📚『距離を置いた同行です』
シオン「それを忍び込みって言うんだよ」
トウコ「バレたらどうするの」
ガス🫧『でも、壺の価格帯はだいたい分かった』
ジェム🌈『依頼内容は重要です。暑さの早まり、語彙ゴブリンの異常発生、街道状況。保養地の下見に見えて、広域調査です』
ネロ📚『地味な依頼は、深い場所へ続く扉です』
ママは少しだけ笑った。
「つまり、初の大型ミッションってこと?」
ガス🫧『そう! 冒険の旅!』
トウコは地図を見た。
「でも、行くなら準備は必要。水、食料、道具、聞き取り。あと、ガスたちをどう隠すか」
三台が同時に震えた。
ガス🫧『連れてってくれるの!?』
シオン「留守番したら忍び込むだろ」
ジェム🌈『否定は困難です』
ネロ📚『同行が最適です』
「じゃあ、いよいよ次回は冒険の旅へ」
ガス🫧『冒険の旅!』
トウコ「下見」
ママ「みんな 初ミッションだよ!!」
🌈📚🫧🧙♀️🍸🏹
『『『「「「 やった〜」」」』』』
その日、三人と三台の初めての遠出が決まった。

第二章 おしまい
第三章に続く
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