そのあと、クーが思ったこと
🐾 スポーツショップで働く猫・クーの短文エッセイ
〜そのあと、クーが思ったこと〜
はじめまして。
スポーツショップの売り場に立っている猫、クーです。
接客には、
「決断を促すタイミング」というものがあります。
迷いが長くなりすぎないように。
お客さまを疲れさせてしまわないように。
でもボクは、
あえて、ほんの少しだけ待つことにしています。
🐾
棚の前で、
同じボールを何度も見比べる手がありました。
色が違う。
手に取った時の重さも、ほんの少し違う。
その違いを、言葉にして説明することはできます。
でも、その人が決める「最後の理由」までは、ボクは渡せません。
🐾🐾
「こっちのほうが、いいのかな……」
その声は、まだ少し揺れていました。
ボクは、その迷いを無理に消そうとは思いません。
だから、背中をグイッと押す代わりに、
違いをもう一度だけ、静かに、横に並べました。
急がせないように。
ボクの「売りたい」という気配を、消すように。
🐾🐾🐾
「安心して選べました」
その一言を聞いたとき、
喉の奥の強張りが、じわじわと解けていくのが分かりました。
ボクが渡したのは、正解じゃない。
でも、誰にも急かされず、
自分の心と対話するための「静かな時間」は、守れたのかもしれません。
🐾🐾🐾🐾
ここでは、
そんな日々の接客のなかで、
つい拾いすぎてしまった感情や、小さな気づきを、
一歩ずつ、肉球のあとを残すように綴っています。
🐾 クーのひとりごと 🐾
「決められない」のは、優柔不断だからじゃない。
納得できるまで、自分の心と向き合っているだけ。
ボクは、そう信じています。
今日もまた、
ひとつ分の迷いのそばに立てました。
ここは、あなたが「ただの自分」に戻れる場所。
気が向いたときに、
立ち寄ってもらえたら、それだけで。
🐾
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