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piccolotakamura
詩【愛の歌】
詩【愛の歌】
「月が綺麗ですね」
とあなたは私におっしゃいましたね。
「そうですね」
とだけ、私はおこたえしました。
だってあの夜は本当に月が
綺麗でしたもの。
「月が綺麗ですね」
その意味をわかってはいましたが
こたえてしまうと
なにかが壊れてしまいそうで。
私は気づかないふりをいたしました。
あなたのお気持ちに、
私自身の気持ちに、
蓋をして
押し隠してしまいました。
燃えるような人生よりも
平穏な生活をのぞみますもの。
あれから年月が過ぎ
時々思うのでございます。
あの時あなたの
愛の歌を受け入れていたら
今ごろ私はどうなってしまって
いたでしょうと。
あの夜と同じように
夜空にかかる
こんじきの月を仰ぎ見ていると
聞こえてくるのです。
あなたの歌った
愛の歌が。
