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Slackを見てくれない現場…リモート生産管理が意識しているテキストの温度感とは?|製造業バックオフィス(SCM/生産管理)×フルリモートのリアル26

「工場の担当者にメッセージを送ったけれど、既読すらつかない」
「メンションをつけて緊急の納期確認をしたのに、夕方まで返信がない」

フルリモートでSCMや生産管理の仕事をしていると、こうしたテキストコミュニケーションの壁に一度はぶつかるのではないでしょうか。

ITツールに慣れていない現場とスムーズに連携するために、私が実践している「土台づくり」と「テキストの温度感」について、どのような工夫を実践しているかをお話ししていきます。


チャットツールを使ったことがない現場はたくさんある

世の中にはDXや業務効率化という言葉があふれています。
とはいえ、中小製造業の現場において、SlackやTeamsといったツールが最初から浸透しているケースは非常に稀です。

これまで電話とFAX、あるいは直接の会話だけで完璧に業務を回してきた現場にとって、新しいツールの導入は「面倒な作業が増えるだけ」と捉えられても仕方がありません。

それでも、会社の体制変更やリモートワークの導入に伴い、手探りでSlackを使い始めてくれる工場があります。
不慣れな中で、こちらのやり方にチャレンジしてくれる現場は本当に貴重な存在です。
だからこそ、ツールのルールを現場に押し付けるのではなく、こちら側で使いやすい土台を整えてあげることが、フルリモートSCMの大切な初期整備になります。

担当者に依存するという現実

ようやくSlackに招待したからといって、全員が同じ頻度で画面を見ているわけではありません。
通知に気づいてすぐに反応してくれる人もいれば、作業の手を止めたくないために夕方まで一切アプリを開かない人もいます。
窓口が営業さんだったりすると、日中は外回りでSlackをなかなか開けないという方もいますね。

そのため、「@here」や「@担当者名」といったメンションがどれくらい機能するかは、完全に現場の担当者個人の習慣に依存してしまいます。

これに対して、「なぜ見てくれないのか」と相手を責めるのは筋違いです。
現場は目の前の製造ラインや出荷作業で手が塞がっています。
私はまず、相手が「1日に何回、どのタイミングならパソコンやスマホを見るか」を観察することから始めました。

朝礼の後、昼休憩の前、そして夕方の出荷作業や打ち合わせが終わった後。
相手の動線を予測し、重要な連絡はそのタイミングの少し前に届くように時間差を意識して送信しています。
期限ギリギリになってからメンションをせず、早め早めに余裕のあるうちに連絡を入れることももちろん大事です。

ツールの機能に頼るのではなく、相手の仕事の流れにこちらが合わせるアプローチをしてみてもいいかもしれません。

テキストの「冷たさ」が現場との壁を作る

Slackを見てくれない、返信が遅いと悩んだとき、自分の送ったメッセージを見直すようにしています。
SCMは他部署での遅延やズレが集約して降ってくる職種のため、つい「早く状況を把握したい」「早く決めてしまいたい」という焦りが生まれがちです。

その結果、「〇〇の納期はいつになりますか?」「至急確認をお願いします」といった、事実と要求だけを伝える業務的なテキストを送ってしまいがちです。

しかし、現場からすれば、忙しく手を動かしている最中に無機質で冷たい「尋問」のようなテキストが届けば、無意識に後回しにしたくなってしまうかもしれません。

対面であれば声のトーンや表情でカバーできる部分が、テキストだけだと「冷たさ」や「キツさ」として増幅して伝わってしまうのです。

この冷たさを解消するために、私は意図的にテキストへ「温度」を乗せる工夫をしています。

例えば、ただ納期を聞くのではなく、「営業から急ぎの相談が来てしまい、申し訳ないのですが」と背景を添える
「今ラインが立て込んでいて大変な時間帯かと思いますが」と、相手の今の状況を想像してクッション言葉を入れる

あるいは、綺麗すぎるビジネスメールの定型文をあえて崩し、現場の言葉遣いに近い、少しフランクで柔らかい表現に変えることもあります。

文章に少しの労いと文脈を混ぜ込むだけで、テキストの温度感は劇的に変わります。
「監視されている」「急かされている」という印象を払拭し、「一緒に調整している」というスタンスを文字で伝えることが重要です。

スレッドの乱立を避けて迷子を作らない

チャットツールに慣れていない人が最も混乱するのが、スレッド機能です。
一つの投稿に対して、下部に紐づく形で会話が続いていく仕様は、慣れるまでは「どこに何が書いてあるか分からない」という現象を引き起こします。

会話があちこちのスレッドに乱立してしまうと、現場の担当者はそれだけで読む気を失ってしまいます。
そのため、スレッド内で話をしないとあとから文脈が追えなくなりそうであれば、該当ポストを適切なスレッド内にリンクを貼付します。

テキストの海の中で、現場を迷子にさせないためのナビゲートが必要です。

ワークフローの活用で入力のハードルを極限まで下げる

現場がテキスト入力を嫌がる理由の一つに、「何を書けばいいか分からない」「文章を考えるのが面倒」という点があります。
これを解決するために、Slackのワークフロー機能を活用しています。

例えば、急な資材の不足や、納期変更の連絡、部品の初期不良報告などを現場から上げてもらう場合、自由記述のメッセージではなく、専用の入力フォームを用意します。
「品番」「数量」「希望納期」をプルダウンや短い数字だけで入力できるように設定しておくのです。
現場にとっては「スマホでポチポチ選ぶだけ」になり、こちらにとっては「必要な情報が不足なく一発で揃う」という状態が作れます。

現場に努力を求めるのではなく、仕組みで入力を楽にする。
これが、テキストコミュニケーションを長続きさせるコツです。

早いか遅いかではなく止まらないための順番を整える

フルリモートのSCMに求められるのは、決して最新のITツールを完璧に使いこなすことではありません。
テキストという文字情報だけの世界だからこそ、画面の向こうにいる「人」の状況を想像し、相手が一番動きやすい形で情報を届ける泥臭さが必要です。

こちらが丁寧に土台を整え、テキストの温度感を調整していくと、最初は頑なに電話しか使わなかった工場の担当者から、少しずつSlackでの報告が届くようになっていきます。

現場の負担を下げ、業務の滞りをなくすこと。
それもまた、現場を止めないための大事なバックオフィスの役割なのだと感じています。



最後まで読んでいただきありがとうございます!
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このシリーズでは、フルリモートで製造業を支える工夫を小出しに記録中です。

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