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「サンタさんなんていない」

「サンタさんなんていない」
そう気づいたのはいつのことだったのだろう。
その時は鮮明だった記憶も、今となっては全く思い出せない。
これだから歳をとるのはいやだな、と思いつつも、ぼんやり覚えているあの日のクリスマスを、ここに書き認めておこうと思ったのだ。

私には2つ下の妹がいる。
小さい頃の2つ下は今とは違ってかなりの差があった。
きっと私が小学校6年生くらいで、妹は4年生だったと思う。

「サンタさんなんていない(親がこっそりプレゼントを置いているんだ)」
と知ってしまった私は、長女ということもあり、親に気を遣って、
初めてサンタさんへのプレゼントのおねだりをしなかった。

母も母で娘の機微を感じ取ったのか、心配そうに尋ねてきた。

「ねえ、サンタさんに何をお願いするの?」

「んー、特に欲しいものがないからいい。」

妹はそんな会話の傍で、嬉しそうにおねだりのお手紙を書いている。

親にとっては、片方だけにサンタがくるというのもバツが悪い。
なんとか姉の方にも欲しいものはないかと探ってくるが、きっと私は感づいたのだということも理解して、どうしようもないような状況になっていた。

私は気を遣ったのもあるが、親がサンタと知ってしまってから、
何食わぬ顔でオーダーするほど厚かましくないぞというプライドもあったと思う。
しかし大人になってよくよく考えてみれば、このシステム、なかなかに絶妙なバランスで成り立っているではないか。

気づいた子どもはどうやって親に打ち明けるのか。
親は気づかない子どもにどうやって打ち明けるのか。

どっちが先か、はたまた家族によって全然違うエンディングを迎えるだろう。
今年のクリスマスは、この一家にワンストーリーなサンタのからくり話を、友人たちに聞いてみたくなった。

さて、親は私のオーダーも聞けないまま、クリスマス当日を迎えた。
私は物心がついて初めて何ももらえない朝を迎えることになることを覚悟して眠りについた。

”全然大丈夫。だってもう子どもじゃないし”
そんな気持ちだったと思う。

翌朝、妹がきゃっきゃと喜んでいる声が聴こえてきて目が覚めた。
そして、私は私で枕元を見てびっくりした。
見慣れぬハムスターのシールがたくさん置いてあったのだ。

それは、その時私が一番ハマっていたものだった。
私は予期せぬ贈り物に戸惑いながらも、とても嬉しかったのを覚えている。

きっと、私が今一番欲しいものはなんなのかをたくさん考えてくれたんだな。
そして、それが本当に分かるところがすごいなと思ったのだ。

贈り物とは、どんな場面であれこういうことなんだろうなと思う。
相手が喜ぶ顔を思い浮かべて贈るもの。
きっと私はこうされてきたから、今も贈り物が好きだ。

相変わらずはしゃいでいる妹をよそに、私は突然のサプライズに照れくさくて、上手く感情を表せないでいる。

だけど、こんな素敵なサンタに伝えなかったらきっとバチが当たる。
私は、気持ちを紛らわすように母に伝えた。

「サンタさん、私の好きなもの知ってたみたい」

#忘れられない贈り物

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