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いろんな自分

「生殖記」――待望のオーディブル解禁!
口にするのも少し照れくさいタイトル「生殖記」。
朝井リョウらしいユーモラスで鋭い視点が光る、「繁殖」「多様性」「生きづらさ」「社会正義」への問いかけが心に刺さる、斬新な一冊が耳で聞けます。


生殖記
朝井 リョウ(著)

『正欲』から3年半ぶりとなる最新長篇。

とある家電メーカー総務部勤務の尚成は、同僚と二個体で新宿の量販店に来ています。

体組成計を買うため――ではなく、寿命を効率よく消費するために。

この本は、そんなヒトのオス個体に宿る◯◯目線の、おそらく誰も読んだことのない文字列の集積です。

生殖記
朝井 リョウ(著)
Amazonより

✻あらすじ✻

家電メーカーの総務部に行く33歳の男性・尚成(なおなり)が主人公。 物語は、彼が同僚と新宿の注目店へ体組成計を買いに行く場面から始まります。

最大の特徴は語り手の視点で、尚成の「生殖本能」(男性=オスの視点)が物語を語ります。
凡庸で「普通」に生きようともがく尚成は、社会の「生産性」「効率」、異性愛や結婚の「当たり前」に違和感を覚えており、少数派の生きづらさも感じます。

やがて自分や社会の価値観に向き合い、「同性愛者や単独者がなぜ否定されるのか」「子孫を残せないことにどんな意味があるのか」と疑問を抱きます。

◆感想◆

まさか、「ヒトのオス個体に宿る◯◯視点」で話が進むなんて、誰が想像しただろうか?思わず、「これ、私は今どこに視点を合わせて読んでいるんだろう…?」と戸惑いながらも、次第にクセになる独特なテンションに引き込まれていきました。

尚成が「普通」になりたいと悩む姿や、会社や社会の「効率」「生産性」に振り回される現代人の生きづらさがリアルに描かれています。

さらに、技術と哲学の狭間をゆらゆらと揺れ動く展開に考えさせられます。 そして、朝井リョウさんらしい驚きと鋭い社会洞察が絶妙なバランスで織り込まれていて、クスッと笑いながら何度も自分に問いかけたくなる不思議な読後感があります。

結論として、この本を読むことで「いろんな自分」と向き合うことができます。
タイトルにとらわれず、これまでにない視点で描かれた物語によって、私自身も「生きやすさ」について少し前向きに考えられるようになりました。

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