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正体と復讐

シリーズ第8弾『妖奇庵夜話
顔のない鵺』を読みました。
深遠さと緊迫感に圧倒されま
           した。
今回のテーマは「正体と復讐」
存在しないはずの妖人たちが
次々と現れる展開に、息をの
       む思いでした。


妖奇庵夜話 
顔のない鵺
榎田 ユウリ (著)

「御指を、いただきたく存じ
ます」
洗足伊織(せんぞくいおり)
のもとに現れた老婦人は、
妖人《鬼指(おにゆび)》と
          名乗る。
刃を手に、指をくれと迫りな
がらも、彼女はひどく怯えて
           いた。
 他にも《シシン》、《天邪鬼》
と、存在しないはずの妖人た
     ちが伊織に近づく。

 青目の関わりを察した伊織は、
家令・夷(えびす)にある指
         示を下す。
 一方、刑事の脇坂(わきさか)
は『麒麟の光』事件の真相を
           追う。
そこには正体不明の《鵺(ぬ
   え)》の気配が潜み……。
 本当に悪い奴は、誰なのか。

    妖人探偵小説第8弾。

 妖奇庵夜話
顔のない鵺
榎田 ユウリ (著)

物語の核心となる《鬼指》や
《シシン》、《天邪鬼》とい
った妖人たちの登場は、これ
までの常識を覆す衝撃的なも
         のでした。
特に、老婦人が伊織の指を求
めて現れるシーンは、不気味
さと哀しみが入り混じる印象
      的な場面でした。

 青目の影が再び色濃くなる中、
伊織が家令・夷に下す指示の
真意は計り知れず、物語の緊
    張感を高めています。
一方で、脇坂刑事が『麒麟の
 光』事件の真相を追う展開は、
過去の事件と現在の状況を繋
ぐ重要な伏線となっており、
   推理心をくすぐります。

 特に印象的だったのは、《鵺》
    の存在を巡る謎です。
正体不明の妖怪が物語の陰に
潜む様子は、単なるファンタ
ジー要素ではなく、人間社会
の闇を象徴しているようで、
  深い考察を促されました。

榎田ユウリさんの筆力は健在
 で、美しくも妖艶な世界観と、
鋭い社会批評を見事に融合さ
        せています。
特に、「本当に悪い奴は誰な
のか」というテーマは、現代
 社会の複雑さを反映しており、
    深い思索を促します。

『妖奇庵夜話』シリーズは、
回を重ねるごとに登場人物た
ちの過去と現在が複雑に絡み
合い、より重層的な物語に進
       化しています。
特に今回は、これまでの事件
の真相が少しずつ明かされて
いく展開に、シリーズの集大
  成を感じさせられました。

この作品は、ミステリーとフ
ァンタジーの枠を超えて、人
間の本質と復讐心の闇を鋭く
     描き出しています。
被害者と加害者の立場が入れ
替わる可能性を示唆する展開
は、読者の倫理観を揺さぶり
           ます。
クライマックスに向けて、物
語がどのような結末を迎える
 のか、今から心躍る思いです。

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