ダークファンタジー恐怖譚
この一冊を読んでいる最中、私の指先はひんやりと冷え、ページをめくるごとに背筋がぞくぞくした。
銭天堂シリーズの“ちょっと怖い”世界は、今回は一気に“本当の恐怖”へ。
あやし、おそろし、天獄園
ふしぎ駄菓子屋銭天堂
廣嶋玲子 (著)
「ふしぎ駄菓子屋 銭天堂」シリーズに登場した「怪童」が経営する遊園地「天獄園」を舞台にしたスピンオフ作品。
怪童がくばる遊園地へのお試しチケットに招かれた6人の恐怖体験を描く! 観覧車、ジェットコースター、メリーゴーランド、天獄園のアトラクションは、一見どこの遊園地でもみかけるオーソドックスなものばかり。だが、銭天堂の紅子も「足をふみ入れないのがいちばん」と言っているとおり、そのアトラクションには、おそろしい結末がまっている。天獄園には、銭天堂シリーズで紅子の敵役となった「よどみ」も登場。怪童からスウィーツショップをまかされたよどみは、たたりめ堂時代のノウハウを生かし、悪意に満ちたお菓子をつくり販売する。
銭天堂シリーズよりも、ダーク色が強くなり、読者対象も高めに設定しているので、銭天堂を卒業した読者も楽しめる。
ふしぎ駄菓子屋銭天堂
廣嶋玲子 (著)
Amazonより
✻あらすじ✻
「怪童」が経営する遊園地・天獄園。
怪童から「お試しチケット」を受け取った6人が招かれ、観覧車やジェットコースター、メリーゴーランド――どこにでもあるはずのアトラクションばかりのはず。
けれど、ひとたび足を踏み入れると、銭天堂の紅子が「絶対に近づくな」と忠告する意味を骨身に染みて思い知らされる。
園内では紅子の宿敵・「よどみ」がスウィーツショップで暗躍。
よどみが作る悪意に満ちたお菓子は、食べる者の心を闇に引きずり込む。
6人は次々と“自分だけが知る恐怖”を味わい、楽しいはずの遊園地が綿密に張り巡らされた罠だと気付き始める――出口が見えない不安と不気味さがじわじわ迫る物語。
◆感想◆
怪童はただのいたずら者ではなく、純粋な悪意を少しずつにじませてくる。その手で選ばれた6人は、誰もが心の奥に隠した恐れや弱さを見透かされ、天獄園のアトラクションでそれを暴かれていく。
特に印象的だったのはよどみの暗躍。
スウィーツショップに並ぶお菓子は、ふわふわで甘い見た目とは裏腹に、食べた途端に世界が反転してしまう感覚に陥る。
私は思わず「こんなお菓子、絶対口にしたくない」と震えた。
本来楽しいはずの遊園地が、誰にも逃げ道を与えず、徹底的に絶望を味わわせてくる。
それがこの作品の“悪の美学”だった。
読み終えても、物語の不気味な余韻が長く胸に残る。
これはもう「銭天堂のスピンオフ」ではなく、「ダークファンタジー恐怖譚」と呼ぶべき一冊。
子どもの頃の“怖いもの見たさ”を思い出しながらも、大人になった今だからこそ味わえる深い恐怖と苦味――それがじわじわと染みてくる、そんな作品だった。
Kindle版

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自己紹介
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