人間一人死ねば、その一人分の穴が開く
『空白を満たしなさい(上)』
を読みました。
不思議な感覚に包まれていた。
平野啓一郎さんの筆力は、死
者が蘇る世界を驚くほどリア
ルに描き出し、私の心を掴ん
で離さなかった。
空白を満たしなさい(上)
平野啓一郎 (著)
ある夜、勤務先の会議室で目
醒めた土屋徹生は、帰宅後、
妻から「あなたは3年前に死
んだはず」と告げられる。
死因は「自殺」。
家族はそのため心に深い傷を
負っていた。
しかし、息子が生まれ、仕事
も順調だった当時、自殺する
理由などない徹生は、殺され
たのではと疑う。
そして浮かび上がる犯人の記
憶……。
死者たちが生き返ってくる世
界を、息を呑む圧倒的なリア
リティで描き出し、現代にお
ける「自己」という存在の危
機と、「幸福」の意味を追究
して、深い感動を呼んだ傑作
長編
平野啓一郎 (著)
Amazonより
主人公の土屋徹生が会議室で
目覚め、3年前に自殺したは
ずだと告げられるシーンから、
私は一気に物語の中に引き込
まれた。
自分の死の真相を追求する徹
生の姿に、私は自分自身を重
ね合わせずにはいられなかっ
た。
平野さんの「分人主義」の考
えが随所に散りばめられてお
り、私は自己の存在について
深く考えさせられた。
死と生、そして幸福の意味を
追求する物語の展開に、私は
息を呑むような緊張感を覚え
た。
特に印象的だったのは、安西
が徹生に語る言葉だ。
「人間一人死ねば、その一人
分の穴が開く」という表現は、
私の心に深く刻まれた。
死者の不在が残された者たち
の人生にどれほどの影響を与
えるのか、私は考えずにはい
られなかった。
物語が進むにつれ、私は徹生
と共に真相に近づいていく感
覚を味わった。
そして、最後に徹生が息子の
ために残すメッセージ。
「空白を満たしなさい」とい
うタイトルの意味を知った時、
私は深い感動に包まれた。
平野啓一郎さんの『空白を満
たしなさい(上)』は、私に生
と死、そして人間存在の本質
について考えさせる、不気味
さと小気味よさが絶妙に混ざ
り合った傑作だった。
この本は、私の中に大きな余
韻を残し、長く心に残り続け
るだろう。
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