昭和のノスタルジー
『今夜、喫茶マチカネで』を
読みました。
この物語は、大阪の待兼山駅
前にある喫茶店「喫茶マチカ
ネ」が閉店を迎える最後の数
か月間、月に一度開かれる「
待兼山奇談倶楽部」で語られ
る人々の思い出や奇談を中心
に進みます。
昭和のノスタルジー漂う描写
や、街角で起きた小さな奇跡
が織り込まれたストーリーは、
まるで自分がその場にいるか
のような感覚を与えてくれま
した。
今夜、喫茶マチカネで
増山 実 (著)
「閉店って。店、やめるって
ことか」
私は無言のまま、ちいさくう
なずいた。
昭和29年に待兼山駅の近くで、
父と母が始めた書店と喫茶店。
1階の書店を兄が、2階の喫
茶店を弟が継いだが、時代の
流れもあり、最寄駅の名称が
変わるタイミングで店を閉じ
ることに。
喫茶マチカネの店主・今澤敦
己は、店を愛する客からの提
案で、残された数カ月の間、
心に残る不思議な経験をゲス
トが語る会「待兼山奇談倶楽
部」を開催する。
そこで語られた、人生におけ
るとっておきの出来事とは……。
増山 実 (著)
Amazonより
特に印象的だったのは、各話
に登場する人物たちがそれぞ
れ抱える秘密や人生のドラマ
です。
それらは決して派手ではあり
ませんが、静かに心に響きま
す。
例えば、「銭湯のピアニスト
」のエピソードでは、銭湯で
ピアノを弾く青年の物語が描
かれ、彼の音楽への情熱と生
活のリアルが胸に迫りました。
また、「恋するマチカネワニ」
では地元で発掘された化石が
登場し、不思議な郷愁と驚き
を感じさせてくれます。
この本には、昭和の街並みや
文化への愛情が溢れており、
行ったこともない場所なのに
懐かしさがこみ上げてくる不
思議な魅力があります。
喫茶店という舞台もまた、誰
もが一度は訪れたことがある
ような親しみやすさを持ち、
その空間で紡がれる物語は読
者に安心感と温もりを与えて
くれます。
閉店を迎える「喫茶マチカネ」
の最後の日々を通じて、人々
の人生に寄り添い、小さな奇
跡や幸せを描いたこの作品は、
忙しい日常から少し離れて心
を癒したいときにぴったりで
す。読後には、自分自身の「
あの時代」「あの街」を思い
出し、懐かしい気持ちになる
こと間違いありません。
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自己紹介
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