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本を処方するブックカフェ

『ドゥリトル先生のブックカフェ』――読後の余韻が心地よく、まるでカフェでコーヒーを味わっているかのような温かさに包まれる一冊でした。
最初は「妻の様子がなんだかおかしい」という日常の謎めいた導入に、思わずページをめくる手が止まらなくなります。
ミステリックな気配と家庭の空気、その先にある人間模様が柔らかく描かれています。


ドゥリトル先生のブックカフェ
賀十つばさ (著)

妻の様子がなんだかおかしい。毎週金曜日に仕事と偽って、近所のカフェに通っているのだ。常連客は、不登校の小学生に、定年退職した男性、憧れの日本で暮らす外国人、そして僕!?自分の居場所が見つからないお客たちに、店主は美味しいコーヒーと焼きたてのスコーンと共に、本を処方するが……。心もお腹も満たされるブックカフェ、営業中!

ドゥリトル先生のブックカフェ
賀十つばさ (著)
Amazonより

本作の魅力は、ただのカフェ小説ではなく「本を処方する」というユニークな設定。誰もが「自分の居場所」を探しながら、カフェの扉を開けます。不登校の小学生、定年退職の男性、日本に憧れる外国人、そして一見“僕”自身です。登場人物それぞれが静かに悩みや孤独を抱えながら、店主の絶妙な本選びと丁寧に淹れたコーヒー、焼きたてのスコーンに癒やされていきます。“自分のために本を選んでくれる”というおもてなしが、読者の心にも静かに沁みてくるのです。

私がとくに心に残った名言

「本当にほしいものは、言葉にする前に、誰かが気づいてくれることがある。」

まるで、心の奥にある想いまで静かにすくい上げてくれるこのブックカフェの存在を端的に表しています。

読むポイント

  • ミステリめいた妻の行動が物語のフックとなり、次第に常連客一人一人の心の問題や居場所探しへと広がっていく

  • 店主が本を「処方」することで、人生の悩みにそっと寄り添う優しい空気感

  • 日常と物語が穏やかに交錯し、心もお腹も満たされる幸福感

  • キャラクターたちのさりげない成長と自分も誰かに読んでほしい本を処方したくなる余韻

「どこかに自分の居場所がほしかった」「自分のことを丸ごと肯定してくれる場所に出合いたい」そんな気持ちがある方には、ぜひ手に取ってほしい一冊です。ブックカフェで心をリセットできるような、優しい読書体験を味わえるでしょう。
そして私は、思わずブックカフェを無意識に探し回ってしまうのでした。

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