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音楽は生きることそのもの

『蜜蜂と遠雷(下)』
もう、最後までヒリヒリしっぱなしでした。
2次予選の課題曲「春と修羅」。宮沢賢治の詩が音楽に昇華される瞬間、その一音一音が胸に突き刺さってきました。演奏者によってこんなにも景色が変わるのかと、ページをめくるたびに私は聴衆の一人になって震えていました。


蜜蜂と遠雷(下)
恩田陸 (著)


2次予選での課題曲「春と修羅」。この現代曲をどう弾くかが3次予選に進めるか否かの分かれ道だった。マサルの演奏は素晴らしかった。が、明石は自分の「春と修羅」に自信を持ち、勝算を感じていた……。12人が残る3次(リサイタル形式)、6人しか選ばれない本選(オーケストラとの協奏曲)に勝ち進むのは誰か。そして優勝を手にするのは――。

蜜蜂と遠雷(下)
恩田陸 (著)
Amazonより

✻あらすじ✻

私の前に立ちはだかったのは、2次予選の課題曲「春と修羅」だった。
宮沢賢治の詩に挑むような、難解で、それでいて無限の可能性を秘めた現代曲。これをどう弾くかで、未来が決まる――そんな緊張の渦中に私はいた。

マサルの演奏は完璧で、息をのむほど美しかった。
けれど、私は自分の「春と修羅」を信じるしかなかった。
塵の奔放な音は嵐のように会場を揺さぶり、亜夜は再び音楽を取り戻し、舞台で輝きを放ち始めていた。

12人に絞られた3次、そして6人だけが進める本選。
オーケストラとの協奏曲――誰が最後まで残り、誰が優勝を手にするのか。
けれど、競う相手は他の誰でもない。結局は、自分自身だった。

鍵盤に触れるたび、私は問われ続ける。
「おまえは、何を奏でたいのか」と。
音楽の嵐の中で、私たちはそれぞれの答えを探し続けていた。

📖感想

明石が自分の音を信じた姿には勇気をもらい、マサルの完璧さに圧倒され、亜夜が再び“音楽”を取り戻していく過程には涙がこぼれました。そして塵。彼の音はまるで自然そのもので、規格外で、どうしようもなく心を揺さぶる。文字なのに音が聴こえる感覚って、本当にすごい。

コンクールは競争でありながら、同時にそれぞれが自分自身と闘う物語でした。才能、努力、恐怖、希望――それらすべてが舞台の上でぶつかり合い、共鳴し、最後にはひとつの大きな音楽になっていく。

読み終えたとき、拍手を送りたくてたまりませんでした。まるで自分も会場にいて、最後の一音を聴き届けたかのように。

「音楽って、生きることそのものなんだ」――そんな思いを深く刻まれた一冊でした。

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