つつましい生にこそ意味がある
「不思議カフェ NEKOMIMI」
を読みました。
私が感じた“ささやかな魔法”
の力村山早紀さんの『不思議
カフェ NEKOMIMI』は、50代
女性・律子が黒猫メロディと
共に魔法の車で旅する物語で
す。
孤独死や戦争といった現実の
闇を背負いながらも、紅茶の
香りと猫のぬくもりに包まれ
る不思議な読後感は、まさに
「心に灯がともるようなあた
たかさ」そのものでした。
不思議カフェNEKOMIMI
村山早紀 (著)
あなたの、ささやかな生には
意味がある。
毎日こつこつと働き、余暇に
は本を読み、紅茶を淹れて音
楽を聴く。
つつましく生きてきた律子に
人生の終盤、ある奇跡が訪れ
る。
<彼女は善い魔法使いとなり、
出会ったひとびとを救い、幸
福にするための力を手に入れ
るのですが、それは世界の片
隅で起きるひそかな物語、ほ
んとうに小さな魔法です。
地球を救ったり、闇の力と戦
ったり、そういう壮大な物語
ではありません。
時の狭間の中で忘れられてゆ
くような、忘れられてきたよ
うな、小さな祈りや命をひと
つひとつ大切にすくい上げて
ゆく、そんな物語です>――
著者あとがきより
人ならぬ身となり、黒猫メロ
ディとともに空飛ぶ車に乗っ
た律子は、旅先でいろんなひ
とや妖怪と出会ったり、時に
はカフェを開いてお客様に料
理やお茶をふるまったり…。
村山早紀 (著)
Amazonより
「日常に潜む魔法」との出会
い
物語の核にあるのは「善い魔
法使い」として人々を救う律
子の姿。
妖怪や亡霊と出会いながらも、
彼女が振る舞うのは手作りの
料理と真心こもったお茶──。
壮大な冒険ではなく、忘れら
れかけたちいさな命をすくい
上げる行為の積み重ねが、読
むほどに胸に染み渡ります。
特に「空飛ぶ車」で町を巡り
カフェを開く描写は、現実逃
避ではなく「生きる希望その
もの」を届ける行為だと感じ
ました。
「私」と律子が重なる瞬間
「毎日こつこつと働き、本を
読み、紅茶を淹れる」という
律子の生き方は、現代を生き
る私たちの日常そのもの。
彼女が魔女として目覚めるき
っかけが「孤独死」という現
代的なテーマにある点に、作
者の社会へのまなざしを強く
感じます。
レビューにある「コロナとの
共生を模索していたあの頃…
理不尽な戦争が続く今だから
こそ沁みた」という感想はま
さに的を射ており、困難な時
代を生きる読者へのエールだ
と思いました。
読書体験がもたらしたもの
ページをめくるたび、植物の
息吹や料理の香りが五感を刺
激する描写は、現実世界に小
さな魔法を見つける訓練のよ
う。
特に「時の狭間で忘れられゆ
く命をすくい上げる」という
作者の言葉は、SNS時代の
速い情報消費へのアンチテー
ゼとして響きました。
「レビュー投稿数が急増して
いる理由」がここにあると確
信──読むほどに「自分の中
の律子」が目覚めていく感覚
を得られる一冊です。
「NEKOMIMI」が教えてくれた
こと
この物語は決して現実逃避を
勧めない。
むしろ「つつましい生にこそ
意味がある」と静かに断言す
る。
高評価レビューが指摘する「
寒い冬に暖かい部屋で読むの
に最適」という特性は、単な
る季節感を超え、心の保温効
果をもたらす比喩だと思いま
した。
猫好きならずとも、メロディ
の存在がもたらす安心感は特
効薬のようです。
最後に──この本は「優しさ
のリハーサル」のような体験
でした。
現実世界で出会う困難を前に
した時、きっと律子の魔法の
レシピが心の支えになる。
そう確信させる力が、村山早
紀さんの文章にはあります。
読了後、いつもより丁寧に紅
茶を淹れ、窓辺でペットの寝
顔を見つめる時間が増えたの
は、私だけではないはずです。
Kindle版

Audible版

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自己紹介
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