“友達以上恋人未満”
『宝石商リチャード氏の謎鑑定 4』
物語の大きな転換点に心打たれました。本作では、銀座の店「エトランジェ」を突然閉めて正義の前から姿を消してしまったリチャードが物語の中心です。途方に暮れる正義のもとに現れたのは、リチャードの師匠であり新たな店主となるシャウル。彼から手がかりを得た私は、リチャード失踪の謎を追ってイギリスへと向かいます。
宝石商リチャード氏の謎鑑定 4
導きのラピスラズリ
辻村七子 (著), 雪広うたこ (その他)
【ミニ小説つき】銀座の店「エトランジェ」を閉め、正義の前から姿を消してしまったリチャード。新たな店主として現れたリチャードの師匠、シャウルから情報を得た正義はイギリスへと向かう。リチャードの失踪の原因となった何かがある国へ。旅の途上、リチャードの親族と名乗る男ジェフリーが正義に近づいてきて? 美しき宝石商を苦しめる過去の因縁と、「正義の味方」の決断は!?
導きのラピスラズリ
辻村七子 (著), 雪広うたこ (その他)
Amazonより
【ストーリーの展開とキャラクターの成長】
リチャードが姿を消し、正義が単身イギリスへと向かう展開は、これまでの“日常×宝石ミステリー”から一気に“異国の旅×家族の因縁”というスケールへと広がります。師匠シャウルや親族ジェフリーの登場によって、リチャードの過去や“何が彼を苦しめていたのか”がついに明らかに。特に正義がリチャードの実家に「殴り込み」に行くシーンは、彼の行動力と人間関係の本質への真摯さが際立ち、グッと心をつかまれました。
【目次ごとの見どころ】
case.2 アレキサンドライトの秘めごと
神秘的な宝石アレキサンドライトが物語の核となり、変化や二面性がストーリーやキャラクターの心情とリンクしているのが見事でした。
case.3 導きのラピスラズリ
表題作。ラピスラズリに“導かれる”ように、リチャードと正義が再び出会い、決断を迫られる物語が秀逸。宝石の意味や歴史も丁寧に描かれていて、知識欲も存分に満たされます。
case.4 ホワイト・サファイアの福音
希望や浄化という石の意味が物語と重なり、シリーズのターニングポイントとして印象深いエピソードに。
extra case. バイカラー・トルマリンの戯れ/電子版ミニ小説
彩り豊かな宝石が登場し、心癒される小話として余韻が楽しめました。
【心を動かす“導き”の物語】
ただの宝石ミステリーを超えて「人と人がどう導き合うのか」「家族や大切な人との絆や決意とは何か」を繊細かつ力強く描いている点です。正義とリチャード、それぞれの“寄り添い方”や人生の転機となる決断シーンは、自分の日常や人間関係をも振り返らせてくれました。
また、前巻まででは見えなかったリチャードの弱さや、正義の成長した姿が際立ち、二人の関係性も“友達以上恋人未満”のじれったさを残しつつ、時に「壮大な愛の物語」とも言える深さを感じさせてくれます。
★心に残った名言★
「あなたの正義感はいつも利己的で、そのくせあなたの手元には自己満足以外の何も残さない。不毛にもほどがある」
リチャードが正義に向けて放ったこの言葉は、相手を思いやって行動することと自己満足との違い、そして自分の信念とどう向き合うべきかを鋭く問いかける一言です。シリーズのテーマである“人に寄り添う”難しさを端的に表しており、読後もしばらく胸に残ります。
【こんな人におすすめ】
宝石が織りなす人間ドラマや成長物語が好きな方
主人公たちの距離感や絆のゆらぎをじっくり味わいたい人
旅や異国情緒の雰囲気に惹かれる方
甘さと切なさが絶妙に交差する“もどかしい関係”にときめきたい方
まとめ
『宝石商リチャード氏の謎鑑定4 導きのラピスラズリ』は、宝石の美しさと人間関係の機微が交差するシリーズ屈指のエモーショナルな一冊。心を揺さぶられたい、キャラクターたちの“導き合う”姿をしっかり見届けたい方に強くおすすめします。
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自己紹介
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