”優越感”を求める
「こんな素敵な場所に行きま
した」「こんな美味しいもの
を食べました」——SNSで日
常的に目にするこの手の投稿。
正直、私も「また誰かが自慢
してるな」と思いながら、気
づけば自分も同じような投稿
をしている。
そんな“やられた感”を見事に
言語化してくれたのが、勝木
健太さんの『「マウント消費」
の経済学』だ。
「マウント消費」の経済学
勝木健太 (著)
消費トレンドはモノ・コトか
らマウントへ
「こんな素敵な場所に旅行し
てきました」
「こんな美味しい料理を楽し
みました」
「こんな特別な人と過ごして
います」
SNSで頻繁に目にするこうし
た投稿。
その背後には、多くの人が無
意識のうちに抱える「マウン
ト欲求」が潜んでいる。
令和の日本では、SNSの普及
とともにこの欲求が顕在化し、
日常のあらゆる場面に深く浸
透している。一見ネガティブ
に映るこの現象だが、実は日
本経済を活性化させる「隠れ
た切り札」として大きな可能
性を秘めている。
Amazonより
モノ・コトから「マウント」
へ——消費の進化を実感
本書を読んでまず腑に落ちた
のは、「消費の価値がモノか
らコト、そしてマウントへと
シフトしている」という指摘
だ。
かつては高級時計や車といっ
た“所有”がステータスだった
が、今は「どんな体験をした
か」「それをどう発信するか」
に価値が移っている。しかも、
その背景には“他者との差別
化”や“優越感”を求める「マ
ウント欲求」がある。
私自身、旅行やグルメ体験を
SNSに載せるとき、どこかで
「いいね」や反応を期待して
いるし、「自分はちょっと特
別だ」と思いたい気持ちがあ
る。
著者は、こうした無意識の「
マウント消費」が現代社会に
深く根付いていることを、鮮
やかに分析している。
マウント消費が経済を動かす
?——新しい成長戦略のヒン
ト
一見ネガティブに見える「マ
ウント消費」だが、著者はこ
れを「日本経済の隠れた切り
札」として捉えているのが新
鮮だった。
物質的な豊かさが行き渡った
今、単なる“所有”では満足で
きない。だからこそ、企業は
「マウンティングエクスペリ
エンス(MX)」——つまり
“特別な自分”を実感できる体
験や物語を商品・サービスに
織り込むことで、消費者の心
をつかみ、新たな市場を創出
できる。
例えば、テスラやアップルが
なぜイノベーションを生み出
せるのか、NewsPicksやSAPI
Xがなぜ熱狂的な支持を集め
るのか。その理由も「マウン
ト消費」の視点から読み解く
と、単なる機能や品質ではな
く、「そのブランドや体験を
通じて得られる優越感」が大
きな要素になっていると気づ
かされる。
SNS時代の「さりげないマウ
ント」——自分も無自覚に加
担していた
SNSの普及によって、マウン
ト消費はより加速している。
しかも、最近は「さりげなさ
」がポイント。
例えば、「今日は家族とゆっ
くり過ごせて幸せ」と言いな
がら、実は高級レストランの
写真をアップする“感謝マウン
ト”や、疲れたアピールをしつ
つ絶景スパの写真を載せる“自
虐マウント”など、巧妙なマウ
ント表現が日常化している。
私も無意識のうちにこうした
投稿をしていたことに気づき、
まんまと「マウント消費」さ
せられていたのだと、ちょっ
とした敗北感すら覚えた。
「マウント消費」とどう向き
合うか——自分の消費を見直
すきっかけに
本書の価値は、「マウント消
費」の現象を単なる批判で終
わらせず、経済や社会、個人
の心理にまで踏み込んで分析
している点にある。特に印象
的だったのは、「本当に自分
にとって価値のある消費とは
何か」を問い直す必要性を指
摘しているところ。
他者との比較やSNS映えに振
り回されるのではなく、自分
の価値観に基づいた消費を心
がけることが、これからの時
代には求められる。
マウント消費の流れは今後も
続くだろうが、同時に「本質
的な価値を重視する消費」へ
の関心も高まっている。
持続可能な消費やエシカル消
費といった新しい潮流も紹介
されており、自分の消費スタ
イルを見直すヒントが詰まっ
ている。
まとめ:マウント消費を知る
ことで、もっと賢く生きられ
る
『「マウント消費」の経済学』
は、僕たちが無意識のうちに
巻き込まれている「マウント
消費」の仕組みを明らかにし、
現代社会や経済の本質を鋭く
突いている。読後、「自分も
まんまとマウント消費させら
れていた」と苦笑しつつも、
これからは「何のために消費
するのか」をより意識して選
択していきたいと思えた。
SNS時代に生きるすべての人
におすすめしたい、自己理解
と消費行動のアップデートに
つながる一冊だ。
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自己紹介
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