儚く美しい
「秒速5センチメートル」
――その言葉は、僕の心のどこかに静かに残ったまま、小さくずっと生きている。
中学生になって、高校生になっても、僕の心は明里がいる。
時間が流れても、どれだけ離れても、彼女との距離と、どうしようもなく迷った気持ちは消えない。
雪の降る日に、遠く離れた明里に会うために電車に乗った。
車窓から見える景色や、駅に着くまでの帰りの懐かしさ、明里の面影―すべて心に焼きついている。
私の中には、優しさや後悔、あの桜の花びらのようにゆっくりと落ちていく思い出だけが残っていた。
前略私は、大人になり、東京で淡い日々を過ごす自分に気づく。
だけど、心の奥底ではずっと明里のことを考えている――あの日、僕らは確かに秒速5センチメートルで心が折れそうな気がした。
きっと、出会いも別れも、すれ違う思いも、誰もが経験する。
桜の花びら春の風に舞う速さで、そのさなかも少しずつ変わっていく。
秒速5センチメートル
新海誠 (著)
「桜の花びらの落ちるスピードだよ。秒速5センチメートル」。いつも大切なことを教えてくれた明里、彼女を守ろうとした貴樹。二人の恋心の彷徨を描く劇場アニメーション『秒速5センチメートル』を監督自ら小説化。
新海誠 (著)
Amazonより
桜の花びらが落ちる速さ――秒速5センチメートル。 この不思議な言葉が、物語を読み進めるうちに自分の心のどこか深い場所に静かに沈んでいくのを感じました。
主人公・貴樹の気持ちは、時には相手側から見ると、重く感じることがあるかもしれない。
でも、私は彼の繊細で純粋な思いが、とても綺麗で美しいと感じました。
大切な人を想い続ける気持ち、なかなか見えない距離、懐かしさ――そのひとつひとつが丁寧に描かれていて、読んでいるうちに胸が静かに締め付けられるようでした。
雪の日に明里に会いにいくシーンでは、貴樹の心がたちまち不安になるところは痛いほど染みてきて、私自身も彼と一緒に電車に揺られているような気持ちになりました。
私はこの本を読み終えた後、自分の中に残っている「大切な人への想い」や「過去の記憶」と静かに見つめていました。
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自己紹介
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