「何回か見て、当日に備えます。」その一言に涙が出た花梨天空茶會 〜清風継雅茶會〜 前日・8月7日DAY31【DAY177】


明日、8月8日。

いよいよ徳宣閣15周年の感謝を込めた
「清風継雅茶會」を迎えます。

この一か月、8月8日に向けてnoteを書き続けながら、徳宣閣の15年間を振り返ってきました。

そして前日の今日。

朝から最後の準備を一つひとつ整える中で、胸がいっぱいになり、思わず涙が出る出来事がありました。



目次

1. 午前中、伊藤成二さんと動画のやり取りをしていました
2. 「何回か見て当日に備えます。」
3. 77歳を目前にしても学び続ける姿
4. 伊藤成二さんは、徳宣閣の中級茶藝師
5. 一杯の鉄観音に、15年を込めて
6. 「清風継雅」――受け取ったものを、次へ
7. いよいよ、明日



1.午前中、伊藤成二さんと動画のやり取りをしていました

明日の茶會では、

伊藤成二さん、
若杉康彦さん、
そして私。

三人で皆様の前に立ち、鉄観音を淹れます。

そのため今日の午前中、伊藤さんへ明日の鉄観音のお点前の動画を何度か送り、やり取りをしていました。

伊藤成二さんは、甚秋陶苑 常滑の陶芸家です。

長い間、徳宣閣の鉄観音に欠かすことのできない急須を作り続けてくださいました。

私が、

「もっと美味しく鉄観音を淹れたい」

と思い、求めてきたものを、伊藤さんが一つひとつ形にしてくださいました。

急須を作ってくださる方と、
その急須でお茶を淹れる私。

そんな関係だけではありません。

伊藤さんとは、お茶そのものを通して長い時間を一緒に歩んできました。



2.「何回か見て当日に備えます。」

午前中に動画をお送りした後、伊藤さんからメッセージが届きました。

「ありがとうございました。
何回か見て当日に備えます。
宜しくお願いします」

この言葉を読んだ瞬間、

なぜでしょう。

涙が出ました。

「何回か見て、当日に備えます。」

ほんの短い一言です。

でも、私にはとても大きな言葉として響きました。

伊藤さんは、この9月に77歳、喜寿を迎えられます。

明日の「清風継雅茶會」では、一足早く、その喜寿のお祝いもさせていただきます。

77歳を目前にされても、

「もう知っているから」でもなく、

「これまでやってきたから大丈夫」でもなく、

明日の一回のお点前のために、動画を何度も見て、確認して、きちんと備えようとしてくださる。

その姿勢。

その向上心。

そして、その誠実さ。

本当に素晴らしいなぁ。

そう思ったら、涙があふれてきました。

そして私は、

「私も、こうありたい。」

と思いました。



3.77歳を目前にしても学び続ける姿

― 茶藝師とは、学び続ける人 ―

年齢を重ねても、学ぶことをやめない。

昨日までできていたから、今日も同じでいい、ではなく、

目の前の一回のために、もう一度確認する。

目の前のお客様のために、準備する。

そして昨日より今日、今日より明日へと、自分自身を磨いていく。

それは茶藝にも、そして人生にも通じることなのかもしれません。

茶藝師の資格を取得することが、ゴールではありません。

学んで、資格を取得して、それで終わりではない。

一杯のお茶に向き合うたびに学び、

目の前のお客様のために、もう一度確認し、

より美味しい一杯をお届けするために、自分を磨き続ける。

伊藤さんの

「何回か見て当日に備えます。」

という短い言葉の中に、私は茶藝師として大切にしたい姿を見せていただいたような気がしました。

そして、徳宣閣を主宰してきた私自身も、改めて初心に戻らせていただきました。



4.伊藤成二さんは、徳宣閣の中級茶藝師

そして、今日のnoteにどうしても残しておきたいことがあります。

伊藤成二さんは、常滑の陶芸家であると同時に、

徳宣閣の中級茶藝師でもあります。

これは私にとって、とても大切なことです。

急須を作る人と、お茶を淹れる人。

別々の世界にいるのではありません。

伊藤さんご自身が徳宣閣で中国茶を学び、茶藝師としてお茶と向き合ってくださってきました。

だからこそ、

「鉄観音を美味しく淹れるための急須」

を、ただ形として作るのではなく、

実際にお茶を淹れる人の気持ちを知り、
茶葉のことを知り、
お茶を味わうことを知った上で、

一緒に考え、作り続けてくださったのだと思います。

私にとって伊藤さんは、

単に「急須を作ってくださる陶芸家」ではありません。

同じお茶を学び、同じ一杯を見つめてきた、徳宣閣の茶藝師のお一人です。

その伊藤さんと、徳宣閣15周年という大切な節目に、一緒に鉄観音を淹れることができる。

改めて考えると、本当にありがたいことです。



5.一杯の鉄観音に、15年を込めて

徳宣閣は今年、15周年を迎えました。

振り返れば、決して私一人で歩いてきた15年ではありません。

お茶を作ってくださる方。

茶器を作ってくださる方。

徳宣閣で学んでくださった皆様。

一緒にお茶を淹れてくださる茶藝師の皆様。

そして、徳宣閣のお茶を楽しみに足を運んでくださる皆様。

一人ひとりとのご縁がつながって、今があります。

伊藤成二さんとのご縁も、その大切な一つです。

鉄観音を美味しく淹れるために、何度も何度も試行錯誤しながら作っていただいた急須。

その急須を使って私たちは鉄観音を淹れ、

また次の方へ、その美味しさと文化を伝えてきました。

だから明日の鉄観音は、

単に七種類のお茶の中の一種類ではありません。

作り手から淹れ手へ。

淹れ手から、次の人へ。

そこには、15年間積み重ねてきた時間があります。

15年間という時間そのものを、一杯の鉄観音にして皆様へお渡しする。

私は、そんな気持ちでいます。



6.「清風継雅」――受け取ったものを、次へ

今回の茶會に、

「清風継雅」

という名前をつけました。

清らかな風のように、

美しいもの、
本物の文化、
そして心を、

次の人へとつないでいく。

今年、私がずっと大切にしてきた「継承」というテーマにも重なります。

継承とは、昔とまったく同じことを、そのまま繰り返すことではないのだと思います。

受け取ったものを大切にしながら、

自分自身も学び続ける。

磨き続ける。

そして、次の人へ心を込めて手渡していく。

今日届いた伊藤さんの、

「何回か見て当日に備えます。」

という言葉。

その中に私は、「継承」の本当の姿を見せていただいたような気がしました。

だから、涙が出たのだと思います。



7.いよいよ、明日

この一か月、

8月8日に向けてnoteを書き続けながら、15年間を振り返ってきました。

考えて、

迷って、

準備して、

たくさんの方に助けていただきながら、

一歩一歩、ここまで来ました。

いよいよ明日です。

もう、完璧にしようと力を入れすぎるのではなく、

今日まで準備してきたことを信じて、

皆様と一緒に過ごせる時間を大切にしたいと思います。

そして明日、

伊藤成二さん、若杉康彦さん、そして私。

三人で鉄観音を淹れるその瞬間、

私はきっと、今日いただいたこの言葉を思い出すでしょう。

「何回か見て、当日に備えます。」

一杯のお茶の向こう側には、

人がいて、

時間があって、

想いがあります。

15年間、本当にありがとうございます。

明日は、その「ありがとう」を
一杯一杯のお茶に込めて。

清風継雅茶會。

いよいよ明日、皆様をお迎えいたします。



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