見知らぬ友人と待つ花火
今年は、家族みんなで花火大会へ行くことにした。
下の子にも体力がついてきて、寝るのが少し遅くなっても耐えられるようになり、3年ぶりの花火大会。
大人達は何を準備しようかとソワソワし、久しぶりの花火大会現地入りにワクワクし始めている。
子ども達に話をすると、「迷子になったらどうしよう...」と娘はちょっぴり不安の声。
そこで出掛ける前に、念のため、迷子になった時の対策を一緒に練習することにした。
まずは3歳息子に問う────
ママ:「お名前は何ですか?」
息子 :「ぶどう」
パパママ:「!?」
パパ :「お名前はぶどう君ですか?」
息子 :「ぶどうです」
パパママ:「(笑)」
ママ :「何歳ですか?」
息子 :「よんさい」
本当は────3歳である。
普段はちゃんとこの程度の自己紹介は完遂出来ているけれど、冗談なのか本気なのか、この調子だと迷子になって呼び出しされてもスルーしてしまうかもしれない。迷子にさせないように、目を離さない様にしないといけないと、固く心と妻に誓った。
娘に簡易浴衣を着せて、息子に甚平を着せて。私も10年以上前に買った浴衣が1枚あり、滅多に出番はないのだけれど、あって良かったと思う。
あまり長時間待つのは、子供も親もしんどいだろうと思い、夕方出発。案の定駐車場探しにひと苦労。

屋台でお好み焼き、チュロス、焼鳥、みかん飴、ぶどう飴、かき氷、ハイボールを買い込み鑑賞するポジション決め。

いかついカメラと三脚を構えたお兄さんの隣に、大人2人が座れそうなスペースがぽっかり空いていた。お兄さんと目が合うと、どうぞと手でジェスチャーし、少し自分の座るイスを寄せてスペースを広くしてくれた。ありがたい優しさに、遠慮なく甘えさせてもらった。聞くと、この時期花火大会をはしごして撮影しているとのこと。
私はというと、花火撮影はほぼ初心者。花火が上がるまでにはまだ時間があったので、花火を待つ間、少しカメラの設定について聞いてみた。
「花火を撮るシャッタースピードは5秒くらいが多いですね」ふむふむなるほど。5秒前後で設定して試してみよう。その後もささいな話のやりとりを少ししていた。見知らぬ親切な人と世間話をするのは悪くない。なぜだか少し見知らぬ世界と繋がるような心地よさすら感じる。
すると、隣で聞いていた娘が、隣人に聞こえる声の大きさで聞いてきた。
「パパ、隣の人と友達になろうとしてるの?」
なんと言っていいか一瞬考え、私はこう答えた。
「そうだね、1度話せば、もう友達だよ」





久しぶりに見た花火は、やっぱり綺麗だった。
花火の魅力は、色や形の美しさだけじゃない。
近くで見ると「ドーンッ」と身体に響くような音の振動があって、屋台のにぎわいにワクワクして、誰かと並んで買ったお好み焼きやかき氷を一緒に食べる。
そんな時間も含めて楽しいのだと思う。
思いがけず、見知らぬ友人とも言葉を交わした。
帰り際、「縁があれば、またどこかで」と別れた。
あたたかい夏の思い出が、またひとつ増えた夏の夜。
素敵な思い出をありがとう。
最後まで、ご覧いただきありがとうございました。
ではまた、お会いしましょう。

