「氷室」六月号(2026年)より
尾池和夫主宰「瓢鮎抄」より六句
紫香楽宮跡松蟬のはたと止む
鮎止の滝昇りゆく岩燕
段丘の縄文遺跡青蜥蜴
五臓六腑なにかどこかに梅雨兆す
降り立てば釜山も梅雨のさなかなり
唐よりの文収めたり夏館
掲載された僕の句です。
氷壺集
恋敵共に敗れて卒業す
沈丁の香は好まぬと泣く子かな
三月にありそれ以後とそれ以前
春昼や手話の二人の話好き
氷室集
春寒の大地初めて踏む子かな
地に腰を降ろしたき日の桜草
草餅を齧り戦の行方など
卒業の涙は見せず男子校
「三月にありそれ以後とそれ以前」には、尾池主宰の講評をいただいています。
三月という時点を、時間の断層のように詠み、「それ以前とそれ以後」と区分して、人生の節目を暗示しました。あえて具体性を示さず、逆に普遍的な余韻を生み、季節の移行が、そのまま存在の転換と重なり、思索的な広がりを持ちました。
