「氷室」五月号(2026年)より
尾池和夫主宰「瓢鮎抄」より六句
紫雲英田の道や喪服の列長し
短夜や灯す家来と消す家来
鯉のぼり厚労省の屋上に
棹さすや藻にさからはず藻狩舟
草を刈る鎌もて握手してくれし
鵜の島のむき出しジュラ紀花崗岩
掲載された僕の句です。
氷壺集
涅槃図の前に誰より長く居て
旧交に一人加はる梅日和
この歳にしてふらここに乗る勇気
川幅を我がものとして残る鴨
氷室集
多喜二忌や作業着のまま定食屋
てつぺんへ登れる古墳草青む
春昼や行司のをらぬ紙相撲
永き日のひと雨願ふ石畳
「涅槃図の前に誰より長く居て」には尾池主宰の講評をいただいています。
涅槃図の前に佇む時間の長さに、静寂と深い内省を感じさせます。春の一日、誰よりも長く居て涅槃図に対峙している行為は、単なる鑑賞ではなく、故人や仏への尽きぬ思いを象徴しているかのようです。
