偶然か、必然か-岩井圭也さんとの出会い
この出会いは偶然だったのか、それとも必然だったのか。
そんなことを考えてしまうほど、今、夢中になっている作家さんがいる。
手に取る本、手に取る本が、ずっと読んでいたいのに、読み終わりたくない——そんな感覚を久しぶりに味わっている。
岩井圭也さんとの出会いは、ある日の書店で偶然見かけた「北海道大学150周年記念 岩井圭也フェア」だった。
書店での偶然の邂逅
店内を歩いていると、「北海道大学」「無料配布」という文字が目に留まり、思わず足を止めた。
そこには、岩井圭也さんの全作品が並ぶ特設コーナーがあり、北大創基150周年記念事業として制作された短編小説『北極星をえがく』が無料配布されていた。
恥ずかしながら、岩井さんの作品はこれまで読んだことがなかった。
でも、北大という場所の持つ空気感。
札幌の中心にあり、市民にも開かれた広い敷地、先端医療を担う病院。
そんな背景と、北大卒の岩井さんが描く北大生の物語に、自然と惹かれていった。
最近の私は、研究者的な視点で描かれた物語に心を動かされる傾向がある。
たとえば、昨年直木賞を受賞した伊予原新さんの『藍を継ぐ海』『宙わたる教室』など。
だからこそ、『北極星をえがく』を読むだけでも面白そうだと思ったし、せっかくの「はじめまして」の出会いなので、岩井さんの他の作品にも手を伸ばしてみることにした。
「永遠についての証明」——孤高の天才に触れる
この日は、いつものようにスマホで情報収集せず、「前情報なしでジャケ買いしよう」と直感が働いた。
手に取ったのは『永遠についての証明』
裏表紙に書かれていた「圧倒的『数覚』に恵まれた数学の天才・瞭司。天才故に孤独に生きてきた…」という一文で読むことに決めた。
家に帰ってすぐにページを開き、読む手が止まらなかった。
数式以外に興味がなさすぎる瞭司の感覚。彼を妬みながらも認める仲間や指導教官。
孤独と才能が交錯する世界は、切なくて。
この先の人生がどうなっていくのか、夢中で読んだ。
「プリズン・ドクター」——医療と人間の狭間で
次に読んだのは『プリズン・ドクター』。
「奨学金免除のため、しぶしぶ刑務所の医師になった是永史郎」という設定に惹かれた。
刑務所の医務室という未知の空間。
切迫した状況、あざ笑う受刑者。
限られた情報の中で、診断に至るまでの過程。
医師としての正義とジレンマ。矜持を感じさせる。
医療描写のリアリティに「医学部卒だったのかな?」と著者プロフィールを確認してしまったほど。
登場人物それぞれの心の動きが、静かに、でも確かに伝わってくる。
その空気感が、読者である私の中にも染み込んでくるようだった。
「夜更けより静かな場所」——読書会という居場所
そしてもう一冊。『夜更けより静かな場所』。
古書店と読書会が舞台の物語で、登場人物たちが一冊の本を通して自分自身と向き合っていく。
読書会に少し苦手意識がある私でも、「読書会っていいな」と思わせてくれる温かさがあった。
誰かにとっての居場所。そんな空間が、静かに描かれている。
この作品については、もう少し深く掘り下げてみたいと思っている。
物語と私の心が重なる瞬間
3冊すべてに共通しているのは、登場人物の心の動きと、私自身の心の動きが重なる瞬間があること。
「私だったらどうするだろう」と問いかけながら読める。
共感する部分もあれば、そうでない部分もある。
でも、物語の中に自分の体半分が入り込んでいくような一体感がある。
本を読むという行為が、こんなにも自分自身と向き合う時間になるなんて。
岩井圭也さんとの出会いは、やっぱり偶然ではなく、必然だったのかもしれない。
未読作品はまだまだあるので、追いかけます。
岩井さんへの気持ちを自分の心に正直に綴りました。
自分の気持ちに素直に書く背中を押してもらいました。
参考にした本はこちら
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