書評:敵対的買収とアクティビスト
書籍情報
書名:敵対的買収とアクティビスト
著者:太田洋
出版社:岩波書店
出版年:2023年
評
まず、内容自体はすごく面白かった。
歴史的な系譜や日本の事例だけでなくアメリカやヨーロッパの事例も引かれているから、敵対的買収やアクティビスト活動の概要を頭に入れる上でとても役に立った。
私の場合、株式投資をする際にどのようなことを考慮すると利益につながるかという関心で読んでいたので、次のような点が纏まっていたのはありがたかった。
アクティビストや敵対的買収者のターゲットになりやすい企業の性質
敵対的買収の手段
アクティビストが揺さぶりをかける手段
防衛側の企業ができる対策
各国の規制状況
アクティビストや敵対的買収者のアプローチの変化
特に、規制を学ぶために、この本に先立って、金融商品取引法の教科書を読んだのだが、こちらを先に読んだ方が、全体的な見取り図を持ったうえで関心のある部分を理解しやすかっただろうと思う。
次に、本書が取り上げている状況には、様々な立場からの視点がある。
アクティビストや買収者、対象となる企業、対象企業の既存株主、対象企業の取締役、規制当局という立場で、それぞれの目的は異なっているから、何を持ってよい結果と考えるかは違ったものだろう。
この他にも、従業員、法務・財務などサポートを行う専門家という立場、実質的なオーナー株主といった立場だってある。
この様に立場の違いがあるから、本書の内容は場合によっては、心情的に納得がいかないという事もあると思う。
それでも、立場の違いを超えて、現状把握は必要なので読んでおいて損のない一冊だと思う。
併せて読むと面白い本
著名なアクティビスト投資家による次の本は、評書とは違った立場から、アクティビストの行動を見るものなので、併せて読むと理解が深まると思う。
M&A、TOB、買収防衛策といった話題を理解する上で、法律の知識がないとルールも分からず将棋の対局を見ているようなもので、どちらが有利なのか、どういう狙いを持った行動なのかが理解できない。金融商品取引法と会社法をざっと学ぶと本書の内容もより深く理解できると思う。
会社法の本はこれから読むところなので、先日読んだ金融商品取引法のテキストを例に挙げておく。
