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分断をのりこえる天皇制

SNS時代に問い直す「共同幻想」の力


はじめに——なぜ今、天皇制を論じるのか

皇室典範改正をめぐる男系・女系論争が続いている。しかしこの議論を見ていると、奇妙な感覚に陥る。論点は継承順位や血統の正統性に集中しているが、議論の熱量が、制度論の水準をはるかに超えているのだ。

なぜ人々はこれほど感情的になるのか。なぜ一部の人々は「女系になれば日本が滅ぶ」とまで言うのか。

この熱量の正体を理解するためには、天皇制を制度の問題としてではなく、もっと根本的な問いから考え直す必要がある。それは「人間はなぜ、共同体を必要とするのか」という問いだ。


共同幻想とは何か——吉本隆明の問い

1968年、思想家・吉本隆明は『共同幻想論』を発表した。そこで提示された「共同幻想」という概念は、半世紀以上を経た今も、日本社会を理解するための最も鋭い道具の一つであり続けている。

吉本によれば、人間の意識は三つの層からなる。個人の内面を構成する自己幻想、男女・家族という親密な関係を支える対幻想、そして共同体・国家を成立させる共同幻想だ。

重要なのは、吉本が共同幻想を「支配者が民衆に押し付けたもの」として批判しなかったことだ。彼の見立ては逆だった。共同幻想は、人間が言語と自意識を持つ存在である限り、意識の構造そのものから必然的に発生する。国家も宗教も天皇制も、外部から与えられた幻想ではなく、共同体が自己産出した幻想なのだ。

だからこそ天皇制は強い。それは制度ではなく、日本という共同体の意識が生み出した構造物だからだ。


なぜ共同幻想が必要なのか——ダンバー数という制約

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