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指定席

▼今週のお題
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■セリフ
「行ってませんね」
■三題
・新幹線
・花びら
・レモンスカッシュ
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「木下ぁ!お前、こんな事してただで済むと思うなよぉ!」

『ほう、どんな事が起こるんだ?ヤナギ、お前に何が出来るって言うんだ?』

「過去に戻って、子供の頃のお前を殺してやる!」

『…!  あっはっはっ!面白い!タイムマシンでも作ったのか?やれるもんならやってみろ!』

その瞬間、あたりは真っ白な光に包まれた。同時に鼓膜が破れるかと思うほどのキーンとした高音が響く。



キーーーーーーンンン………


光が収まると、そこは列車内だった。
「ふぅ、タイムスリップ時の耳鳴りだけはどうしても慣れないなぁ」

それは懐かしい0系新幹線の中だった。
俺は車内を歩いた。
冷水器に付けられている封筒型の紙コップで水を飲み、もう1枚をポケットに入れた。

「お、居た居た!バカ面下げた木下少年!
家族旅行か」

俺はヤツの後ろの席に陣取り、隙あらば首を絞めてやろうと待ち構えた。

『僕レモンスカッシュ!お姉ちゃんはクリームソーダね!パパとママはウヰスキー!』

「ふっ、木下はおままごとに夢中じゃねえか。バカっぽ。ちょろいな」

コツコツと足音が近づき、俺の席の横で立ち止まる。

『すみませんお客様 こちらは指定席となっておりまして、切符を拝見お願いできますか?』

顔を上げると、車掌の格好をした木下がニヤリと笑って立っていた。

「な!なんで?昭和だぞ!1968年!どうやってこっちに来た⁈」

『来た?何をバカな事を』
肩をすくめ両手のひらをこちらに向けて首を振りながら、木下は鼻で笑う。

「はぁ?1968年のはずだ!この0系新幹線が何よりの証拠だろうが!それに、まだガキのお前も居る!ここは過去だろう!」

『行ってませんね』
口角を上げながら木下はさらに続ける。
『残念だったな、俺もジャンパーだ』

木下はアゴでくいっと車両の奥を指す。

車両の奥を見ると、木下に首を絞められてる俺が居た。
その後ろには紙コップをポケットにねじ込む俺が居た。
さらにその奥には車掌姿の木下がゆっくりと歩いて来ている。

木下の目が、鋭く光る。

その瞬間——

俺のポケットから、白い花びらがひらりと舞った。

いや、

紙コップだった。

キーーーーーーンンン……



はらとけいさんの企画に参加させていただきました!

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