【中1ピティナD級予選編第8話】赤い血を通せ。潜在意識と、二人の天才ピアニスト。
怒涛の日々を経て、予選本番まで残すこと数日。
エルサ先生が、珍しく褒めてくださりました。
「本当によく頑張ってます」
娘の顔に、じわりと笑みが広がります。
しかし。
「でも」
またこの「でも」です。
もはや条件反射で身構える母娘。パブロフの犬も、ここまで来ると完全に定着しました。
「本当に成長しました。音楽的な理解もテクニックも見違えましたよ」
また褒めている。
「でも、パッションが足りない。まだ演奏に赤い血が通っていない」
赤い血。
娘が小首を傾けます。
母も同じ気持ちでした。

❤️赤い血を、どうやって通すのか
「イメージしなさい。どんなふうに舞台で弾きたいか」
「100回弾くよりも、1回の鮮明なイメージが効果あったりするから」
娘の顔に「イメージって、どうやって?」という疑問符が浮かびます。
母も完全に同じ気持ちでした。
テクニックなら練習できる。
暗譜なら繰り返せる。
でも「鮮明なイメージ」の作り方は、誰も教えてくれない。
🔍️ネットの海を、母娘で泳ぐ
その夜、母娘でネットの海へ飛び込みました。
「ピアノ イメージトレーニング」
「コンクール 本番 イメージ」
「潜在意識 音楽」
検索、検索、また検索。
そしてある記事に、目が止まりました。

⚡️これだ
「寝る前に、理想の演奏を聴きながら、これは自分が弾いていると思い込む。潜在意識に落とし込むことで、体が自然にその演奏を目指し始める」
そんな考え方が紹介されていました。
これだ。
母と娘の目が、同時に光りました。
藁にもすがる思いで、試してみることにしました。
その日から、実行開始です。
🎹 娘が選んだ、二人の天才
さて。理想の演奏として、娘が選んだのはこのお二人でした。
🎹バッハ フランス組曲第4番 ジーグ
アンドラーシュ・シフさん
ハンガリー出身の世界的ピアニスト。
バッハ演奏の第一人者として世界中から尊敬される巨匠です。
あの「歓び」が、そのまま音になったような演奏。ひとつひとつの音の粒がクリアで、でも軽やかで、気品がある。
バロックの舞踏会が、目の前に広がるような音楽です。
ジーグは最後、9分28秒から始まります。
ウヌ王様のパレードが、ここにありました。
👉 ぜひお聴き下さい🩷
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🎹ドビュッシー ゴリウォーグのケークウォーク
チョ・ソンジンさん
2015年ショパン国際ピアノコンクール優勝。韓国出身の若き天才ピアニスト。
Deutsche Grammophonと契約する、現代を代表する
ピアニストです。
ふわっとしているのに、どこかからかっているような毒がある。ジミンが「ボンジュール」とふわっと現れて、いたずらっぽく笑いながら消えていく、あの感覚。
ドビュッシーの笑い声が、ここにありました。
👉 こちらからぜひお聴き下さい💕
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🌙眠りにつく前に
その夜から、娘の就寝ルーティンが変わりました。
布団に入って、イヤホンをつける。
アンドラーシュ・シフさんの「歓び」を聴きながら、これは自分が弾いている。
チョ・ソンジンさんの「笑い声」を聴きながら、これは自分が弾いている。
鮮明に、鮮明に、イメージする。
300年前のドイツの天才と、100年前のフランスの皮肉屋が、13歳の娘の潜在意識の中に静かに降りてきます。
予選本番まで、あと数日。
こんなことで本当に変わるのだろうか。
半信半疑のまま、それでも私たちは試さずにはいられませんでした。
赤い血は、通うのでしょうか。

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