【中国で暮らして実感】水も空気も音も違う。日本とのギャップに驚いた“日常のリアル”
日本に帰国して、久しぶりに蛇口をひねったとき。口に含んだ冷たい水に「あ、これこれ」と思わず笑った。澄んだ空気。青く広がる空。静かな夜。それらがどれだけ“ありがたいもの”だったか、中国で暮らして初めて気づかされた。
ここでは、私が実際に中国で暮らした中で感じた「水」「空気」「音」「ごみ」「食の安全」など、日常にまつわるリアルな環境の違いをお届けします。これから中国で生活する人、出張する人、旅行を考えている人にも、きっと役立つはず。
■ 蛇口の水は飲めない?中国の水事情
中国で生活を始めて、まず最初に教えられたのが「水道水は飲んじゃダメ!」ということ。
日本では蛇口をひねればそのまま飲めるが、そんな国は世界的に見ても少数派。中国では、水道水をそのまま飲むのは避けたほうがいい。
もちろん、中国でも水道水を沸かして飲む人はいるし、お茶を淹れるために使われることも少なくない。
しかし、一般的にはウォーターサーバーを設置したり、スーパーでミネラルウォーターを購入したりして、安全な水を確保するのが普通。
私もウォーターサーバーを持っていたが、あまり清潔そうには見えなかったので、週末にまとめてペットボトルの水を買っていた。水を担いでエレベーターでアパートの部屋まで運ぶのは、今思えばちょっとした筋トレだった。

ちなみに、中国の人は冷たい水を嫌い、真夏でも温かいお茶を飲む文化がある。外出時にマイボトルでお湯を持ち歩くのは常識。公共施設にもお湯の給湯器があるのには驚いた。
歯磨きや洗顔、入浴には水道水を使っていたが、料理にはミネラルウォーターを使用し、食器洗は水道水で済ませるのが私のスタイルだった。
中国の水道水は地域によって違いがある。上海のホテルでは水が濁って見えることがよくあったが、宿泊客には無料のミネラルウォーターが提供され、歯磨きにも使えるよう配慮されていた。
中国の水道水が飲用に適さない理由は、水質管理の問題や地域によっては重金属や細菌の混入の可能性があるためだとか…。衛生面のリスクも念頭に置くべきだ。
■ 青空が恋しくなる。中国の空気の話
私が住んでいたのは上海のような大都会ではなく、比較的落ち着いた地域。それでも、一年を通して澄み切った青空を見ることはほとんどなく、晴れていてもどんよりした空模様が続いた。日本に帰国したとき、その青空の鮮やかさに、あらためて驚かされた。
特に冬は大気汚染がひどい。朝起きて窓の外を見ると、街全体が霞んでいることも多かった。天気予報アプリでは「霧」と表示されるが、実際にはPM2.5やPM10などの大気汚染物質によるスモッグだった。
汚染指数が200を超えると「危険。不要不急の外出は控えるように」とスマホの天気予報に警告が出る。日本のPM2.5濃度は通常20~30以下なので、その10倍近いレベルだ。

しかし、現地の中国人はほとんど気にしていない。マスクをする人も少なく、普通に生活している。私も最初は気になったが、次第に慣れてしまった。
ただ、日本人の同僚の中には気管支が弱く、大気汚染のひどい日は体調が悪くなると言っていた。
汚染の主な原因は、北方で冬に大量に燃やされる石炭らしい。家庭の暖房用として使われ、その煙が大気を汚染している。加えて、工場の排煙や自動車の排気ガスも影響。
近年、中国ではEV車の導入が進んでいるが、暖房用の石炭使用を減らさない限り、抜本的な解決には至らないだろう。
■ 気候の違いが暮らしに与える影響
中国はとにかく広い。北はシベリアに近く、西はシルクロードの砂漠地帯、南は熱帯に位置するため、地域ごとに気候が大きく異なる。

私が住んでいた江蘇省は比較的温暖とはいえ、冬は氷点下、夏は40度超えの灼熱地獄。春と秋はあっという間に過ぎ去り、寒暖差で風邪をひきやすい。10月の国慶節まで半袖でも暮らせたのが、過ぎた途端にセーターが必要となることもあった。
そのせいか、1年中スイカが市場に並んでいたり、四季を超えた暮らしぶりが、ある意味ユニーク。季節の感覚が、日本とは違っていて面白かった。
■ 食べる前におまじない?中国の食の安全と工夫
中国の食の安全問題は、日本人が特に気にする点の一つ。過去には食品偽装や農薬の過剰使用が問題になったこともある。現地の中国人はスーパーよりも市場で野菜や肉を買うことが多いとのこと。理由は新鮮で品質が良いからだそうだ。
市場では生きたニワトリが売られ、注文すると15分後には捌かれて鶏肉として渡される。日本では見かけない光景だが、かつては日本でも普通だったのだろう。

外食時は衛生状態のチェックが必須。私も地元の町中華に行くときは、ビニールで覆われている食器を取り出したとき、箸と一緒に、同じく出されるやかんのお湯でゆすぎ、ゴミ箱に捨て、さらにティッシュで拭くことにしていた。
中国人の友人に教えてもらった、ちょっとした「おまじない」的な予防策だ。気休めかも知れないが、みんなやっていた。
■ クラクションが鳴り止まない街
夜中でも、街に響くクラクションの音。「なぜそこまで鳴らす!?」とツッコミたくなるほど。
日本ではほぼ聞かなくなったが、こちらでは前の車が少しでも遅れるとすぐに鳴らすため、あちこちでクラクションの音が響く。かなり大きな音なので、うるさい。

クラクションといえば、同僚の王さんの車に乗せてもらった時のことを思い出す。
彼女はまだ初心者ドライバーだったのだが、驚いたのは、運転中ずっとクラクションを鳴らし続けていたこと。とにかく、怖いのか「そこのけ、そこのけ!」って感じで運転。隣に乗っていて生きた心地がしなかった。
最近になって、上海などの大都会では漸く、クラクションの規制が出てきているようだ。
加えて、中国の人は声が大きい。電車やレストランでも、隣の会話が丸聞こえ。静けさが恋しくなる瞬間が、何度もあった。
■ ごみ箱を漁る人々。中国のリサイクル事情
ごみの分別についても、ルールはあるけれど守られていないケースが多かった。私の住んでいたマンションでは、どのごみ箱も中身はごちゃ混ぜ。挙句の果てには、ごみ収集車が全部まとめて吸い上げていく始末。

また、こんな驚くこともあった。
ペットボトルや段ボールを捨てると、すぐに住人が回収。リサイクル業者に売れるからだ。不要なものをリサイクルするのは良いことだが、マンション内でごみ箱を漁る人が多いのには驚いた。
■ 生活のすべてが「違う」という発見
水、空気、気候、食、音、ごみ――。中国での暮らしは、日本とはあらゆる感覚が違っていた。
最初は戸惑いも多かったけれど、そういう“違い”を体感することこそ、異文化に触れる醍醐味なんだと思う。いずれも、「住んでみなければわからないこと」ばかり。
これから中国へ行く人にとって、少しでも参考になれば嬉しい。そして、まだまだ伝えたい面白いエピソードもあるので、また続きを書いていきます。
この続きでは「中国の住まい事情」「電気・ネット・スマホのあるある」「日常のやりとりで驚いたこと」なども紹介予定。気になる方はぜひフォローを!
