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エッセイ  仮面のヤクザ


人に頼み事をするのって、難しいですよね。


本当にちょっとした事でも、タイミングと関係性が噛み合っていないと険悪になりますから。


血が繋がった実の家族ですら、タイミングを間違うと「ちょっとそこのマヨネーズ取って」で大喧嘩が開幕します。


本当、人間って難しい。




会話をする時のタイミングは、人それぞれ癖があります。


溜めて喋る人も居れば、一気に捲し立てる人も居る。


そのタイミングを読み違えると、色々と良くない事が起こります。


会話を遮られて機嫌が悪くなったり、逆に会話が止まってしまって微妙な空気になってしまったり。


そんな空気感の中で頼み事をしても、そりゃ上手くいかないさって話です。




関係性は時間経過で割となんとかなりますが、タイミングだけはどうにもなりません。


いわゆる「間が悪い」と言われるタイプの人は、この「タイミング」の調整が絶望的に下手くそです。


第三者の会話の途中に割って入ったり、電話中に話しかけたり。


私もどちらかと言うと「間が悪い」タイプですから、急いでいる時に限って信号が鬼のように真っ赤だったり、お腹が痛い時に限ってトイレが満室だったりします。



こら、そこ。


「それは運が悪いだけだろ」とか言わない。


泣いちゃうゾ。






私は、実はこの「会話のタイミング」の研究をしていた事がありまして。


コツを掴んだんですよ。


これを使えば、会話のタイミングを測るのが苦手な人でも、自分のペースで応答出来るようになります。


会話がスムーズであれば、頼み事もそのまま自然に捻じ込めるかもしれません。


当然、内容次第ですが。



それを、今日は皆さんにもご紹介しようかと思いまして。





慣れたら簡単です。




それは、「ごめん、何?」です。


つまり、一度「聞き返す」って事ですね。




人間は、自分が話している会話の復唱を要求された時に、一言一句同じ事は言いません。


必ず2回目は「簡略化」されているんです。


同じ事を繰り返して言うのは面倒だし、時間もかかりますから。


要するに、2回目は「短く、分かりやすく」なってるって事ですね。


その2回目に応答するんです。




ゴチャゴチャとした長話で、結局何が言いたいのかよく分からない人って居ますよね?


そういう人には、会話の途中で「え?何?」を細かく差し込んでやればいいんです。


そうすると、会話の要点だけがまとまって出て来るので、返しも的確に出来るようになります。


相手が復唱している間、返答を考える時間も取れます。





「いやいや、相手が目上とかだと、聞き返すのも失礼じゃん」とか思いました?


そういう時は、銀座の高級クラブのママが使うテクニック。


必殺「オウム返し」の出番です。





「昨日時計買ったんだよ。」


「へぇ〜!時計買ったんだ!」


「そう。そこそこ値段張るヤツなんだけど。」


「それじゃ、高いんだ!」


「うん。〜万円くらい。」


「うわ!〜万円も⁉︎凄〜い!」




こんな感じ。


彼女達は聞くのが仕事ですから、お客さんに気持ち良く話しをさせるプロです。


トーク力は必要無いんです。


会話の切り返しが下手でも、引き出すのが上手であれば、色々とその後の頼み事も捗ります。


そうやって、彼女達は豪奢なお店を維持してるってワケですね。




どうでしょう。


参考になりました?



少しでも皆さんのお役立てれば幸いです。



















なんてね。



今さら私が、こんな「初級ビジネストーク入門」みたいな話、すると思いました?





違うんですよ。


この世には「タイミングの神様」ってのが存在するんです。


その人の話をしたかったから、こんなそれっぽい事をわざわざ書いたんですよ。


それじゃ、本題に参りましょう。






その神様の名は「マモちゃん」です。


正式名称は「地場 衛」


ご存知「セーラームーン」の「タキシード仮面様」です。


彼こそが、世界最強の「タイミングの神様」であり「タキシードを着たヤクザ」です。




劇中で主人公であるセーラームーン達は、戦闘中に必ず一度ピンチに陥ります。


初手から必殺技をブッ放すなんて、そんな血気盛んな真似は絶対にしません。


敵にも見せ場を用意する事を忘れない、若いのによく出来た気が効く良い女なんです。



そして、敵がトドメの口上を述べ終わったら、毎度この「タキシード仮面様」が空気を読まずにドンピシャのタイミングで登場します。


バラを一輪投げ付けて相手の勢いを削ぎ、いきなり現れたにも関わらず思いっきり敵を一方的に罵倒してから、最後はトドメをセーラームーンに丸投げするんです。


エゲツないくらいにスタイリッシュです。


相手との会話が成立していません。




彼の決め台詞は「今だ!セーラームーン!」ですが、あの台詞は意訳すると「オメェら!やっちまいな!」です。


組長です。


文太さんです。





ですが、この「自分の要求だけを端的に伝えて、相手の要求は聞かない」という話術。


これも、きちんとした「ヤクザの会話術」なんです。



つまり、彼は最も洗練された「ヤクザ」なんですよ。


トドメを女性にブン投げて、自分は高みの見物ですから、やってる事はヒモと変わりません。



それでも、彼はセーラームーンに毎回感謝されています。





それは何故か?




「タイミングが神がかっているから」です。




日常生活でコレを一般人がやると、普通は「テメェがやれや!」と怒られる事は間違いありません。


しかし、彼は他人が「最もピンチな時」を狙って助け舟を出すんです。


これをやられると、大した事はしていなくても効果は絶大です。




ちょうど自販機の前で小銭が無くて焦っている時に、隣からイケメンに「俺も同じヤツで」とか言って千円札入れられたら、普通は間違いなくコロッといきます。


彼がやっているのは、そういう事です。


「金貸し」や「ホスト」や「ヤクザ」と、やってる事は同じなんですよ。


ですが、タイミングだけ噛み合っていれば、悪くは思われない。


それどころか、「頼りになるヒーロー」扱いすらされています。


さすがは神様です。


あんなに傍若無人なのに、タイミングを味方につけていると、こんなにも評価が変わるんです。





「ピンチはチャンス」って言うでしょ?


つまり、「人に頼み事をする時は、困っている人を助けてあげなさい」って事ですね。


結局、頻繁に人助けをする人であれば、巡り巡って自分が助けてもらえるって事です。


困っている時に助けてくれる人は、無条件で信頼されるんですよ。


頼み事のコツは、「人助け」って事ですね。


「人助け」が上手な人は、普段どれだけ評価が低くても、一定以下には下がらないんです。


それどころか、側から見たらメチャクチャなのに、ヒーロー扱いすらされる。


そこにタイミングまで噛み合ってくれれば、その時はもうあなたも立派な「組長」です。







ほら、ね?


これだけ脱線したのに、最後はきちんと「いい感じ」にオチをつけたでしょ?


いやぁ、本当はタキシード仮面様の無慈悲なゴリ押しの話をしたかっただけなので、無理矢理ですけど。


もっと他にも沢山話したい事はあるんですよ。


イケメンなのに私服がダサいとか。


ですが、今日はこの辺でやめときます。


「引き際」も立派な「タイミング」ですから。







勉強になりました?



さぁ、皆さんも明日から「タキシードヤクザ」を目指しましょう。












え?


話が長い?





ダメですよ。


そんな時は、何をするって言いましたっけ?


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