連載『それゆけ!重さん15』~団子とお地蔵さん

団子とお地蔵さん

結婚してから、お店の手伝いからは外れて、
別の土地に所帯を持つことになった。

だから日常的に重さんに会わなくなったけど、
その代わりに、親戚の冠婚葬祭で顔を合わすことになる。

結婚式から数年経った重さんのお兄さんが亡くなった時のこと。

重さんの実家は北関東の田舎にあり、
親戚が集まるのも一苦労のため、
葬儀・初七日・納骨を同じ日に執り行った。

葬儀の後、火葬場に行き、一度家に戻り、初七日を済ませ、
そこからお墓まで、親戚一同で連なって歩いて行った。

親戚はそれぞれ必要な物を持っていた。
遺骨、線香、ろうそく、お花、ひしゃく、水…
その中で、ひときわ異色だったのが、
てんこもりのお団子とお箸だった。

この地方の風習らしく、旅立つ故人がお腹が空かないように、
親戚が一緒に食べるのだと言う。

つらつらと会話しながら、お墓まで到着した時、
順番に線香に火をつけて1人ずつお供えしていく。

列の中で待ちながら、

ふと
「あ、墓地の入り口にあったお地蔵様にも、
お団子をお供えしたらいいですよね!」
と、私がちょっと気が利く女を気取って言うと、

重さんは、こともなげに
「もうあげてきたよ」と言う。

ああ、そうなんだ!さっきはなかったけどな…
とお地蔵さんを見に行って、私は度肝を抜かれた!

なんと、なんと、なんと、なんとぉ~~!!!!

お地蔵さんの口と、あろうことか「おでこ」に、
真っ白なお団子が、1つずつくっついていた
のだ!

しっかりと押し込んだのだろう。
お団子は落ちることなく張り付いていた。

口に至っては、押し込まれてくわえているように見える!

大慌てでお墓に戻り、
「お団子がくっついてた!」と重さんに言うと、

「あれが一番いいから」と、重さんは自信満々、
どこか晴れ晴れとしていた。

(いや、100歩譲って、口はわかるけどさ、おでこってどういう意味よ?
第三の目から食べるのか?いや、口だって押し込んだら失礼に当たらないか??)
と心の中で猛烈につっこむ。

でも、重さんにはそんなツッコミも通用しないんだよな。

とブツブツ一人で思いながら、皆さんに伝えるのに、
親戚一同はそんな重さんにもう慣れていたのだろうか。

あまり驚くことなく
(ああ、また重がやってるね)くらいの空気が流れた。

「お地蔵さんお団子ツアー」を開催するも、
残念ながら付いてきたのは子どもたちだけだった。

ーーーーー
以来、何か辛いことがあると
あの、おでこと口に真っ白なお団子が押し付けられた
お地蔵さんを思い出し、私は必ず笑顔になるのだ。

お地蔵さん団子事件は、数多く残る重さんのエピソードの中で、
キングオブエピソードに君臨し続けている。

             16に続く

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