連載『それゆけ!重さん13』~空気

空気

若者とのやりとり以外でも
驚きのエピソードはまだまだある。

重さんは、物怖じをしない。

自分が興味のあるものであれば、
相手の状況も状態も関係なく、
物怖じしないで行動する。

ーーーーー

道を歩いていて
読み方のわからない表札があると、
躊躇なく、インターホンを鳴らす。

悩む時間は皆無。

そして、出てきた家主に向かって
「これ、なんて読むの?」と聞くのだ。

重さんはずんぐりむっくりで
太っているとはいえ、力は強い。
ましてや坊主頭でハゲがある。
基本的にニコニコしない。
・・・つまりちょっと怖い。

ピンポンダッシュなら、
玄関を開けて誰もいないだけだけど、

インターホンが鳴って、玄関を開けたら、
得体の知れないおじさんが立っていて、
「これ、なんて読むの」と敬語でもなく聞くのだから。
不審者に思われてもおかしくない。

夜だったら完全にホラーだ。

今よりも少し平和な時代だったのか、
通報されることはなかったけど
今なら一発アウトかもしれない。

ーーーーー

奥さんのやっている喫茶&スナックには
テレビがあった。

常連のお客さんがみんな、
なんとなくテレビを見ていることがよくあった。

重さんも時々、お店に顔を出すのだけど、
見たい野球があったり、
つまらないなあと思ったら、
誰にも何も聞かずに、ピッとテレビを変えてしまう。

”一瞬、空気が凍る”
だって、みんな見てたのだもの。

でも、凍った空気に重さんだけは気づかない。
気づかないし悪気もない。

「今、みんなで見てたでしょ」と奥さんが
言えば戻してくれるけど、

興味のあることには、どこまでも貪欲で、
そして、
興味のないことには目もくれない。

↓ ↓

それはいいんだけどさぁ。

もう、まったく、
おじさんっ、何やってんの!

(当時の私の心の叫びより)

             14に続く

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