連載『それゆけ!重さん22』~それゆけ!重さん
それゆけ!重さん
重さんの葬儀が営まれることになった。
私は受付を手伝わせてもらった。
息子の元嫁だから、みんな不思議な顔をしていた。
確かにちょっと変だったかもしれないけど、
でも、私はちゃんと重さんを送り出したかったのだ。
重さんは、骨になっても、やっぱり重さんだった。
44歳で、余命10年と宣告されてから、
30年以上生きた。
その人生の中で、15年ほどの一時だったけれど、
私は重さんのような人を他に知らない。
何でもおいしく食べて、
犬を散歩に連れて行って、
勝手にテレビを変えて、
若者の身体を叩いて、
交通事故ばっかり起こして、
地蔵に団子押し付けて、
赤い薔薇を持って、絵を描いて、餃子作って、
頭にハゲがあって、ずんぐりむっくりで。
きっと、重さんは、
一度も退屈だったことがなかったし、
一度も病人だったこともなかったのだと思う。
一生、心が健康な人だった。
思い出していると
今もどこかに生きていると錯覚してしまう。
いや、生きているのではないか?
重さん、
いつかまた、どこかで逢うことができたなら、
今度こそ、
『五番街のマリー』のヒミツを教えてね。
終わり
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