NHKはなぜWBCを買えないのか?受信料組織と「グローバル資本」の構造?
東京ドームで熱狂が渦巻くワールド・ベースボール・クラシック(WBC)。
しかし日本の多くの人が抱いた素朴な疑問がある。
「NHKは受信料が高いのに、なぜWBCの放映権を買えないのか?」
数字だけを見ると、確かに違和感がある。
NHKの年間収入は約6900億円。
一方、世界最大の動画配信企業Netflixは売上約5.8兆円、利益だけでも約1.6兆円に達する。
ここにすでに答えの半分がある。
両者は「テレビ会社と配信会社」というより、全く別の経済モデルの組織なのだ。
まずNHK。
NHKは「公共インフラ」である。
受信料は番組制作だけでなく、日本全国に電波を届ける巨大な放送網の維持費、災害報道、教育番組、地域局の運営、人件費などに使われる。
言い換えれば、NHKの予算の多くは
放送という社会インフラの維持費に消えていく。
さらにNHKにはもう一つの制約がある。
それは「公共放送」という政治的・制度的な枠組みだ。
特定のスポーツイベントに何百億円も投じれば、すぐに批判が出る。
「野球に興味のない人の受信料を使っていいのか」という問題だ。
NHKの予算は国会承認も必要であり、民間企業のような大胆な投資は難しい。
一方のNetflix。
Netflixは世界190カ国から会費を集め、その資金をコンテンツ獲得に集中投資する企業である。
放送網も地域局も持たない。
すべてがコンテンツ投資に回る。
つまり、
NHK
=社会インフラ型組織
Netflix
=コンテンツ投資型企業
という構造の違いがある。
さらにスポーツ放映権市場も変化している。
かつてスポーツはテレビ局の独占領域だった。
しかし今は違う。
Amazon、Apple、YouTubeなど、巨大IT企業が参入し、放映権は世界規模のオークションになった。
MLB、NFL、プレミアリーグ、そしてWBC。
すべてのスポーツが「グローバル争奪戦」の中にある。
国家単位の公共放送では、この戦いに勝つのは難しい。
ここから日本への示唆が見えてくる。
日本社会は長い間、
「国内市場で完結するモデル」
で成功してきた。
テレビ、新聞、家電、自動車。
国内市場の強さが企業を支えていた。
しかしインターネット時代は違う。
市場は最初から世界だ。
Netflixの資金力は、日本企業が弱いわけではない。
市場の大きさが違うのである。
だからこそ、日本企業がこれから戦うためには、
「国内企業」という発想を超える必要がある。
世界で稼ぎ、世界で投資する。
それができる企業だけが、次の時代のコンテンツやスポーツビジネスを握る。
WBCの放映権問題は、単なるテレビ局の話ではない。
それは、日本経済の構造を映す小さな鏡なのかもしれない。
“The world is the real marketplace.”
(本当の市場は世界にある)
いいなと思ったら応援しよう!
ありがとうございます

