Van Morrison / His Band and the Street Choir (1970)
前作「ムーンダンス」リリース後にウッドストックに拠点を移したヴァン・モリソンが地元の音楽仲間(タイトルのとおり自身のバンドとコーラス隊)と交流しながら作り上げた4作目(この年2枚目)のアルバム。
前作でのアメリカン・ルーツに根差したアーシーな音楽性はさらにレイドバックした方向に進み、かつてなく開放的でリラックスした作風になっている。
敬愛するファッツ・ドミノに捧げたニューオーリンズ風味漂うシングル曲"Domino"(初期の"Brown Eyed Girl"以来のヒットを記録)に始まる本作は、特にリズム&ブルース色が濃厚な印象。
また、妻ジャネットに捧げた"Sweet Jannie"など当時の彼自身の落ち着いた生活や人間関係を反映した穏やかで柔和なムードでアルバムは進む。
ファンキーだったりソウルフルだったりカントリー調だったり音楽性は自由に移り変わりながら、核となるヴァンのヴォーカルの味わい深さは失われず、特にバラードにおいては名盤「アストラル・ウィークス」さながらの神秘的で荘厳な、彼にしか出せない凄みを帯びている。
この後ヴァンは西海岸へと移住することから本作は”東海岸三部作”の最終作とされており、この3作の中で彼の音楽性は徐々にポップに陽気に開放的になっていることがわかる。
ヴァン・モリソンのシンガーとしてはもちろん、ソングライターとしての才能も示した東海岸三部作。適材適所のバンド・サウンドの作りも絶妙で、プロデューサーとしても素晴らしい。
精神性/芸術性の極みに達した「アストラル・ウィークス」の後、土着的で生活に密着したスタイルへと転換した本作の時点でもヴァンはまだ24〜25歳。
ものすごく早熟な感じもするが、激動の60〜70年代を生きる彼らからしたらそれぐらいが普通なのかな。精神年齢でいうと今の僕とは10歳くらい差がある気がする。
