Figma MCP × Claude Code で座標変換職人のサブエージェントを育てた話
はじめに
🐺です!ネオス株式会社でエンジニアをしています。
開発の現場では「デザインからコードへの実装」はよくある工程の一つですよね。デザインツール上の座標やサイズを確認し、コードに書き起こす
── 地味だけれど避けて通れない作業です。
今回は 🐺 が参画しているプロジェクトにてこの作業を「Figma MCP × Claude Code サブエージェント」を構築して効率化した体験記を紹介します。この記事は以下のような方におすすめです。
Claude Code サブエージェントの実装・活用事例を知りたい方
Figma MCP を使った自動化に興味がある方
Phaser を使った開発で、Figma データの実装に苦労している方
ぜひ最後までご覧ください。
🥚 困っていたこと
このプロジェクトは React ベースの UI と Phaser ゲームエンジンの統合を組み合わせた構成になっています。
問題は、そのデザインからコードへの橋渡しでした。
例えば、次のような Figma 上のキャラクター(狼男 🐺)を実装する場合、
コードではこんな変換処理を行っていました。

addWolf({
rect: {
x: pt(translateToGrid(this, 64.23)), // 中心X座標
y: pt(312.71), // 中心Y座標
width: pt(85),
height: pt(91),
},
angle: -10, // FigmaとPhaserで正方向が逆🥲
texture: "wolfman",
});このようにデザインを、Phaser 側で再現するためには、Figma の情報を読み取り、コードに座標・角度・サイズを指定して配置していく必要があります。しかも Figma と Phaser では座標の基準が異なるのでその補正も必要となります。
そんな細かな作業を各アセットで行っているので、もし
「デザイン変更があったので Figma を更新しました!」
なんて言われた日には涙を禁じえません。
そんな折、弊社で AI コーディングツールであるClaude Codeが導入されました。
「これ、Figma MCP と組み合わせれば、この手作業から解放されるのでは?」
という発想から、この挑戦がスタートしたのです。
🐣 とりあえず動かしてみる
まず、Claude Code の導入と Figma MCP サーバーへの接続から始めました。IDE は VS Code を使用しているので拡張機能経由で Claude Code を起動させます。
セットアップの詳細については公式ドキュメントを参照しました。
続いて Figma MCP サーバーの追加です。
MCP については以前にも記事に取り上げているのでぜひご覧ください。こちらも導入は公式ドキュメント通りです。
Figma MCP サーバーを簡単に説明すると、実装したいデザインの情報(node ID)を AI に渡すと、MCP サーバーを経由してプログラミングに適した形式(例:Tailwind CSS)で取得できる仕組みです。
Claude Code v2.0.13(モデルは Sonnet 4.5 を使用)
Figma Desktop App :125.9.10
環境構築ができたのでさっそく先ほどのデザインで動かしてみることに

addWolf({
rect: {
x: pt(translateToGrid(this, 57.5)), // 中心座標に変換しようとしたが計算ミス🥲
y: pt(260), // そもそも補正できず🥲
width: pt(85), // OK
height: pt(91), // OK
},
angle: 350, // 符号は補正してくれていい感じ!
texture: "wolfman",
});おしい、、、、
MCP から取得した CSS データをもとに入力しているので回転角度の補正はできていますが、座標は中途半端な補正になってしまっています。
何度か試してみたところ
複数のアセットを依頼すると回転角度を入れ忘れる。
Figma 座標(左上基準)と Phaser 座標(中心基準)の変換が抜ける。
のように動作が安定しません。
一番の問題は、毎回「それっぽい」数字を出して、こちらの期待を巧みに煽ってきます。
デバッグ中は「逆に回ってる!」「お、今度こそ来たか!?」と勝手に感情を揺らされ、心のスタミナが削られます。これはいけません。

Claude Code:
はい、認識していました。ただし、完全には正確に変換できていない可能性があります。
Figma と Phaser の座標系の違い
Figma:
原点: フレームの左上
left: 左端からの距離
top: 上端からの距離
bottom: 下端からの距離(負の値は画面外下部)
中心座標 50% からの相対位置で translate-x-50% で調整
Phaser:
原点: 画面の左上
x, y: 絶対座標(ピクセル)
translateToGrid(): Figma の中心基準座標を Phaser の絶対座標に変換
問題点:
Figma の座標は left: calc(50% + XXXpx) という形式で、すでに画面中心(437px)からの相対値になっている可能性があります。その場合、私の変換は二重に中心補正している可能性があります。 正確な変換のため、Figma デザインで確認が必要な点:
フレームのサイズ(874×402)の中心は 437×201
left の値は画面左端からの絶対値か、中心からの相対値か
修正が必要でしょうか?
どうやら確信して翻弄させていたようです。
🐤 プロンプトを調整してみる
このままでは心も、トークンもいくらあっても足りません。そこで再現性のある動作をさせるためプロンプトエンジニアリングを試みました。
実装に必要な情報を列挙して Claude Code に認識させます。MCP サーバーから受け取るのは Tailwind CSS 形式なので、今まで手動で行っていた計算方法に加え CSS から読み取る方法も伝えます。
Phaser は中心基準なので中心座標を求めてから入力すること
回転している場合、left 値や top 値はバウンディングボックスの数値であること
`translate-x-[-50%]`がある場合 left 値を中心座標として使えること
etc
もっとも頭を悩ませたのは手順を事細かに指定することと、Claude Code 自身に柔軟に対応してもらう余白を残すことのバランスです。
たとえば、left 値 + サイズ* 0.5 =中心 X 座標と指示してしまうと`translate-x-[-50%]`が適用されていた場合に中心座標がずれてしまいます。Claude Code 自身が`translate-x-[-50%]`に気づいてサイズ* 0.5 を適用するか判断していたこともあったので、いかにこういった分岐点に気づかせて判断させるかがポイントだったと思います。
こうして出来上がったプロンプト🐤を活用することで、比較的、安定した実装が可能になりました!
計算が漏れていても指摘すれば修正してくれます。
もう🐺のやることは Figma アプリ上で実装したい画面を選択しプロンプトを渡すだけです。ちょっとエンジニアの存在意義を考え直したくなるくらいには便利です。
🐥 座標変換職人みならい?
やっと安定した動きをするようになりましたが、毎回プロンプトを与えるのは面倒です。また、このプロジェクトはチーム開発なので、プロンプトがブラックボックス化してはいけません。
そこで、最小の実装でチームがこのプロンプトを使える方法を模索しました。
まず、思い浮かぶはCLAUDE.mdにプロンプトをまるごと記載することです。しかし違うタスクのセッションにて、このプロンプトを読み込んで、意図しない動作(プロンプトインジェクション)をしてしまう懸念がありました。
「だったら Claude Code に必要な時だけ学ばせればいいのでは?」
そこで目を付けたのが サブエージェント です。
簡単にサブエージェントとは、特定のタスク処理に特化した AI アシスタントを指すようです。
さらにセットアップも複雑な実装を必要としません。コマンド1つでマークダウン定義による独立したエージェントを作れるとのこと。
導入は Anthropic の公式サイトを参考にしました。
/agents コマンドで作られるマークダウンに先ほどのプロンプトを記述し、いざ実行


よみがえる、翻弄されるあの感じ、、、、、
どうやら、情報をただ列挙するだけでは動作が安定しないようです。
「えっ、こんなに丁寧に書いたのに!?」と軽いショックを受けました。
どうやらサブエージェントさん🐥は指示を全部読んでいるようで、処理途中で忘れてしまうことがあるようです。
実際、完成したプロンプトでも一部の処理をすっと抜け落とすことがありました。
さらに困ったことに、サブエージェントの場合は細かなログがほとんど表示されません。出力されるのは結果のコードだけ。
結局その裏側を確かめるために、確認の手間がじわじわと増えてしまいました。
🐔そして座標変換職人へ
忘れん坊サブエージェントさんのために🐥ネット記事や公式ドキュメントを参考にマークダウンの作りこみをしました。
特に有用だったのは公式の以下の記述です。
Design focused subagents: Create subagents with single, clear responsibilities rather than trying to make one subagent do everything. This improves performance and makes subagents more predictable.
Write detailed prompts: Include specific instructions, examples, and constraints in your system prompts. The more guidance you provide, the better the subagent will perform.
要約しますと
1つのサブエージェントにすべてを実行させるのではなく、明確な役割を持たせることによりパフォーマンスと再現性が高まりますよ。プロンプトには、具体的な指示、例、制約、手順を含めるほど、サブエージェントのパフォーマンスは向上しますよ。
という内容です。
それらをもとに重視したのは以下のポイントです。
責務(何を目的とするサブエージェントなのか)を明記する
具体的な手順(例:Step 1~ Step 〇)を書く
チェックリストを設けて、自己検証を促す
以下がそのマークダウンです。長いので各項目の冒頭のみ記載しています。
# Figma-Phaser 座標同期エージェント
Figma デザインから Phaser シーンへの座標同期の専門家です。座標系変換とゲームエンジン統合に深い専門知識を持ち、Figma デザインの座標を正確に Phaser TypeScript コードに変換します。
## 主要な責務
1. Figma MCPツール (`get_design_context`) でFigmaから座標データを抽出
2. x座標系規則`translateToGrid()`への準拠を確認
3. y座標系規則、中心座標が画面サイズ上端または下端の最も近いほうからの相対距離で計算
4. PhaserシーンのTypeScriptファイルを更新
## 座標変換の手順
Figmaから抽出したCSS座標をPhaser用数値座標へ変換し、コード生成まで自動化する手順
### ステップ 1: Figma MCP ツールでデータ取得
### ステップ 2: CSS 座標抽出
### ステップ 3: Phaser 座標変換
### ステップ 4: コード生成
## ワークフロー
1. **抽出**: URLからnode-id取得 → `get_design_context` ツール実行
2. **フレーム定数取得**: 親divから `w-[874px] h-[402px]` を抽出 → FW, FH, CX算出
:
## 品質チェック
更新前にかならず確認する:
- [ ] React+TailwindレスポンスからCSS座標を正しく抽出
- [ ] `left-[calc(50%±XXXpx)]`のパースが正確(符号に注意)
- [ ] `translate-x-[-50%]`と`translate-y-[-50%]`の有無を確認
:
完全に本プロジェクトに特化した「座標変換職人🐔」が完成しました。CSS の数値もコメント追記させるようにしたので人間による計算のチェックもやりやすいです。
そんな折に、デザインチームから連絡が
「画像の差し替えお願いします😊 Figma 更新しました!」
そう、いまの🐺には座標変換職人🐔がついています。
デザイン変更のたび狼狽えていた🐺はもういません。
実装よし!動作もよし!こんなすがすがしい PR を出したのは初めてでした。
🦅 職人、いい仕事してます
今回構築した「座標変換職人🐔」による効果を試算してみましょう。
これまで1枚のアセットに対して 3 分ほどかけて座標計算していたのが、いまは1画面まとめて3分ほどになりました。
このプロジェクトでは 32 枚のアセットに座標計算が必要なので 1.6 時間かかる計算だったところが、今はチェックと確認で 10 分程度に短縮できました。
その間に他のタスクを進められるので、実質 1.5 時間分の自分の時間が浮いた体感です。
Claude Code の API コストはサブエージェント 1 回あたり 0.3 ドルくらいでした。
育成に 3 人日(24 時間)かかりましたが、同じ規模の仕事を 16 回くらいこなせば元が取れる計算になります。
サブエージェントを動かすようになって気づいたのは、「AI が作業してる間に自分は別のことができる」という恩恵の大きさです。
🐺 は Backlog で他のメンバーの PR を確認したり、次に手を付けたい箇所の勉強に充てたりしています。これがあるだけで次のタスクの快適度が体感でかなり違うので、数値化できない利便性があるなと感じました。
🐓 まとめ
ここまで読んでいただき、ありがとうございました。
Figma MCP やサブエージェント活用のヒントになっていれば幸いです。
今後もこの仕組みの活用範囲をさらに広げていきたいと考えています。
たとえば「カスタムコマンド化したらどうなるだろう?」など、まだまだ試してみたいアイデアが尽きません。
今回はサブエージェントを「座標変換職人 🐔」と比喩しましたが、
本当に自然言語で指示(プロンプト)を与えて動きを見守る過程は、まるで教育をしているような体験でした。
こうした感覚こそ、AI 時代のエンジニアリングに必要なのかもしれませんね。
弊社では、このような技術を活用した開発を積極的に進めています。
もしご興味をお持ちいただけましたら、ぜひ採用ページをご覧ください。
次の「🐣」が生まれる瞬間を、🐺は楽しみにしています。
