フラッシュメモリに「1000層時代」への突破口 キオクシアとSandiskのMSA-CBAとは何か
※本記事は、上記ショート動画の内容をもとに、
技術的背景や業界の意図を整理し、もう一段深く解説したものです。
何が起きているのか
キオクシアとSandiskが、3Dフラッシュメモリの次世代構造として「MSA-CBA」と呼ばれる技術を示した。
MSA-CBAは、複数のメモリセルアレイを重ね、さらに制御回路であるCMOSと組み合わせる構造である。簡単に言えば、1枚のウェーハにひたすら積み上げるのではなく、別々に作った構造を精密に貼り合わせることで、より高密度なNANDフラッシュを目指す技術である。
今回の注目点は、この構造でQLC動作を実証したことにある。QLCとは、1つのメモリセルに4ビットの情報を記録する方式である。容量を増やしやすい一方で、電圧の違いを細かく読み分ける必要があり、制御は難しくなる。
この技術は何なのか
現在のNANDフラッシュは、メモリセルを縦方向に積み上げる「3D NAND」が主流である。NANDフラッシュとは、スマートフォンやSSDに使われる不揮発性メモリである。不揮発性とは、電源を切ってもデータが残るという意味だ。
3D NANDは、建物を高層化するようにセルを縦に積むことで容量を増やしてきた。しかし、層数が増えるほど問題も大きくなる。セル電流が弱くなり、読み書きの安定性が難しくなる。さらに、製造中のウェーハが反りやすくなり、歩留まりにも影響する。歩留まりとは、作ったチップのうち良品として使える割合のことである。
MSA-CBAは、この限界に対して「積み方を変える」技術と見ることができる。単に層数を増やすのではなく、複数のセルアレイを重ねることで、将来の1000ワードライン超に向けた道筋を作ろうとしている。ワードラインとは、メモリセルを選択するための配線であり、3D NANDの積層数を考えるうえで重要な指標である。
なぜ今重要なのか
この技術が注目される背景には、AI時代のデータ量増加がある。
生成AIの普及によって、学習データ、推論ログ、画像、動画など、保存すべきデータは増え続けている。AIというとGPUやHBMが注目されやすいが、大量のデータを保存するストレージも欠かせない。SSDに使われるNANDフラッシュの高密度化は、AIインフラを支える基盤技術のひとつである。
一方で、NANDフラッシュはこれまでの延長線だけでは進化が難しくなっている。微細化には限界があり、3D NANDの高層化も、電流、応力、製造コストの壁にぶつかる。そこで重要になるのが、MSA-CBAのような構造面の工夫である。
今後のNAND競争は、単純に「何層積めるか」だけではなく、「どう作り分け、どう貼り合わせ、どう安定して量産するか」に移っていくと考えられる。
まとめ
キオクシアとSandiskのMSA-CBAは、3D NANDの高層化に向けた重要な構造技術である。
ポイントは、単に層数を増やすことではない。複数のセルアレイを重ねる構造でQLC動作を示し、将来の1000ワードライン超3Dフラッシュに向けた可能性を示した点にある。
ただし、研究実証と量産は別物である。今後は、貼り合わせ精度、歩留まり、信頼性、コストをどこまで量産レベルに引き上げられるかが焦点になる。
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MSA-CBA構造の詳細な仕組みと従来方式との技術的な違い
Samsung・Micron・YMTCなど競合の動向と技術格差
量産化に向けた課題(歩留まり・コスト・QLCの信頼性)
AIデータセンター市場でのフラッシュメモリの位置付け
キオクシアが勝てる条件と、リスクシナリオ
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参考・引用
2026 IEEE/JSAP Symposium on VLSI Technology and Circuits Technical Highlights
KIOXIA「3D Flash Memory “BiCS FLASH™”」
Sandisk「Kioxia and Sandisk Unveil Next-Generation 3D Flash Memory Technology」
マイナビニュース「半導体メモリ分野の注目論文」
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