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インタビューの分析フレーム①――キーワードでカードをつなげる #05

前の記事で、私が定性調査の分析に使っている2つの基本フレーム、「因果対立関係分析法」と「上位下位関係分析法」を紹介しました。この記事では、前者について説明します。
インタビューの関係者が集まってワークショップ形式で分析の演習をしている、という想定で、分析の流れを書いてみました。


STEP1:発言・反応をカードに書く(カード化)

インタビューでの発言や反応は、書記が記録したり、録音を自動文字起こしするなどして「発言録」として残します。カード化は、この発言録を見ながら行います。
発言録を読みながら、発言や反応を一つひとつカードに書き出していきますが、発言は、意味が成立する最小のまとまりに分解し、一枚のカードに一つのまとまり・意味合いだけを記載するようにします。
カードに書くのは「ファクト(事実)」です。ファクトには主に次のようなものが含まれます。
①人物のプロファイル:職業、家族構成、生活スタイル、性格、価値観など
②調査対象のカテゴリー、特定のブランドや商品・サービスに関する行動・意識:使用実態、購入経緯、評価など 
③インタビュー場面で提示したもの(コンセプト案など)への反応:評価とその理由など
上記を、発言だけでなく、表情や様子などから読み取れることも含めてカードに記載します。
この段階では解釈は入れません。あくまで「起きたこと・言ったこと」を書く。それがカード化の基本です。

STEP2:因果関係・対立関係でカードをつなげる

カードが揃ったら、「このカードとこのカードはどういう関係か?」と問いかけながら、関係を見つけていきます。なお、カードは、どのテーマ・聴取項目に対する発言か?ということは意識し過ぎないようにして、カードに書かれた内容だけを見て「これとつながるカードはどれだろう?」と考えます。発言が出たもともとの文脈にとらわれないほうが、発見を生みやすいからです。
カードのつながり方には2種類あります。

【因果関係】「だから」「なぜなら」でつながる関係

上のカードAが原因、下のカードBが結果のイメージです。「AだからB」と上から下に読む。逆に、結果のBから考え始める時は「BなぜならA」と下から上に向かって原因を探します。2つのカードが上下どちらの方向からもつながることを確認します。

【対立関係】「が、しかし」でつながる関係

AとBが矛盾している、相反している関係です。「A、が、しかしB」の形で、強調したいことや本音に近いことが右側のBの位置に配置します。対立関係は、カード同士の間にある場合も、島全体と島全体の間にある場合もあります。

なお、自然につながらないカードは無理につなげないようにします。「だから」「なぜなら」「がしかし」のどれかで説明できるかどうかを確認しながら進めましょう。

もう一つ。因果関係でも対立関係でもなく、言い方・表現は違うけれどほぼ同じ意味・同じことを言っているカードが複数出てくる場合があります。これらは「同類」や「例示」としてカードをまとめます。最も象徴的なカードを一番上にして束ねたり、要約したり分かりやすく書き換えたりしてカードをまとめます。

STEP3:「島」ができてくる

つなげていくうちに、つながった複数のカードのかたまりができてきます。これを「島」と呼びます。

【具体例】健康飲料のインタビューで――

あるユーザーのインタビューから、次のようなファクトが出てきたとします。
・濃厚なクリーム味が大好き・濃厚なクリーム味は贅沢な気分になれる・いつまでもスリムでいたい・普段は無糖のあっさりしたオーツミルクを飲んでいる・ご褒美に、濃厚な牛乳で作ったカフェラテにはちみつを垂らして飲む
これらのカードを並べて関係を探すと、こうつながります。

まず因果関係が二つあります。「濃厚なクリーム味は贅沢な気分になれる」→(だから)「濃厚なクリーム味が大好き」→(だから)「ご褒美に濃厚な牛乳で作ったカフェラテに、はちみつを垂らして飲む」。もう一つ、「いつまでもスリムでいたい」→(だから)「普段は無糖のあっさりしたオーツミルクを飲んでいる。

次に対立関係。「ご褒美に濃厚な牛乳で作ったカフェラテに、はちみつを垂らして飲む」という行動と「普段は無糖のあっさりしたオーツミルクを飲んでいる」という行動。これは「がしかし」でつながる対立関係です。

STEP4:島の意味を考える=解釈する

島ができたら、「この島が意味することは何か?」を考えます。
先ほどの例で言えば、このユーザーは、一見、好みと行動が矛盾しているように見えます。本当は味の豊かさを楽しみたいが、「スリムでいたい」という強い意志が働いて、好みとは違うものを選んでいる。けれど、完全に我慢するのではなく、ご褒美という形で自分を納得させながら好みを満たしている。つまり、食の嗜好と美容意識の「葛藤」に、自分なりの「落としどころ」を見つけている。…という解釈が生まれます。

このように「この島が意味することは何か?」と考えることは「解釈」です。前々回の記事で「このファクトは、クライアントのマーケティング課題にとって、どういう意味があるのか?」を考えることが「分析」と書きました。つまり、クライアントのマーケティング課題の文脈に載せて、ファクト(≒島が表していること)を解釈することが「分析」と言えます。

カンタン、でも意外に深い

この因果対立関係分析法を使った分析は、難しい作業ではありません。「なぜ?」「だから?」「がしかし?」という問いかけを繰り返しながら、カードをつなげていくだけです。比較的関係を見つけ出しやすく、人によっては「こんなに簡単でいいの?」と拍子抜けするかもしれません。
でも、大事なのは、つないだカードが形作る島全体から言えること、そのように解釈した道筋がはっきり見えることです。誰が見ても「なるほど、ちゃんと因果関係・対立関係になっている」「島全体からは、なるほどこう解釈できる」と思えることです。誰が見ても・誰がやってもこうなると思えるなら、それは再現性がある、科学的な方法です。つまり、ブラックボックスではない。こういう分析なら、自分にもできる!と思いませんか?




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